第193話 加工工場

最深部の調査を終えて一行はまた上に戻って来た。

ちょうどお昼になったということで、

お城でお昼をいただくことになった。

もちろん向こうが準備してくれていた。


お昼はそばだった。


おにそばです。お口に合いますかどうか」


鬼そばは福知山の郷土料理である。

鬼の伝説がある場所で出されるそばということで、

硬いという意味のこわいそばから、

そばがそばとなって、

今は鬼そばと呼ばれるようになったということだ。

つなぎに自然薯を使っているのが特徴だという。

つなぎのせいなのか十割蕎麦なのにしっかりとした歯応えもあり、

出しが聞いたしるも暖かく、

体の芯から染みる味だった。

山菜の天ぷらなどもとてもサクサクとして美味しく、

みんなはこのおもてなしにまたまた心を打たれてしまった。


「これはぜひ全国に商品を展開したいほど美味しいですね」


金光は金の匂いを巧みに感じたようだが、

乾麺にすると風味がなくなってしまうので、

なかなか日持ちするようにするのは難しいようだった。

商品を多くうるということも一つの手ではあるが、

ここにしか食べられないということで、

その商品の価値を高めていくというのも手である。

それは売り出したい人の気持ち次第のところもあるし、

時代の流れや運ももちろんある。

全ての道が正しいとも言えるし、

全ての道が間違っているとも言える。

結局結果論でしか物事は図れないのかもしれないが、

やりたいことをやるというのが一番いいのだろう。

やりたかったことを一生懸命やったならば、

その結果にも満足いくはずである。

でもやっぱり失敗するのが怖いのは人情である。


ご飯を食べて少しみんなゆっくりした後、

次に案内されたのは加工工場であった。

工場というのは大袈裟ではなく、

かなり効率的に物事が運ぶような施設が作られているようだった。


地下水が川になって豊富に流れている場所に建物が建てられており、

水を多く使える環境になっていた。


ここには普通の鉄を作る場所に加えて、

たたら場もあって、

そこでは白鋼しらはがねも作られているそうだ。

白鋼は元の世界では今現在玉鋼として知られている、

刀に使うので有名な金属である。

作成するときに低温で作ることで、

不純物の含有率が少なく、

粘りのある鉄になっている。

刀を作る際、

折れにくく、曲がりにくく、斬れやすいという、

刀にとって最高の素材となっているのである。


鉱石やこの鉄自体もさまざまなところに出荷しているが、

もちろんこの大江山でも鍛治職人が多くいる。

刀もたくさん作られているし、

装備品にとどまらず、

日用品なとも多く作られている。


魔法銀の加工過程も見せてくれた。

魔法銀独自の日用品、装備品なども数多く作られていて、

加工をするときにかなり繊細な要素がたくさんあある、

魔法銀の加工のところを教えてくれて、

やはり日万里は興奮しまくっていた。


文化祭のときにも魔法銀の布を使った加工を学んでいたこともあり、

須勢理や咲耶も楽しそうに加工する場面を見ていた。


そして最近は白鋼と魔法銀を組み合わせた武器や防具の開発も進んでいるという。

まだ試作段階ではあるが、

鉱物としての高度を保ちつつ、

魔力を高め運用をしなやかに行えるような武器も開発されているという。


そして今回はなんと、

三年生に向けて特別な贈り物が用意されていた。

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