第348話 ダイダラボッチとの一日がようやく終わる

一日にして鳳凰寮の部屋が半分埋まってしまった。

部屋の片付けが終わって、代田とたえも食堂に顔を出した。

どうやら朱莉の大声が聞こえていたらしい。

緑箋だけではなく、遼香と朱莉も住むことになったということを聞かされて、

代田とたえも驚いていた。

代田はここに住まわせてもらえるだけでありがたかったし、

たえもたくさんの人が一緒に住むことは嬉しそうだった。


「これからは私が皆さんのお世話ができるように頑張りますから、

なんでもおっしゃってくださいね」


たえは腕まくりをするような仕草をして、やる気を見せてくれた。


「たえちゃん。別に管理人さんじゃないんだから、

あんまり無理はしないでね。

やりたくないことはやらなくていいんだから」


「朱莉さん、ありがとうございます。

私は今まで旅館に住んでたんですけど、

ただイタズラするだけだったんです。

それで喜んでくださるお客様もたくさんいて、

私も嬉しかったんですけど、

一生懸命働いている旅館の方々を見て、

大変そうだけど楽しそうにしていらっしゃっていたので、

私もあんなふうに働いてみたいなって思っていたんです。

代田さんの家に招いてもらって、

代田さんに教えてもらいながら色々覚えてきたので、

今度はそれを生かしてみたいなって思ったんです。

ご迷惑おかけするかもしれませんが、

何卒よろしくお願いします」


たえは丁寧に頭を下げた。

ここまで言われてしまっては、

朱莉も遼香も緑箋も断るわけにもいかない。

むしろありがたい限りである。


「わかりました。たえちゃん。

じゃあまずはご飯とお掃除からお任せしておこうと思う。

私たちもちゃんとやるけどね。

もし人手が必要だったらちゃんと言ってね」


朱莉はたえに任せることを伝えると、

たえは嬉しそうにはいと返事をした。


「まだ材料がないから、

明日の朝ごはんはみんなで食堂で食べましょう。

食材は支給してもらうことにするから、

明日の夜ご飯からお任せしてもいいかな?」


「任せてください!」


たえは嬉しそうにしている。

みんなは好きなものを伝えて、嫌いなものはないことを確認する。


「明日から頑張りますね」


そういうとたえと代田は部屋に戻って行った。


「遼香さんと朱莉さんは荷物はどうするんですか?」


「私は服だけあればいいから、

明日の夜にまたここに来るよ」


「私も荷物はそんなにないから、

明日の朝、みんなを迎えに来るときに荷物持ってくるね」


手伝いはいらなそうだなと緑箋は思った。


「わかりました。

お手伝いが必要であれば言ってくださいね」


ありがとうと微笑んで、

二人も一旦帰って行った。


またまた長い一日が終わろうとしていた。

なんだかんだ言って結局この家が遼香隊の寮みたいになったなと思って、

緑箋は苦笑いした。

また楽しそうな日々が始まる。

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