第180話 帰宅する面々

戦い終わって少し話したあと、

流石にみんなは疲れが見えてきたので、

宴もお開きとなった。

あれだけ作ったおせちは完全に平らげられており、

三が日をご飯を作らずのんびりという計画は失敗に終わった、

というわけではなく、

作ったおせち以上の食料が追加されてしまったので、

逆に消費するのが大変な量になってしまった。

ぼちぼちと生徒が帰ってくるので、

そこで消費していけるとは思うが、

酒だけは消費できないので各自持って帰ってもらった。

大量の樽を捨てるのも大変だし。

軽く掃除や片付けやゴミ出しなどをみんなでやったあと、

各々帰宅して行った。


緑箋はそれぞれをお見送りした。


「やっぱり緑箋といると飽きないのう。

またみんなでこっちにも遊びに来るといい」


牛鬼たちは熊野坊に抱えられて飛んで帰っていった。


「激しい運動をさせられるとは思いませんでしたわ。

でもたまには楽しいものですね。

緑箋さん、また温泉にいらしてください」


玉藻前たちは戦った後とは思えないほど落ち着いて、

優雅に帰って行った。


「いやー緑箋、また負けてしまったのう!

まあそっちの鬼にはなかなか勝てんわ。

ガハハハハ」


酒呑童子は豪快に笑っている。

酒がたらふく飲めたので気分も良いのだろう。


「私はほんと大変でしたよ。

もう遼香さんとは二度と戦いたくないって思ってたんですけどね」


茨木童子は心底嫌な顔をしている。


「まあそういうな、こんな楽しい戦いは滅多にないぞ」


「それは酒呑童子様だけですって」


酒呑童子と茨木童子は漫才のように掛け合って話している。


「緑箋どの今宵は楽しい宴にお招きいただいてありがとうございました。

あの後私たちも大江山の皆さんと楽しくやっています。」


土蜘蛛族たちも楽しんだようだった。

大江山の一行も一緒になって帰って行った。


「緑箋さん、またいつかお手合わせいただきたいですね」


大獄丸はまだそういっている。


「いやーもう今度戦うなら、敵じゃなくて、

味方として戦いたいですよ」


「ああ、まあそういうこともあるかもしれませんね。

それはそれで楽しみかもしれません。

今度は鈴鹿山にもお越しください。」


「あ、それはぜひ、いつか遊びに行かせてくださいね」


「歓迎しますよ」


そういって大嶽丸も帰って行った。


「じゃあ緑箋君、私も帰るから」


遼香も帰り支度を終えているようだ。


「はい、お疲れ様でした。

ほんと次は前もって教えてくださいね」


「何をいっているんだ。

そんなことしたら面白くないだろう?」


まあ遼香はそういうと思っていた。


「いやーでも今回も楽しかったなあ。

また遊ぼう」


「それはもちろん光栄ですけど、

戦うのはもうやめましょうね」


遼香はそれには答えず、ははははと大きな声で笑った。


「じゃあまた会おう。

先輩も翠夢も元気でな」


日本の最高魔力の一人が正月早々なぜここにいるのかはさっぱりわからないが、

場を荒らすだけ荒らして、本当に楽しそうに帰って行った。

まあ確かに楽しかったのも事実ではあるのだが。

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