第337話 札の効能

「じゃダイダラボッチたちも来てくれたから、

緑箋君、お札を貼ってもらえるかな」


「わかりました。

邪魔にならないように、背中に貼っておきましょう。

湿布みたいですけど、

違和感はないと思います」


緑箋は呪符を貼ると、

普通の大人の大きさまでさらに小さくなった。


「どのくらい持つかというのは試したことがないんですが、

剥がれなければ一週間くらいは持つんじゃないかなと思います」


「え?そんなに持つの?」


朱莉はびっくりしている。


「札にすると呪文の効果が伸びると言いましたが、

なんで伸びるのかはよくわかりません。

僕の感覚では札の持つ魔力と呪文の魔力が定着するとこと、

その効果を札を貼っている人の魔力に合わせて使い続けているので、

補足長く呪文の効果が続くのではないかと思っています。

今までは自分で呪文を書き直せばよかっただけなので、

札を使う必要がなかったんですが、

今回はこういう機会なので、

実験というのは失礼ですが、

僕も少し期待しているんです」


「札は剥がれませんか?」


ダイダラボッチが質問する。


「これも魔力でつけているので、

無理やり剥がそうとしなければ、

普通に生活する中では剥がれないと思います。

寝ている時に寝返りを打っても大丈夫です」


「それは便利ですな。

ありがとうございます」


「まあ実際問題として、この札の使い道があまりないんですよね。

今回みたいに長期間にわたって効果をもたらさなければならない、

そういう場面があまりないんですよね。

強化にしても回復にしても、

自分がいれば呪文を唱えればいいだけで、

敵に弱体効果を与えるにしても、

わざわざ札にする必要がないんです。

溜めておけるのであればまた違うんですが、

結局自分がいないといけないので、

使い道がないんですよね。

有効利用できる方法があれば、

って思ってますが、まあ一つの使い道として、

今回いい機会をもらえたなと思ってます」


「よーし、これで今の所はひと段落落ち着いたってところかな。

ダイダラボッチと緑箋君には今後もこのことの研究を進めてもらいたい。

今の第一の任務はそれになるかな。

それとちょうどいいので、ダイダラボッチと緑箋君の新入隊員としての訓練は、

今後は一緒にやってもらおうと思う。

緑箋君はまた重複する部分もあろうかと思うが、

まあ振り返りだと思って気楽にやってもらえたらと思う。

それでだ、これからのことも考えて、

ダイダラボッチに名前をつけたいんだが、

何かつけたい名前はあるかな?」


「特にありませんが、たえは何かあるかな?」


「私はだいださまと読んでおりますので、

だいださまがいいかと思います」


「そうか、じゃあやっぱり代々、代わるの代に

田んぼの田の代田にしよう」


「名前ですか?苗字ですか?」


緑箋は遼香に尋ねる。


「苗字も名前もいらないよ、

ダイダラボッチは」


代田法師だろう?そういって遼香は笑った。


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