第378話 四国行きの予定

数日後。

朝、緑箋と代田が執務室へ行くと、

朱莉もやってきた。


「四国行きが決まったから。

緑箋君と代田さんは準備しておいてね。

明日から三日位行くと思う。

幽玄斎さんは別の仕事ね」


朱莉は笑う。


「あれ、淡路に行くんじゃなかったんですか?」


緑箋は最初淡路という話を聞いていたことを覚えていた。


「一応狸たちの話を聞くために、

各地を回ろうと思っていたんだけど、

なんか向こうは向こうで狸の集まりがあるみたいで、

私たちもそれに便乗していいってことになったから、

狸の集まりに参加することになったの」


「狸の集まりですか」


狸の集まりに参加するという言葉だけ聞くと、

かなり平和なお祭りを想像してしまう。


「お祭りみたいなのを兼ねてという感じみたいだね。

私は知らなかったんだけど、

結構有名みたいだよ。

狸たちは日本各地に生息しているから、

そのつながりを深めたり交流することが目的みたいだね。

商売も上手だから、

新しい商品の開発だったり紹介だったりもするみたいだよ」


「狸の集まりというよりも、

本格的な会議みたいに思えますね」


「話を聞く限りだとそんな感じだね。

一応客人として招いてくれるという話に落ち着いたから、

狸たちの会議?話し合いにも参加していいってことになったの」


「じゃあそこに参加すれば狸たちの大抵の問題を聞けるってことですね」


「まあそういうことだね。

一気に話がまとまって良かったような悪かったような」


「それって日本各地に行こうと思ってたからですか?」


「ふふふ、それはご想像にお任せします」


朱莉はイタズラっぽく笑った。


「代田さんは初めての移動と宿泊になるかと思うけど、

準備は大丈夫そうかな?」


「こちらにきて宿泊もしておりますので、

着替え等だけ持って行こうかと思います」


「そうだね。

たえさんと一緒に準備してもらうといいと思う。

必要になりそうなものはこちらで用意しておくし、

情報は端末で確認してもらえるかな。

もし何かあればなんでも聞いてください」


3人の話がまとまりかけたところで、

幽玄斎がそっと手を上げた。


「あのー僕は何かすることはあるんでしょうか?」


「幽玄斎さんはまだ前の任務の方には戻らないことになってるから、

ちゃんと遼香さんについて回ってもらうことになるかと思いますよ」


「そういうことですね。

じゃあ後で遼香さんに確認しておきます」


「はい、お願いします。

今の所はそんなに大変なことはないと思いますから、

大丈夫だと思いますよ」


「平和なことはいいことですが、

平和だと遼香さんが平和じゃなくなる気もするんです」


「ああー遼香さんが体を動かすのに付き合わされるということですね」


「そうそう、そんな感じです」


朱莉と幽玄斎さいは苦笑いをした。


「おいおい、どういうことだそれは」


遼香が入ってきた。


「私がいないところで私の話で盛り上がってるのかな?」


「そりゃそうですよ。遼香隊なんですから、

話の中心はいつだって遼香さんですよ」


さすが長い付き合いである。

朱莉は遼香の対応に慣れている。

すっと話を逸らした。

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