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「しかし、我が国の民を受け入れるとのお言葉をいただきました。時間がかかるだろが、必ずやフリーデンにも力をお貸しくださると」

「それはありがたいわ。皆の体力が戻り次第、テルラーダへ向かいましょう」


 王と王妃の遺体は、騎士たちの手により古の王族の墓地へと葬られた。兄弟は巨大な石の下敷きになっているため、大地に還してやることもできない。墓地から見下ろす街には、そんな人々が大勢いる。


「……鐘の音が聞こえたからと言っていたわ。寄り道しただけだって」


 瓦礫の間に咲いていた野の花を手向けた。白い小さな花。エルマーの髪を飾っていた花だろうか。


「エルマーの幸せを願って打ち鳴らした鐘だったのに。そんな理由で街を破壊したの?」


 そんなばかみたいな理由で、と唇が震えた。


「赦さない。どんな理由があったとしても、罪のない多くの命を奪っていいはずはない」


 身を震わせるコーネリアの背後で、ランベルト始めとする騎士たちも、悲痛な表情で唇を一文字に結んでいる。彼らもまた、愛する家族や仲間たちを奪われたのだ。


「エルマーを助けに行く」

「コーネリア。わかっている。民をテルラーダに送り届けたら、騎士団が救助に向かう。きみはぼくと一緒にテルラーダで待っていてほしい」


 フェルディナンドにコーネリアは首を振った。


「わたしも行くわ」


 皆が、え、と目を丸くする。


「コーネリア王女殿下。お気持ちはよくわかります。ですが、ドラゴンの住む地は西の果てにあるという噂だけで、本当かどうかさえわかりません。ここはフェルディナンド殿の仰る通り、我々の帰りを待って……」


 いいえ、とバルトサールの言葉を遮った。


「あるかどうかじゃない。必ず見つけるのよ。そしてエルマーを助け出すの」


 一国の王と王妃の葬儀とも思えない、埋めただけの父王と母妃の眠るこんもりとした土を見据えながら、誓うように言った。

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