第3話・ナカノコト

東京国は別の国。だからパスポートが必要。

「ということはーケゲンくんは外国人だね」

「あんまり大差ないけどね」

東京国の始まりを説明しとくと。

昔は日本国という一つの島国だったの。

首都が東京、その時は東京都と言われてた。

それが東京都の突然の独立宣言、国の中心になるようなものは全て東京に集まって為さぁ大変。

当時の総理の考えらしいんだけど。

独裁者に成りたかったのか。日本国に嫌気がさしたのか。その他の理由があったのか。

そして内乱が起きた。外から内から。

外からと内からの戦いで、土地が耐えきれなくなり東京都と言われていた土地だけが日本国から文字通り独立した。島になった。

今思うとこの土地の独立を見越しての独立宣言だったのではないかと言われている。

内乱に内乱が起きて東京23区がそれぞれ区を国として独自の発展をして、

そして東京都は東京国として正式に独立した。

これが教科書に書いてある東京独立戦争。

「まぁ大体合ってるじゃない。細かい所が載ってないのなんて教科書っぽいね」

とケゲンくんは言う。

ちなみに東京以外の日本国は日本国として残ってる。

つまり私は日本人、ケゲンくんは東京人ということになる。

「ケゲンくんは何区の人?」

「難しいなぁ」

「なにそれ?」

「あとで教えるよ」

ケゲンくんのあとではあとではない。それくらい教える気がないんだ。

独自の発展と言ったけど、区同士が交流がないわけではない。

独自の発展は独立直前の話。

今はパスポートがあれば行き来出来る。

だからケゲンくんの言った死ぬかも知れないってのは国の話じゃない。

ケゲンくんのクラスメートやそこら辺に何かあるんだろうと思う。

「さて、準備は出来た?」

「ケゲンくん大きいバッグ一つで良いの?」

「別に向こうで住むわけじゃないからね。ソヨもそれぐらいにしときなよ、キャリーバッグなんて引いてられないよ」

「女性に対して難しい注文だなぁ」

「最低限、最低限」

詰め直しだ。こんな私でも普通に荷物はあるからさ。

荷物を詰め直して出発を決めた日から2日後、私たちは空港へ。

空港へ向かう電車の中でケゲンくんは話してくれた。

「探す同級生は30人。男子15人、女子15人。多分23区全部回ると思う。変だけど面白いやつらだよ、俺なんかより。・・・・先生はーまぁ良いか」

「まずはどの区に行くの?」

「最初は江戸川区」

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