第24話 コンが昇級した
『規定値以上の地脈励起を確認……ダンジョンがランクアップしました』
「ま、マジかよ?」
ずごごごごごごっ
黄金色の地脈の奔流が、ダンジョン全体を覆っていく。
とんでもないエネルギーだ。
ピッ
同時に、ダンジョンアプリのステータスが更新された。
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■基本情報
管理番号:D21-000001
ランク:SSS→SSS+ up!!
所在地:岐阜県山高市倉稲地区(旧倉稲村)
階層情報:5/???(クリア済み/最深部)
■ダンジョンスキル
緑スキル(ダンジョン本体効果)
・経験値獲得アップ(+10%) <<強化されました
・資源コイン獲得アップ(+10%) <<強化されました
・攻撃力アップ(+10%) <<強化されました
・防御力アップ(+3%)
・魔力アップ(+10%)<<強化されました
青スキル(エリア効果)
・収穫量アップ(+50%)
・施設劣化防止(+3%)
・省エネ効果(+3%)
赤スキル(施設建築)
・道路トンネルLV4……(資源コイン消費:5000)
・温泉掘削LV2……(資源コイン消費:1000)
・大型商業施設LV5(駐車場5000台付き)……(資源コイン消費:30000)New!!
■資源コイン
54,500(+50000)
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「うおっ!?」
緑スキルが全般的に強化されている。
それだけでなく、目を引くのは新たに解放された赤スキルである。
(大型商業施設!? イ〇ンモールでも出来るのか?)
建物系の赤スキルは、3階建ての鉄筋コンクリートビル、などガワの大きさや素材を指定して出現するのが普通だ。
具体的な完成品が出現する事はほとんどない。
「って、ダンジョンランクもSSS+に上がってるし!?」
現代の基準で、ダンジョンの理論上の最大ランクがSSS。
それ以上のランクは定義されていないのでこのような表示になったのだろう。
「おいおいおい」
俺がこのダンジョンを相続してからまだ1か月も経っていない。
この短期間で、更にランクアップするだなんて。
「んん~っ♪」
だが、更なる驚きが俺を襲う。
「ふぅ、すっきりしたのう♡」
俺の腕の中で、気持ちよさそうにコンが伸びをした。
すっかり体調がよくなったみたいだ。
「ん?」
ずしり
気のせいか、腕の中のコンが少しだけ重く感じるような?
「ふみゅ? どうしたのじゃ?」
宝石のような青い瞳が、俺の顔を映す。
ぷにっとしたしなやかな手足が、
明らかに伸びている。
愛らしい顔も、少しだけシュッとして。
ふぁさふぁさっ
二本の尻尾が俺の腰のあたりをくすぐった。
「って、えええっ!?」
コンが成長している!
そのことに気付いた俺は、思わず叫んでしまう。
「にはは!」
自分の体が大きくなっていることが分かったのだろう。
ニカッ、と不敵な笑顔を浮かべるコン。
「付喪神コン、昇級したようじゃ!
これからもよろしくの、トージ!!」
「「「うそおおおおおおおっ!?」」」
俺たちの叫び声が、ダンジョン内に響き渡った。
*** ***
「にはは、快調快調!
何かの要因で、地脈の力が詰まってたようじゃな!」
顔色もすっかり良くなり、ぴょんぴょん飛び跳ねるコン。
トレードマークの巫女服の丈が短くなっている。
手足が伸びている証拠だ。
「べんぴ解消! という事じゃ♪」
「いやコンち、言い方……」
地脈の噴出を妨げていた要因が取り除かれ、付喪神としてレベルアップしたという事だろうか。
「ありがとの、トージ♡」
むぎゅっ
嬉しそうに抱き付いてくるコン。
か、可愛すぎるだろ!
娘が成長する光景というのは、こんなに尊いものなのか。
思わず口元が緩みまくってしまう。
「おぬしが”枷”を取り除いてくれたおかげじゃ!
理沙も見つけてくれてありがとうの!」
むぎゅっ!
「うああああぁ、コンちゃん可愛すぎ!?
ていうか、トージさんにかっこよく助けられたというのにコンちゃんに上書きされたぁぁぁあ!?」
「ふみゅ?」
「まあ、理沙らしいわw」
コンに抱きつかれ、うれし涙(?)を流す理沙。
「理沙もあんな強そうなモンスター相手によく頑張ったな!」
それも、探索者ではない三奈を守ってたった一人で……立派である。
なでなで
よくやったの意味を込めて、理沙を優しく撫でてやる。
「くううう~ん、これでいっかと思う自分が悲しい~♪」
なぜか泣き笑いの理沙。
忙しい子である。
「いやなに、このカオスな空間……」
「ねえ礼奈ちゃん。彼ってまさか、テンプレ的ラブコメ属性なの?」
「ユニ子さん、正解で~す!」
「草www」
謎の会話を繰り広げる礼奈とユニ子さん。
(……コンの力を押さえつけていた”枷”か)
念のため、粉々になった金属製のキノコの破片を拾っておく。
(これは……)
金属片の裏に、うっすらと見覚えのある刻印が。
(なるほどね)
コンのダンジョンに仕掛けをしたのが誰なのか。
なんとなくわかった気がした。
(とりあえずこれは証拠物件その1ということで)
まだ、確たる証拠を突き止めたわけじゃない。
俺は金属片をそっとポーチの中にしまうのだった。
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