05.加入

「あ……え……あ……えーと……あれ……? 話し……聞いてくれた人……えーと……えーと……」


 ステラは前回、全てをぶちまけた人がなぜか再び現れ、圧倒的な力で魔王軍構成員を退け、結果として自分が生存していることに困惑した様子であった。


「あ、あの……ありがとうございます……」


 ステラはなんとか目の前の恩人にお礼を言うことができた。


「いえ……礼には及びません」


(……自分が巻き戻らないためだからな)


「私からも有難うございます……!」


(お……?)


 ステラだけでなく、剣士のヨジカもルーファの元へ来て、深々と頭を下げている。


「いえいえ……頭をあげてください」


(なにしろ……自分が巻き戻らないためデスカラ)


「あ、あの……!」


(ん……?)


 今度はステラが声をあげる。


「あの……私のこと……知らないですよね?」


「え? はい、存じ上げません」


「あ、ですよね? 変なこと聞いてすみません……」


 ステラはほっとしたような、それでいて少し残念なような微妙な表情を見せる。


(嘘だよ!! めっちゃ存じ上げておりますよ……!)


「あ、えーと……私はステラ……ステラ・カンペガテと言います」


「カンペガテ……? ひょっとして……あの大聖女カンペガテ様の……?」


「はい、アンリ・カンペガテは私の祖母です」


「なんと! そうでございましたか! まさか探していた方に出会えるとは……!」


「えっ……?」


(……我ながら、白々しいな)


「えーと、探していたとはどういうことでしょう?」


(来た来たーー!)


「実は、風の噂で、大聖女カンペガテ様が魔王軍に宣戦布告をしたと聞きまして……」


「あ、はい……」


 ステラは微妙な反応を示す。

 それが今、彼女が魔王軍に狙われている理由だったりもするからだ。


「私も常々、魔王軍に対して、憤りのようなものを感じていたのです。大聖女カンペガテ様の宣戦布告に胸が熱くなり、居てもたってもいられなくなり、あわよくば貴女様にお遭いできないかと……カンペガテ様の故郷であるマルサの周辺を捜索していたのです」


「そ、それってつまり……」


(来た来た来たーー!)


「私……ルーファ・シルリオンも貴方達の魔王打倒の旅に同行させていただけないでしょうか」


「あ、はい……え、えーと…………こんなシナリオあったけ……?」


「……はい?」


「あー、いえいえ、すみません、こっちの話です……!」


「はい……そうですか……」


(この子、シナリオとか言っちゃってるよぉお! やばい奴だな……やめてくれるかな? こっちもとぼけるの結構、大変なんだよ……?)


「よ、ヨジカちゃん、どうしよう……」


 ステラはヨジカにも意見を求める。


「是非に……!」


「っ……!」


 ヨジカは食い気味の超即答で、YESの回答をする。

 しかも心なしか合掌のポーズで、キラキラした目線をルーファに向けている。


「あ、うん……ヨジカちゃんがいいなら、私もOKです」


「有り難き幸せ……このルーファ・シルリオン……この命を賭しても貴女様をお守りいたします」


 ルーファは片膝をつくような姿勢で、未だへたりこんでいるステラの手を取り、頭を下げる。


「は、はい……よろしくお願いします……」


 ステラは緊張しているような、それでいて状況を把握し切れていないような面持ちで応える。


(…………やべ、最後のは、ちょっとやり過ぎたかな)


 ◇


 勇者ステラ――


「あ……え……あ……えーと……あれ……? 話し……聞いてくれた人……えーと……えーと……」


 何で、あの人がここにぃーーー!?

 えーと、さっきルーファさんって名乗ってたっけ……

 いやそれはそれとして、まずはお礼を言わなきゃ……!


「あ、あの……ありがとうございます……」


「いえ……礼には及びません」


 私のために危険を顧みず戦ってくれたにも関わらず、なんて紳士的で余裕があるのだろう……


「私からも有難うございます……!」


 ヨジカちゃんもルーファさんに深々と頭を下げている。


「あ、あの……!」


 まさかとは思うけど…………とんでもないこととは思うけど……

 だけど、聞かずにはいられない……


「あの……私のこと……知らないですよね?」


「え? はい、存じ上げません」


 っ……


「あ、ですよね? 変なこと聞いてすみません……」


 そうだよね……私は何を期待しているのだろう……


「あ、えーと……私はステラ……ステラ・カンペガテと言います」


「カンペガテ……? ひょっとして……あの大聖女カンペガテ様の……?」


 流石、お婆ちゃん……有名人だなぁ……


「はい、アンリ・カンペガテは私の祖母です」


「なんと! そうでございましたか! まさか探していた方に出会えるとは……!」


「えっ……?」


 え……? え……? え……?


「えーと、探していたとはどういうことでしょう?」


「実は、風の噂で、大聖女カンペガテ様が魔王軍に宣戦布告をしたと聞きまして……」


「あ、はい……」


 お婆ちゃん、なんであんなこと言っちゃったんだろう……


「私も常々、魔王軍に対して、憤りのようなものを感じていたのです。大聖女カンペガテ様の宣戦布告に胸が熱くなり、居てもたってもいられなくなり、あわよくば貴方様にお遭いできないかと……カンペガテ様の故郷であるマルサの周辺を捜索していたのです」


 え……? え……? うそ……?


「そ、それってつまり……」


「私……ルーファ・シルリオンも貴方達の魔王打倒の旅に同行させていただけないでしょうか」


 うそぉおおおおおおお!!

 本当に……!? 本当に……!?


「あ、はい……え、えーと…………こんなシナリオあったけ……?」


 ……このゲーム……パーティ全員女の子のはずなんだけど……


「……はい?」


 って、私は何を言ってるんだぁああああ!! やばい奴だと思われちゃうよ!


「あー、いえいえ、すみません、こっちの話です……!」


「はい……そうですか……」


 やばいやばい……! めっちゃ嬉しいんだけど……! でも……一応、聞かないとだよね……


「よ、ヨジカちゃん、どうしよう……」


「是非に……!」


 ヨジカちゃん、即答、早っ!!

 しかもなんか……合掌のポーズで、キラキラした目線をルーファさんに向けているような……


「あ、うん……ヨジカちゃんがいいなら、私もOKです」


 OKというか、もう本当にお願いします!

 しろというのなら、土下座でも何でもしますからっ!!


「有り難き幸せ……このルーファ・シルリオン……この命を賭しても貴女様をお守りいたします」


 ルーファさんは片膝をつくような姿勢で、私の手を取り、頭を下げる。


「は、はい……よろしくお願いします……」


 何だろう……この気持ち……


 ……どうしよう…………この104回目……死にたくない……

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