第397話 道後温泉本館

道後温泉本館は木造3階建ての建築で、

当時の驚きは今に伝えられている。


建物が複雑に絡んでいるため屋根は複雑に絡み合っている。

特徴的入母屋造りの屋根は、日本の伝統的な建築様式を象徴し、

唐破風玄関は、華やかさを演出するような造りで、

窓には赤いギヤマンが用いられ、

和と洋が見事に融合された外観を演出していた。

建物の上には振鷺閣しんろかくという宝形造の塔が建てられており、

その屋根の上には白鷺が輝いている。

その中には太鼓があり、朝と夕の6時に打ち鳴らされる。


前の世界で道後温泉本館は工事などの影響で休業しているが、

2024年(令和6年)7月11日より営業が再開されるという。

とてもタイムリーな話ではあるが、

その日に合わせて書けないところが作者の残念なところである(笑)。


道後温泉本館は温泉を利用できるし、休憩室も利用できるのだが

実は宿泊施設としては利用できない。

宿は別ということになるのだが、

今回は特別に緑箋たちは泊まることを許されたということになる。

それだけ狸たちと密接な繋がりがあるということでもあるし、

今回の出来事に緑箋たちが多大な貢献をしてくれたという証でもある。

営業を停止して即泊まってもらうように案内しようと狸たちはしていたようだが、

流石にそれは固辞して、

温泉は営業してもらいながら、

3階の泊まる部屋に案内してもらった。

そしてもちろんそこでは大宴会が行われることになった。


会議が終わったというのにまた有名狸たちが勢揃いして、

宴会の準備が始まった。

新鮮な魚の刺身、

鯛めし、鍋などが次々に並んでいく。

もちろん地酒も並んでいるが、朱莉はそても苦々しく眺めている。


「ごめん、緑箋君。

もしダメだったら呪文かけてくれないかな?」


今日も一日とても大変だったことを緑箋は知っている。

始まる前から色々な調整を行なって、

会議に参加することからもう大変なはずだった。

会議の途中からの戦いの最中にも、

内と外に連絡をしながら、中の支援も的確に行なってくれたのが、

今回の戦いにおいてどんなに重要な役割をしてくれたのかということを、

緑箋は痛感している。

自由に緑箋たちが行動できたのも、作戦を遂行できたのも、

全て朱莉のおかげだった。


「大丈夫ですよ、朱莉さん。

この後はしっかり面倒見ますから安心してください。

でも飲み過ぎはダメですからね」


緑箋は軽く酔虎覚醒湯すいこかくせいとうを唱えてかけておいた。

全く酔わないというのも面白くないだろうから、

緩やかに酔えるようにとの配慮である。

この配慮が吉と出るか凶と出るか、

緑箋にもまだわからなかった。


「ありがとう緑箋君。

恩に切るよ」


そういうと朱莉は嬉しそうに笑った。

息抜きもたまには必要である。

たまにはかどうかわからないが。


「代田さんも大活躍でしたから、

いっぱい食べて飲んでくださいね。

僕がいうことじゃないですけど」


緑箋は大活躍だった代田にも同じように声をかけた。


「ありがとうございます。

緑箋さんも一緒に楽しみましょう」


代田も珍しく笑顔だった。

みんなの笑顔が見れたことが緑箋にとって一番大切なことだった。

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