第187話 最後の合宿の行き先
三年生が最後の合宿なので、
三年生が行きたい場所というのが一番いいと、
三年生が主体で話が進められる。
とはいえ幽璃は別に狩りができればどこでもいいような感じで、
金光もそれなりにどこへいっても合わせて楽しめるタイプのようだったし、
日万里は日万里で日本全国どこへでも行きたいという感じのようで、
全くまとまりがなかった。
いつもはどうやって行き場所を決めていたのかわからないが、
今回は最後なので大切にしたいという気持ちも大きいようで、
なかなかいく場所が決まらなかった。
天翔彩先生も遅れてやってきたが、
話はなかなか進まなかった。
「部長、ほんまに決めへんと、
最後にどこへも行かれへんようになりまっせ」
颯太郎が部長にしっかりとした意見をいうように促す。
そうか、意外とちゃらちゃしてそうだが、
いつも日万里を表立って支えてきた颯太郎が、
この薬学研究部の要となっていたことを、
改めてみんなは気が付かされていた。
みんなが悩んでいると、
日万里は思い出したように話を始めた。
「薬学研究部のうちにみんなと行ってみたいところがあったのを思い出したよ」
「ほう、部長、ようやく本題に入れそうやんな」
副部長も今ここで話が逸れないように、
しっかりと手綱を握る。
「そうなの。
多分今しか行けないだろうし、
行ったことがない人もいるから、
あそこはみんなでもう一度行った方がいいと思うんだ」
「ってことは行ったことがある場所なん?」
「うんそうだよ。
ほんとあそこはすごかったから、
今度は全員で行ってみたいと思うんだ」
「ええと思うよ。
それでどこへ行ってみたいんや?」
「これは緑箋君にお願いしたいんだけど……」
「僕ですか?」
「そうなの。緑箋君がいないと多分行けないと思うんだ」
「僕が知ってるところって言うと……」
緑箋は一つ頭に浮かんだが、
確かにあそこは珍しいものも多くて、
日万里の興味もものすごかったし、
詳しい話を聞ける状態でもなかったので、
今度はゆっくりいろんな話を聞いたり見せてもらいたいという気持ちはあったので、
また行ってみたいのは緑箋も同じだった。
「そう、大江山
あそこをみんなに見せてあげたいなって」
やはりそうだった。
鉱山で珍しい魔法銀も取れるし、
鉱物の加工や魔法銀の加工といったところも、
薬学研究部としてはまた一つ学びたいところでもある。
「先生これ大丈夫そうでしょうか?」
「大江山の方々に許可が取れるんだったら、
もちろん問題はないよ」
「わかりました。ちょっと確認してみますね」
緑箋は少し席を外し、
茨木童子に連絡をしてみた。
すぐに茨木童子に連絡がついたので、
緑箋は今回薬学研究部で行きたいと言う状況を説明する。
「緑箋殿、大江山はいつでも大歓迎ですよ。
この前も楽しませていただきましたからね。
今度はこちらでおもてなしさせていただきますよ。
もちろん施設の見学や説明も喜んでさせていただきます
なんて言ったって緑箋殿は大江山の救世主ですからね。
いつでも好きな時にお越しください。
泊まるところも用意いたしますよ」
救世主というのは言い過ぎだが、
歓迎してくれることは緑箋はとても嬉しかった。
細かいことを決めたらまた連絡しますと言って、
連絡を終えた。
部室に帰って緑箋は快く受け入れてくれたことを告げると、
みんなは喜んでくれた。
日程を詰めて全員が参加できる日程を組んだ。
その日程を茨木童子に伝えると、
快く了承してくれた。
薬学研究部最後の合宿は一泊二日で大江山に行くことに決定した。
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