第363話 驚く3人

入ってきたのは、朱莉、幽玄斎、代田の3人だった。


「ちょうど2人が出てくる時に一緒になったんで、

幽玄斎さんを案内がてら連れてきました」


「私も初日で場所がおぼつかなかったので、助かりました」


「何か楽しそうなことやってるんですか?」


三者三様な発言だった。


「新しい武器を試しているんです」


緑箋がそういうと、幽玄斎と代田が緑箋に近いて武器を見せてもらい始めた。


「これは見事な刀ですね。

まず見た目が美しすぎるし、

なんでしょうねこの輝きは。

今までたくさん刀を見てきましたけど、

こんな不思議な輝きは今まで見たことがありません」


幽玄斎は自分の得意武器の刀なのでやはり詳しいようだが、

流石に無月の輝きの不思議さには驚いているようだった。


「そうそう、試したいことがあったんだ。

朱莉、敵の設定を人間にしてみてくれるかな」


「わかりました。

数は一体でいいんですか?」


「それでいいよ。ありがとう」


朱莉の設定が終わると、敵が人に変更された。

遼香が星砕にまた魔法をこめる。

先ほどと同じように星砕が輝き出す。


「あれは星砕という武器です。

星を砕くという拳につける装備です。

手甲とか小手とかのような拳につける武器です。

今は星砕に多分何か属性魔法をかけてます」


緑箋が幽玄斎と代田に説明する。

遼香はまた静かに敵に近づくと腹の真ん中を軽く殴る。

敵は軽く浮いて吹き飛んでいくが、

先ほどのような体がえぐれるような効果は現れていない。


「あれおかしいな?

属性魔法を込めてなかったのかな?」


緑箋が先ほどとは違う感じの攻撃なのかと、

疑問に思ったことが言葉に出てしまっていた。


「いや緑箋君。さっきと同じ土属性の魔法を込めたんだが、

今回は吹き飛んでいっただけだったね。

軽くやっただけであの効果だから、

威力は上がった気がするが、

体に対する属性効果はないね」


「それってもしかしたら……」


「おそらくそうだろう」


「いやちょっと待ってください。

二人で通じ合わないでくださいよ。

私たちにも教えてください」


朱莉が抗議する。

口を挟めなかった幽玄斎と代田は朱莉にありがとうと心の中で感謝していた。


「まあそうだな、これは見た方が早い」


遼香は朱莉に魔族と人間を一体ずつ出してもらい、

遼香は土属性を乗せて攻撃をみせる。

魔族は砂になり、人間は吹き飛んでいった。


「ちょっと待ってください。

これすごすぎませんか?」


幽玄斎は魔族の体が砂になっていく様子を見て驚きの声を上げた。

朱莉も代田も同じように口をあんぐりと開けている。


「まあ見ての通りだよ」


遼香は少しだけドヤ顔をしているような気もした。


「ちょっと遼香さん、もったいぶらないでください。

どういうことか説明してくださいよ」


朱莉がまた抗議する。

口を挟めない幽玄斎と代田はやっぱり心の中で朱莉に感謝している。

遼香は朱莉の抗議に対して何か言いかけようとした時、

また扉が開いた。


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