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 皆がえ、と目を丸くする。


「コーネリア王女殿下。お気持ちはよくわかります。ですが、ドラゴンの住む地は西の果てにあるという噂だけで、本当かどうかさえわかりません。ここはフェルディナンド殿の仰る通り、我々の帰りを待って……」


 いいえ、とバルトサールの言葉を遮った。


「あるかどうかじゃない。必ず見つけるのよ。そしてエルマーを助け出すの」


 一国の王と王妃の葬儀とも思えない、埋めただけの父王と母妃の眠るこんもりとした土を見据えながら、誓うように言った。


「だめだ。テルラーダにさえ、馬車でしか行ったことのないようなあんたになにができる」

「お、おい、ランベルト」

「失礼だぞ!」


 ランベルトの言葉に、その場にいた騎士たちがぎょっとして目を剥いた。

 コーネリアはむっとした。


「別について来てほしいなんて言ってないわ」

「それが甘ったれだって言うんだ。あんた一人でなにができるというんだ。食料はどうする? 野宿なんてしたことがないだろう。きれいな馬車でなんて行ってみろ。盗賊に襲ってくださいと言っているようなものだ。あんたなんて売り飛ばされて……」

「やめろ、ランベルト」


 静かだが、有無を言わせない声でフェルディナンドが制する。

 ランベルトは睨み返すコーネリアの視線を受け止めていたが、ふいっと顔を背けると踵を返した。


「待て、ランベルト!」


 副団長の声も無視して歩いていくランベルトに、どんどん怒りが溜まっていく。


「あの男の顔を知っているのはわたしだけなのよ! エルマーを助けられるのはわたしだけなの! あなたこそ、なにもできないくせに!」


 声を張り上げたところで、ランベルトは振り向きもしない。


「すまない、コーネリア。ランベルトには後でよく言い聞かせるから」


 フェルディナンドが眉根を下げるも、コーネリアは腹が立ってかあっと耳まで赤くなった。


「なんなのよ、あれ!」

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