研修期間を終えての棚担当決定。

 私の働く書店では、4種類の人たちが働いています。

 1種類目は、正社員。

 2種類目は、パートの愛すべきおばちゃんたち。

 3種類目は、大学生のアルバイトたち。

 4種類目は、私みたいに正社員としてどこかで働いていたけれど、何らかの理由により、正社員を辞めて、アルバイトしてる中途半端な年齢の人。


 研修期間中は、研修中という名札をつけているのですが、ある日、自分のロッカーに、新しい名札がセロハンテープでくっつけられていました。

(ちなみに、研修中の名札ではなくなったのは、半年以上経過してからでした)

 今まで研修中、と書かれていた場所に「児童書」と書かれた名札。

 そう、この時私は、研修中の書店員から、児童書担当の書店員、にレベルアップしたのです。


 後から知ったのですが私の働く書店では、担当がある人とない人がいます。

 ある人は、担当のコーナーの近くをうろつき、本の発注をしたり、補充をしたり、返品をしたりします。その辺は、後日また詳しくお話しようと思います。

 担当がある人とない人の差、これに関しては私は分かりません。

 単に、出勤数の多さかな、と思ったのですが、そうでもなさそうです。

 そして、私が児童書に配属になった理由も、実はよく分かってません。

 確かに、面接のときに「どんな本を読むのか」と聞かれた記憶はあります。

 けれど、私が答えたのは「キャラクター文庫・文芸」だったので児童書ではありません。

 小さい時は夢中に読んでたけれど、最近は児童書なんて全然読んでないぞ……?


 そう最初は思いました。

 でも実際は、この副店長の采配が、私の人生を変えました。


 児童書担当として働き始めた私は、児童文庫(青い鳥文庫などの文庫)の帯で、児童文庫向けの小説賞があることを知ります。

 児童向けの小説なんて書いたことのなかった私ですが、そこから児童文庫小説賞を調べ、応募してみたのですが……。

 その年、書いたばかりの年に、一次審査を突破したのです。

 その次の年は、二次選考まで突破できました。


 児童書担当になっていなければ、私はおそらく児童向けに小説を書こう、なんて考えもしませんでした。

 これが、書店員になってよかったことの大きな一つです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る