第389話 作戦会議

狙いはまだよくわからないが、

緑箋はそれに関しても一つ間gなえを狸たちに伝える。

狸たちは驚きつつも、

六右衛門狸が豹変したことに関して人るの説としてはあり得ると納得する。

ただ目的が何であれ、

今のこの状況が危険なことには変わりがない。

すでに緑箋は周囲からの攻撃に対しての作戦を伝えており、

その作戦は着々と進行していた。


金長狸からは六右衛門狸の妖術や一門の能力など、

把握できるところの能力を共有し、注意と対処方についての知見を渡しておく。


実のところ緑箋は一番頭を悩ませているのは、

会場内の狸の無事はもちろんだが、

六右衛門狸たちの無事も考えているというところである。

一網打尽全滅して仕舞えば話が早い、

数的には変わらないのだからとっとと攻めに転じようという狸も多かったが、

それを抑えることも大変であった。

腕に自信がある狸たちだけではない、

子供たちも数多くいることなども考慮して、

今の所は隠神刑部を中心にまとまっていた。

ただ一旦綻び始めてしまうと、大虐殺のような状況になりかねない。

これは双方にとって痛手であり、また遺恨を残すことになる。

戦うということは簡単だが、

戦いを納めることは難しい。

これは歴史が物語っている。

そしておそらくこのまま開戦することで、

狸たちだけではない被害が起こることを緑箋は危惧していた。

何とか今のうちに、この大狸会場だけでことを収めることを考え続けていた。


交戦的な狸たちもいる中、緑箋は指導者の狸たちに一つだけお願いをした。


「部外者の私が口を挟むことではないかもしれませんが、

魔法軍の中の一人としてお願いがあります。

これは猫高橋にも確認してもらいましたが、

魔法軍の判断と考えてもらって結構です」


緑箋は朱莉に目配せをすると、

朱莉は大きく頷いてくれた。


「現状、これから攻撃が開始されると思います。

すでに皆さんにお願いした通り、こちらの準備も進んでおります。

今内側をしっかり防御させていただきましたので、

最初の攻撃の被害はないと考えております」


頑丈そうな内壁を見ている狸たちも、

そこに関しての問題はないようだった。


「皆さんもご存知の通りですが、六右衛門狸の攻撃の想定は先ほど話した通りです。

火攻めが最初になると思います。

これに関してもすでに対処済みです。

問題はその後の直接対決になると思いますが、

ここにくる前に一つ私どもの方で確認させていただきたいと思います。

もしこれは今話したことの想定とは違っていたならば、

こちらからも総攻撃を仕掛けることになるかと思います」


おおーという声が交戦的な狸から上がる。


「しかしもしこちらの想定通りであった場合、

皆様にはこのままこちらで待機していただきます。

金長狸さんと隠神刑部さんに関しては手筈通りの作戦でお願いします」


承知したと二人は頷く。


「皆さんにも言い分はあるかと思いますが、

今回この作戦を飲んでいただいたこと感謝しております。

この感謝は結果として提出させていただければと思っております」


場内の画面には外の狸の様子が映し出されている。

六右衛門狸一派もそろそろ準備が出来始めたようである。


「では金長狸さん、代田さん、行きましょう。

朱莉さん、中はよろしくお願いします」


「分かったわ。

緑箋君も代田さんも気をつけてね」


3人は拳を合わせる。

緑箋たちは狸たちにも挨拶をして奥の方へ姿を消した。


緑箋たちが会議場を後にしたと同時に轟音が響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る