第190話 虹色の石
土蜘蛛の子供たちと、土蜘蛛族の子供たちと楽しそうに遊んでいると、
土蜘蛛族の大山田と僧の格好をしている土蜘蛛が、
二人揃ってやってきた。
大山田が話し始める。
「魔法石の採掘は順調で、
魔法銀も今まで以上に採掘しているんですが、
土蜘蛛の子供が珍しいものを持ってきたんです。
これがこの石です」
大山田が持ってきたのは虹色に輝く鉱石だった。
「これは綺麗ですね」
「皆さんはこれを確認していただきたくて、
持ってきたんです」
薬学研究部のみんなもこの石を見てその綺麗さに心を奪われている。
土蜘蛛の子供の一人が、
「これは僕が見つけたんだよ!」
と胸を張って自慢している。
「これは
普段とは打って変わって真面目に日万里が石を眺めている。
「私も見たのは初めてです。
というかこの煌輝石をみた人がこの世に存在しているのかもわかりません。
伝説の金属というのは実は世界にはあまりなくて、
金属や宝石に触れることが少なかったからか、
あまり想像上のものというのは多くありません。
煌輝石もそう言った意味で本当に存在しているのかわかりませんが、
煌輝石を使った伝説の武器が魔を断ったという話があります。
石自体に退魔の力があるとされていますが、
あまりにも固いためその加工が難しいという話です」
「確かにこれは綺麗だけれど、
これだけでは売れないだろうなあ。
どちらかというとしっかり加工した方がいいものでしょうね」
金光は少し残念そうである。
「魔法銀は魔法能力を高めてくれる力がありますが、
これが煌輝石だとすると、
魔法力を高めるというよりは、
魔族に対して攻撃能力が上がるというような使い方や、
魔族の攻撃に対して身を守るという感じで使った方がいいかもしれませんね。
もちろんもっと調べてみないとわかりませんが。
いやーそれにしてもこれは本当にすごいなあ」
日万里は石を見ながら、また自分の殻に閉じこもっていった。
「大山田さん、この石は採掘できそうなんですか?」
「それがね、緑箋さん。
この石が落ちてたところに行ってみたんですが、
確かにあったんです。
ただ鉱脈と言えるかどうかはまだわからなくて、
これからの調査次第になりそうです。
この石くらいでは製品にはなりそうもないですし、
加工技術を伸ばそうにも伸ばせそうもありませんし」
「確かにそうですねえ」
「ああ、今回の行程には入ってないんですが、
せっかくですから皆さん、行ってみますか?」
「いいんですか?」
「もちろんです。皆さんだったら特別にご案内しますよ」
日万里は大喜びでもう鉱山車に乗り込んでいる。
残念ながら子供たちとはここで別れて、
一行はさらに鉱山の奥へと進んでいった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます