第2話・シルカクゴ

では、まずどこから話そうか。

今日は休日、彼の一人暮らしの部屋に遊びに来ている。

あ、彼の事はケゲンくんって呼んでるからケゲンくんって呼ぶね。

年は私より下、周りからはラッキーだねと言われる。まぁまぁラッキーだとは思う。最近の若い娘はスゴイからな。

そろそろ同棲しようか何て話をしている。二人別々に家賃とかもったいないなぁと思って。

もう通い婚みたくなってるし。最近色々物騒な所もあるから。

とケゲンくんが言ってくれてる。

それとか記念日の事とか考えるとケゲンくんは私の事をちゃんと好きでいてくれてるのは伝わってくる。

そういうのは分かるんだけど何を考えてるとかはケゲンくんの過去の事とかそういうのは分からない。

正直に言おう、私はそういうのが知りたい!なので買い物からケゲンくんが帰って来たらそれをツッコもうと思う!

「ただいまー」

ケゲンくんが帰って来た。

「おかえり、遅かったね」

「いやぁ好きなお菓子がなくてさ、ブラックコーヒー飲んでた、缶の」

「意味分かんない。代わりになるの、それ?」

「さぁ?」

こういう所も分からない。

「あとチラシがいっぱい入ってた」

笑顔でそれを床に置くケゲンくん。

早速ケゲンくんに昔の事を聞いてみた。

「ケゲンくんって出身どこ?」

「あっえっ?うん、ソヨはどこ?」

「誤魔化すの下手か!私はここだけど」

「そう、良い所だよねココは」

「で、どこ?」

「そんな事知ってどうするの?ヤダよ言いたくない」

「私は!全部知りたいの!」

「世の中人生賭けても全部何て知れないよ」

「そうじゃなくて!君の全てが知りたいの!」

言ってて恥ずかしくなって来た。いい歳して何言ってんの私!

「ソヨの照れ顔はレアだなぁ。でも教えないけど」

ホントムカついた。ブン殴ってやりたいと思った時には殴っていた。

「痛い、痛い、痛い」

「知らない、君が悪い」

頭を抱えるケゲンくんを他所に私はチラシを拾う。どうせいつも見ないで捨てるんだし。

そこにキッカケがあった。1枚の手紙。

東京国聖条皇行学園という文字があった。

続きには。


第1期卒業生として3年1組委員長としてクラスの皆に同窓会の連絡をして欲しい。 担任マルチ・タダタ


「何これ?同窓会、東京、学園・・・・」

考える為に一瞬頭が止まる。

「ケゲンくん、東京の学校にいたの!?」

一気に吹き出す。

「・・・・行ってたよ、俺東京出身だから」

初めてケゲンくんからのケゲンくん情報。

「やった!初めて知れた!」

「・・・・東京には驚かないの?」

「ん、東京自体には別に」

「・・・・。」

「あ、ハイ。同窓会の手紙だって」

「・・・・先生生きてたのか、皆に伝える・・・・ねぇ」

「委員長ってそういうのもやるだね、大変だ」

「いや、ウチのクラスは特別っていうか変だからね」

「手紙とか出すんだっけ。手伝うよ」

「ありがとう。でも俺誰の連絡先も知らない」

「そういうの残ってないの?」

「ないねぇ」

「どうするの?」

「・・・・・・。」

ケゲンくんは手紙を見つめて5分くらい考えた顔をした。

「・・・・行くかぁ、行くしかないかぁ」

「?」

「ソヨ、俺会社辞めるよ」

「は?」

「あと別れよう」

頭がフリーズでも拳は出ていた。

「痛い、痛い、痛い」

「どういうことだぁ!というか別れようをついでに言うな!」

「だって多分帰ってこれないし、俺が死んだら別れとないとソヨ後々キツイでしょ。彼氏死んだ人より彼氏いない人のが結婚とかもしやすいと思うし」

「同窓会の連絡でしょ?何で死ぬの?」

「俺東京行くから。俺のクラスメートは全員東京に住んでる。東京は外から見たら何もないように見えるけど住んでる人しか分からないモノが沢山あるんだ。要は危険ってこと」

「私も行く」

「はい?」

立場が逆転した。

「どうせケゲンくん死んだら私も後追って死ぬし結果は一緒でしょ。だから会社とか辞めてついてくよ」

「イヤイヤ何言ってんの?良いわけないじゃんってか重い女だったんだな!」

「そうだよ、重くてめんどくさい女だよ私。付き合う時言ったと思うけど」

「確かに言われたけど」

「だったら決まりね。いつから行く?それによって色々変わるし」

「マジで?マジでついてくるの?」

「うん」

「・・・・・・。分かったよ。明後日にはココを出る」

「うん、分かった。じゃあ色々準備だね、あーめんどくさいぞー!」

私は会社への連絡、今借りてる部屋の連絡、その他色々の準備に向かう。

死ぬのが怖くないかって事になると怖い。

でも、ケゲンくんが死んだらあと追うのはホントだ。

バカみたいで重くてめんどくさい女なのは自覚してる。

これまでも色々な人に迷惑かけたよ。でも私の人生なので。

親にはどうしようかなぁ。ま、そんなに連絡取ってないしなぁ。

これ全部言って行かせてくれる親はいないだろう。めんどくさいなぁ。

なので、生きて帰ってくる一つの理由が出来た。聞かれたら旅行とでも言おうっと。

まだまだケゲンくんの事も同窓会の事とか手紙の事とかも分からない事だらけだけど、それを知りたいから行く。

知りたいから行く。

それっぽくまとめると。

こうして私、ソヨコ・ショウノとケゲン・ホシツカの旅が始まったのだ。

うん!それっぽい!w


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