第177話 日本大戦争?
戦闘開始である。
よくよく考えると、日本の人間と妖怪の最大級の決戦と言ってもいい。
それがこの正月呑気に行われている。
「よし行こうか」
遼香の言葉に呼応し、
天翔彩が魔力、体力、身体能力強化の魔法をかける。
そして守熊田が防御効果を付与する。
その間、大嶽丸は嵐を呼び、
牛鬼と共に天に手をあげ、
雷を落とす、
かに見えたが、
嵐は吹きやみ、
雷が落ちる前にまさに雷雲が雲散霧消する。
土蜘蛛たちが地面に手をやり、
地面を通して石飛礫のようなものを放つ。
地面がぼごぼごと音を立てて、
石が飛んでくるように思われるが、
それもこちらに当たる前に全て止まっていく。
天狗は空中からクナイを一斉に飛ばしてくるが、
それも当たる前に数メートルの先の位置で弾き返された。
守熊田は両手を前に大きく広げ、
全ての存在を把握しているようにしながら、
魔法の前兆動作から全て破壊してくる。
どうでもいい攻撃に関しては当たる前に弾き返していく。
「ちょっとすごくないですか、
これだけの人数の攻撃を防ぐって」
「まあ多い時は数万単位で戦ってたからなあ」
遼香は事もなげに言う。
「さあ緑箋君、ぼーっとしてないで、こっちも行かないと」
遼香は片手を差し出す。
「
三本の竜巻が相手の陣営に襲いかかる。
空を飛ぶ天狗たちはたちまち竜巻に巻き込まれる。
「ファイアショットガン」
相手が竜巻に対して防御魔法を展開している最中、
緑箋も広範囲に小さな火球をばら撒いていく。
身を低く屈めていた土蜘蛛族に大打撃を与える。
「
遼香は竜巻を防御するのを見計らって、
激しく雷を落としていく。
次々と敵に攻撃を当てていく。
そこにふっと風が動いた。
なにやらの風が届く前に守熊田が吹き返す。
そして天翔彩が呪文を唱える。
「
周りに光の風がまとわりつくように流れる。
「玉藻前の毒だね。
相変わらず一番いやらしい攻撃をしてくる」
天翔彩はそう言いながらもしっかり対処して、
慌てる様子が全くない。
「さあいくよ!」
遼香は緑箋の手をとって飛び出す。
「いやいや、遼香さん?」
緑箋の戸惑いを全く気にもせずに、
敵陣の真ん前に飛んでいく。
その間敵から魔法が飛んできているが、
それも全て当たる前に防御壁に消えていく。
遼香は大嶽丸の前で緑箋を離す。
「思う存分やっちゃいな!」
「ちゃいなじゃないんです!」
緑箋の抗議は遼香の耳には届かない。
遼香は玉藻前を肉弾戦で処理している。
やっぱり肉弾戦が大好きなようである。
緑箋も遼香を見ているわけにはいかない。
目の前には大嶽丸が聳え立っているのだ。
すでに三十メートル程の大きさになって、
本気になっているようだった。
小さな緑箋を足で踏み潰してくる。
しかしそれも緑箋の頭の数メートル上で防御される。
緑箋はその隙を見て、
大獄丸の足の地面を抉り取る。
「ぐおお!」
大きな大嶽丸の地を這うような叫びと共に、
大嶽丸は体制を崩して後ろへよろける。
その腹に向かって抉り取った地面を固めて巨大な拳のようにして撃ち抜く。
どすんと大きな音と立て、
大獄丸はお腹を抑えながら前屈みになる。
前屈みになってきた大獄丸の頭目掛けて、
緑箋はうおおおおお!と叫びながら飛び上がり、
大獄丸の頭を両手で抱えると、
そのまま地面に大嶽丸の頭を叩きつける。
どーんという爆裂音とぐおおおおと言う大嶽丸の声が響く中、
ツノが地面に刺さって動けない大嶽丸の後頭部に、
緑箋は先ほどの巨大な拳を叩きつける。
「ぐおおおお!」
大嶽丸は大きな雄叫びを上げると、
なんと小さく分裂していく。
小さな大嶽丸は緑箋に向かって、
小さな雷を落として攻撃してくる。
しかし数百に別れた大嶽丸の雷は全て緑箋に当たる前に消えてしまう。
逆に緑箋はファイアショットガンを両手で乱れ打ちにして、
どんどん小さな大嶽丸に火の弾を当てて削っていく。
分裂することで一体一体の耐久力がやはりなくなっていて、
あっという間に完全に大嶽丸の体力を奪い、
大嶽丸は退場となった。
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