第369話 世界の魔法から

「さて、みんな世界の魔法と言えばどこを思い浮かべるだろうか?」


今日の生徒は緑箋、代田、たえである。


「イギリス!」


たえは元気よく答えた。


「そう正解!

確かにイギリスは魔法大国の一つです。

妖精やエルフという様々な種族も暮らしている国です。

じゃあ代田さん。どこか一つ思い浮かびますか?」


「ええと、清国でしょうか?」


「はいその通りです。大陸の清国も魔法大国です。

日本は大きな影響を受けていますね。

では最後緑箋君。

他にもありますか?」


「インドはどうでしょうか?」


「インドも魔法大国ですね。

様々な神話が存在しています。

清国にも影響を与えていますし、

それが日本にも伝わってきています。

その他にもエジプト、ギリシャ、イタリア、ロシアなんかも有名です。

それぞれに特色がある魔術体系を持っています。

魔族との関係の中、

人間同士の争いは少なくなり、

一致団結して魔族と対抗する必要が出てきてからは、

各国交流が行われるようになっていますので、

様々な魔術が組み合わさった魔法というのが主流になっています。

もちろんわが日本もその中の一つですし、

中国やインドの魔法を取り入れてきた歴史から、

それを日本独自のものに改良を重ね、

さらにまた新たに世界の魔法を取り入れて進化しています。

日本の魔法技術は世界の最先端を走っているといっても過言ではありません。

これは日本の言葉の持つ繊細さが魔法をとらえる言葉としてかなり優秀である、

そういった面が今世界で魔法を引っ張っていっている国として知られる一つです。

ファイアボールという言葉一つにしても、

日本語では様々に言い換えることができますから、

それぞれが持っている火の玉に対する想像力をより明確に言語化することで、

呪文としてファイアボールを使いこなすことができやすいということになります。」


「結構魔法って難しいものだと思っていたんですけど、

みんながいっぱい魔法を使っているのは、

日本語がすごいっていうこともあるんですね」


「たえさんのいう通りだね。

今は世界でも魔法学校が多く作られているから、

教えられている人が多いんだけれど、

日本では昔から各家庭で魔法について学ぶ機会も多かったから、

日本語が持つ特製の一つなのかもしれないです。

たえさんも最近みるみる魔法が上達していますから、

日本語が役に立ってるかもしれないですね」


たえは幽玄斎にいきなり褒められて照れてしまっている。


「代田さんも土属性魔法一つとっても様々な使い方をされていますので、

それもまた日本語の特性かもしれません。

あれだけ多彩な使い方をされると、

なかなか対処が難しいです。

歴戦の勇者の力は侮れませんね。

いつも学びでいっぱいです」


幽玄斎は代田との訓練のことを思い出しているようだった。

代田も幽玄斎に褒められて満更でもないようであった。


「さあ、じゃあ今日の授業はこれくらいにしましょう。

っていってもまたみんなで訓練するんですよね?

僕もいい加減こっちに住みたくなってきましたよ」


幽玄斎はいまだに別の寮に住んでいる。

それも仕事の関係なので仕方ないのだ。


「いつでもこちらにいらしてください」


緑箋がそういうと、

幽玄斎はそうしたいんですけどねえといって悔しそうに部屋を先に出ていった。

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