第3話「クリスマスパーティー」ー2
私は、雪に手を引かれ、ショッピングモールに足を踏み入れた。店内は大勢の人々で賑わっており、モールの中央に飾られた巨大なクリスマスツリーの前で、若者やファミリー層が入れ替わり立ち替わり写真撮影に勤しんでいた。BGMにはユーミンの『恋人がサンタクロース』が流れており、私は、ふと、愛しい彼を想った。
♪恋人がサンタクロース
本当はサンタクロース プレゼントをかかえて♪
私のサンタクロースは、18年前のあの日から、彼だけだ。
―― おいっ! やめろよっ! いやがっているだろう?
透き通るような綺麗な瞳をした少年……あの瞬間から、私のサンタクロースは、赤い服を身に纏った肥満体型のおじさんではなくなった。そして、私のサンタクロースは、私の恋人となった。
(そうよ……私のサンタクロースはあなたみたいに、むさい髭を生えらかしたおじさんじゃないのよ……)
おもちゃ売り場の前に立ち、子どもたちに囲まれているサンタクロースの出で立ちをしたおじさんを尻目に掛けて、私は、ふっと視線を逸らした。
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