第354話 煌輝石の効能

「そういう危険な武器ではございますが、

煌輝石を配合したことによりまして、

効果が増えたことがございます。

それができに攻撃を仕掛けた後、

その攻撃の効果が続くことになります」


「効果が続くというのはどういうことでしょうか?」


「緑箋殿の疑問はご尤もでございます。

この効果も今の所よくわかっていないのですが、

どうやらこの武器で攻撃された場合、

一定時間回復効果が聞きにくい状態になるようでございます。

例えば殴られた場合、

その攻撃効果がその部位に広がり続けます。

内臓へ響くような攻撃ならばその効果が続くとなると、

恐ろしいことになるわけです。

さらに言えば、

刀で切断された場合、

傷口が塞がりません。

魔力が漏れ続けることになります。

さらに切断されてしまった場合、

即座に回復することができません。

これはどうやら魔族の身体能力を持ってしても防げないようです」


「確かに、上級魔族だと多少の傷は勝手に回復してしまうし、

切られたとしてもくっついたりするからね。

その回復能力にも効果があるということ?」


「朱莉殿のおっしゃる通りです。

しかし本当の上級魔族に対してどの程度の効果があるのかまではまだわかりません。

訓練室で仮想敵と戦った結果はかなり高い効果が見られました。

そして実はこの効果は魔族のみに反応するようで、

魔族以外のものに関しては従来の武器と同じような効果で止まっているようです。

素の攻撃力が高いのでそれほど重要視していなかったのですが、

調べてみるとそういう効果があるようです。

普通の魔法銀の武器にも対魔の力があるという話もありますが、

基本的には魔力が高まることへの効果の方が大きいように思っております。

どうやら魔族への効果が出ているのは、

煌輝石によるものかと思われます」


「まさに本物の対魔の武器ということになるわけですね」


緑箋は刀身を見つめている。

無月は怪しく虹色に輝いているように見える。

これが煌輝石の輝きなのだろうと思っている。


「あくまでも訓練室での実験効果ですので、

実戦でどのようになるのかはまだわかりかねます。

なのでそのような効果が期待できるかもという程度でお考えくださった方が、

今は安心できるのではないかと思われます」


「いや、本当にそんなすごい武器をいただけるなんて、ありがとうございます。

やはり僕には勿体無い武器なのではないかとおも‥‥」


そう言いかけた緑箋の最後を遼香が奪い取った。


「緑箋君の気持ちもわからないでもないが、

その武器に相応しいと思ってくれた人たちの気持ちがこもってるんだ。

それ以上は言っちゃいけない。

もし今は力が足りないと考えているのなら、

これから相応しい力を手に入れるために努力すればいい。

そして胸を張って無月の持ち主であると言える実力をつけるんだ」


「ありがとうございます。

必ずそうなるようこれからも努力します」


「その言葉、大江山のみんなにも必ず伝えさせていただきます。

みんな喜びます」


茨木童子は笑顔で答えた。


「まあ、無月に相応しい持ち主が緑箋君意外にいるとは思えないけどな」


遼香は豪快に笑った。

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