第204話 三学期末、組対抗戦

一年の終わりに、総仕上げとして行われるのが、

三学期の期末試験を兼ねた、組対抗戦である。

大規模での戦いを想定して戦うことを目的としている。

一組が三十名程度になるので、

元の世界の軍隊で言えば小隊クラスと言うことになる。

十名程度の分隊が三、四集まって小隊となる。

小隊にも役割が振られて、

それがいくつか集まって中隊となる。

基本的には百名から二百名くらいが中隊の規模となる。

その中隊がさらに集まって連隊となる。

連隊は一千名程度の規模となる。

この辺りは国によっても状況によっても様々違ってくる。


と言うことで今回の戦いは小隊の戦いと考えればいいだろう。


戦闘は例によってトレーニングルームで行われる。

装備は制服のみ。

武器防具、その他の品物を持ち込むことはできないが、

魔法、スキルは全て使用可能。

一定以上の体力を失った時点でその生徒は退場する。

戦闘する場所は平原で障害物は何もない。

地面は土である。

五十メートルほどの距離を保って三組が陣を敷く。

戦闘時間は一時間。

その間に二組が全滅していた場合も終了となる。


一組の戦術確認が行われた。

四人一班という訓練が行われていたので、

それが基本単位になりそうである。

二人が攻撃、一人が支援、一人が防御となる。

支援と防御は手が開けばどちらも兼務しながら回復もこなすことになる。

ただ、この構成は今回の戦闘においてはあまり適してない。

支援と回復の手が最初以外は暇になるからである。


さらにいうと今回は三つ巴という、普通の戦場ではありえない戦いになっている。

序盤から積極的に戦闘を仕掛けてしまうと、

結局二つの組から集中攻撃を受けてしまうので愚策となる。

序盤はやはり状況を見守るのが基本戦術となるだろう。

そういった意味も込めて、

支援や回復の人数を減らし、攻撃の人数を増やすことにした。

攻撃の要は雷御門と咲耶である。

この二人の戦術を中心に二つの班に分けることにした。

単純に戦力を半分にするのは危険ではあるが、

この二人戦闘能力の高さは折り紙付きである。

もちろん相手にも目をつけられているわけだが、

それでも個人能力は突出している。

この二人を中心にしっかり支えることが重要になってくる。

集中攻撃が来ることも想定しなくてはならない。


支援回復は須勢理を中心に三名ずつ六名を配置した。

最初は各自自身に強化魔法をかけ、

切れたり効果が剥がされたりするときにかけ直すことを第一に行ってもらう。


雷御門の提案で一つの作戦がとられることになった。

これはみんな納得の作戦であった。


「まあ、これくらいやってもらわないと困るからな」


雷御門はそう言って笑った。

そして緑箋もみんなにお願いをした。

これに関しては異論もかなり出た。

しかも誰も緑箋に支援をおかず、

この作戦に関しては緑箋に任せるということで、

緑箋が失敗すれば全て破綻するという、

外から見たらあまりにもお粗末な作戦であった。

もちろんこの作戦を支持してくれたのは、

咲耶であり、須勢理であり、龍人であったが、

それだけではなく、今までの緑箋のしてきた行いや、戦いぶりを見て、

徐々に組の中でもこの作戦を任せようという輪が広がっていった。


「緑箋がやるって言ってるんだから、それでいいだろう?

こいつはやる時はやる男だ。

それに負けたら緑箋のせいにすればいいだけだからな!」


雷御門のセリフが決定打となり、

みんなの心が一つにまとまった。


時間になり、

試合が開始される。

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