四十六話
「具体的にその目、何が出来るんだ?」
「えっと……遠距離視と君のその手が視えるのと後は透視、かな?」
へぇと相槌を打ったその時、スマホがポケットでブルブルと震える。
画面を開くと、司さんからのメールが返ってきていた。
そこには『敵意があるなら倒してから連行しろ、ないなら説明して一度連れて来てくれ』
と件名に押し込まれそう書いてあった。
(せ、説明……?説明と言われても何を言えば良いんだ?)
「どうかした?」
「あぁいや……この後暇?」
「まぁこの
「それなら、俺より
マップアプリで今の場所のURLを貼り付け、メールで迎えの方お願いしますと送信する。
「そんな人がいるの?」
「人っていうか施設って言うか……、まぁ行ってみたら分かるよ」
俺がそう言うと馬岸は分かったと頷いた。
それから数十分、俺に分かる範囲で
「迎えが来たみたいだ」
サイドガラスが開き、サングラスをかけた司さんが此方に手を上げる。
そちらに近づくと「助手席荷物置いてるから、二人とも後ろに乗ってくれ」司さんはドアの鍵を開けながらそう言う。
車は俺達を後部座席に乗せて走り出した。
夕日が仕事を終えようと地平へと消え始めた時、目的地の和子池研究所にたどり着く。
見るのは二度目の筈の虹彩認証に内心驚きながらも隣にいる馬岸の、警備員やセキュリティに明らかに挙動不審になっている様子を見ていると、冷静になれた。
そのまま観葉植物すらない殺風景な内部へと進み、そんな内唯一の物と言ってもいいエレベーターに足を運ぶ。
微かな駆動音と共に微かな浮遊感を味わいながら、俺達は地下へ降りていく。
「ここ初見だとビビるよな」落ち着かない様子の馬岸に耳打ちする。
「そ、そうだね」
「正直俺も慣れてない」
「……そうなの?」
「大体ここの研究所、なんの目的であるのかすら聞いたことないし」
「ならどうやってこんな所の人間と知り合ったの?」
「……まぁ色々あってね」
ちん。
と音が鳴り、扉が開く。
開いた扉からは左右微かに湾曲した廊下が見えた。
「あっちの休憩室まで彼を連れて行ってくれ。俺もこれ片付け次第向かう」司さんはエレベーターから出ると右の道を指差し、左腕で段ボールを抱えながら、白い壁と打ちっぱなしコンクリートが交互に並ぶ廊下を左側へと進んでいった。
「具体的にその目、何が出来るんだ?」
「えっと……遠距離視と君のその手が視えるのと後は透視、かな?」
へぇと相槌を打ったその時、スマホがポケットでブルブルと震える。
画面を開くと、司さんからのメールが返ってきていた。
そこには『敵意があるなら倒してから連行しろ、ないなら説明して一度連れて来てくれ』
と件名に押し込まれそう書いてあった。
(せ、説明……?説明と言われても何を言えば良いんだ?)
「どうかした?」
「あぁいや……この後暇?」
「まぁこの
「それなら、俺より
マップアプリで今の場所のURLを貼り付け、メールで迎えの方お願いしますと送信する。
「そんな人がいるの?」
「人っていうか施設って言うか……、まぁ行ってみたら分かるよ」
俺がそう言うと馬岸は分かったと頷いた。
それから数十分、俺に分かる範囲で
「迎えが来たみたいだ」
サイドガラスが開き、サングラスをかけた司さんが此方に手を上げる。
そちらに近づくと「助手席荷物置いてるから、二人とも後ろに乗ってくれ」司さんはドアの鍵を開けながらそう言う。
車は俺達を後部座席に乗せて走り出した。
夕日が仕事を終えようと地平へと消え始めた時、目的地の和子池研究所にたどり着く。
見るのは二度目の筈の虹彩認証に内心驚きながらも隣にいる馬岸の、警備員やセキュリティに明らかに挙動不審になっている様子を見ていると、冷静になれた。
そのまま観葉植物すらない殺風景な内部へと進み、そんな内唯一の物と言ってもいいエレベーターに足を運ぶ。
微かな駆動音と共に微かな浮遊感を味わいながら、俺達は地下へ降りていく。
「ここ初見だとビビるよな」落ち着かない様子の馬岸に耳打ちする。
「そ、そうだね」
「正直俺も慣れてない」
「……そうなの?」
「大体ここの研究所、なんの目的であるのかすら聞いたことないし」
「ならどうやってこんな所の人間と知り合ったの?」
「……まぁ色々あってね」
ちん。
と音が鳴り、扉が開く。
開いた扉からは左右微かに湾曲した廊下が見えた。
「あっちの休憩室まで彼を連れて行ってくれ。俺もこれ片付け次第向かう」司さんはエレベーターから出ると右の道を指差し、左腕で段ボールを抱えながら、白い壁と打ちっぱなしコンクリートが交互に並ぶ廊下を左側へと進んでいった。
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