第414話 伊弉諾神宮

「もし時間が取れるんだったら、

この後学校に寄らせていただけないでしょうか?」


「ああ、そういうことだったのね。

とりあえず狸の皆さんの調査の方は午前中で終わるから、

その後学校へいきましょうか。

私も久しぶりに挨拶したいしね。

代田さんもそれでいいかな?」


「はい。私はもちろん皆さんについていきますので、

緑箋さんが通っていた学校にも興味ありますから、

楽しみですね」


「すみません、ありがとうございます。

じゃあちょっと連絡入れておきます」


朱莉に時間調整をしてもらって、

緑箋は学校に連絡をしておいた。


朝ごはんを食べ準備が終わると、

柴右衛門狸たちが出迎えに待っていてくれた。


「またいつでも遊びに来てください。

今度はまた違った楽しい舞台をご用意いたします」


「こちらこそ、ものすごい歓迎の数々、

本当にありがとうございました。

また今度はこっそり旅でこちらに寄らせてもらいます」


狸たちとがっちり握手をして緑箋たちは宿を出た。

これで狸関連は一区切りとなるが、

淡路島に来ているということで、

淡路島の調査も兼ねて次に視察するのは、

伊弉諾神宮いざなぎじんぐうである。

なんと言っても正面鳥居の大きさにまず圧倒される。

27尺(8.18181メートル)の高さの鳥居が青空高く聳え立っている。


前の世界では、

日本で最も古い神社とも言われている神社である。

「日本書紀」に出てくる記述がこの伊弉諾神宮だとされている。

建物は江戸や明治期に再建されているので古代の建物は残っていないが、

鎌倉期のものと見られる神像が2004年に新たに見つかっているので、

やはり由緒正しい神社である。


伊弉諾尊と伊弉冉尊が国産みを終えて、

幽宮かくりのみやにしたのがこの神社の起源とされ、

もちろん諸説あるわけだが、

今もまた観光客が絶えない場所である。


そんなこの伊弉諾神宮は、近畿の大五芒星の結界の置かれている場所でもある。

ただその結界は近畿を全て覆ってはいなかったので、

より強力な結界に順次変えられてきていて、

沿岸部を全て覆うような結界に変えられてきている。

それが緑箋が和歌山の潮岬での戦いの結果によるものでもあるのだから、

人生に何が起こるかわからない物である。


順次結界が変わるということになっているが、

近畿の大五芒星の結界はそれはそれで強力な物であるので、

近畿を守る防衛装置としての機能は今後も残っていく。

ということで、今回はその結界の様子を視察に来たのだった。


伊弉諾神宮にはもちろん宮司がいるわけだが、

結界を見守って整備しているのは魔法軍の隊員である。

その隊員に出迎えられるが、

隊員も新職のような真っ白な着物を着ていたため、

結局宮司なのか隊員なのかよくわからない感じだった。

彼がいうには、

一般の参拝客などに迷惑にならないようにということで、

神職と同じ格好をしているということだった。


彼が伊弉諾神宮を案内してくれて、

結界の場所に到着した。

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