第451話 全員の受け入れ
「じゃあ良さそうだからカレンを起こしてもらおうか。
それとカレンの側近たちも呼び込んでくれ」
医療班はカレンの麻酔を解くと、
カレンはゆっくりと目を覚ました。
ちょうどそれと同じくして側近たちも部屋に入ってきて、
カレンに近づく。
「カレン様大丈夫ですか、
傷は、胸は痛みませんか?」
側近はカレンに覆いかからんばかりだったが、
流石にそれはまずいと自重しながらも、
カレンに心配の目を向けている。
「はい大丈夫ですよ。ありがとう。
というか本当に終わったんでしょうか?
眠る前と何も体は違わないような気がするんですが……。
でも確かに胸の中にあった重い魔力が消えたような気がします。
今まではずんと心臓が重かったんですが、
それがなくなっています。
本当に、本当になくなっているんですね」
カレンは胸に優しく手を置いて確認する。
カレンが感じていた違和感はなくなっているようで、
サタンの紋章が消えたことが確認された。
「成功して良かったです。
カレンさん。本当に胸の痛みはありませんか?」
「はい、全く何もありません。
本当に心臓まで切られたのかというのが信じられません。
それにサタンの紋章がなくなるなんて……。
夢見たいです」
カレンは少し上擦った声でそういった。
カレンも少し興奮しているのだろう。
それはそうである。
サタンに施された紋章が消えることなど誰も思っていない。
一生をサタンに握られたまま過ごしていかなくてはならないという、
運命を背負って生き続けるのだと思っていたのが、
今、こうしてサタンの紋章が本当になくなったことで、
その枷から自由を取り戻したのだから。
カレンは何度もありがとうございますと繰り返し感謝を伝えた。
「よし、じゃあこれで最大の問題は片付いたわけだが、
カレン、もう一度確認するが、
カレンはどうする?
いや、カレンはどうしたい?
本当の気持ちを聞かせてくれ」
カレンを体を起こして姿勢を整え、しばらく考えた後、
はっきりと遼香の目を見て答えた。
「本当に勝手なお願いで申し訳ありませんが、
私も一緒に亡命させていただけないでしょうか。
お願いいたします」
カレンは頭を下げた。
「よしじゃあ決定だな。
今回の亡命を受け入れよう。
全ての魔族をな」
遼香はそう言って笑った。
カレンも安心して笑った。
「ちょっと待ってくださいよ。
一件落着みたいな感じになってますけど、
魔族の皆さんはどこに受け入れるんですか?
結構な数いますから、
受け入れるにしても大変だと思いますけど」
幽玄斎は当たり前の疑問で今この場の和やかな雰囲気をぶち壊した。
みんなが不安に思っていたが、言葉に出さなかったことを聞いてきたのだ。
しかし幽玄斎の発言は全くもって正しい。
一番大切なことを後回しにしては、
せっかくうまく話がまとまろうとしていることも、
全て台無しになってしまう。
「ねー。本当にそうだよ。幽玄斎さんのいうとおりですよ」
部屋に入ってきたのは朱莉だった。
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