第3話「クリスマスパーティー」ー3

 クリスマスパーティー会場は、カラオケ店だった。男女3人ずつ計6人だ。女性陣は、雪と、雪の友達の牡丹ぼたんちゃんと、私。男性陣は、綺一きいちと、羅輝らき星夜せいや。3人の名前の頭文字をとって「綺羅星きらぼし」というグループ名でアイドルを目指しているらしい。アイドルを目指しているだけあって、ヴィジュアルは確かにいいけど、ホストバリのノリが、生理的に受け付けなかった。雪が「みんなイケメンでしょう? こんな当たりクジなかなか引けないですよ!」と、私の耳元で囁いた。牡丹ちゃんは星夜狙いらしく、星夜の横にぴったりくっついて離れようとしない。羅輝は、雪狙いらしく、必死に雪を口説いている。カラオケ店なのに、皆、歌なんか歌っちゃいねえ。


(やっぱり、これ、合コンじゃん)


 急激にテンションが下がった私は、トナカイコスを着てこんなところにいる自分が恥ずかしくなった。


黒須くろすは、クリスマスイブの夜も一生懸命深夜まで働いているっていうのに……私は、いったい何をしているんだろう? 黒須に申し訳ない……雪には申し訳ないけど、私はもう帰ろう……)


―― ごめんね! ちょっと急用ができたから先に帰るね。トナカイコスはクリーニングに出して返すね。あと、会費は後で会社で請求してね。


 と、雪のLINEに送って、素早くコートを羽織りバッグを持って、そそくさと店を出た。

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