第28話 スケルトン、骨休み遠のく。

【オプティマ】の効果が切れたようだ。


先ほどのやり取りで部屋の中はぐしゃぐしゃになっている・・・壁や扉は無事の様だ。


やれやれだぜ・・・また謝る事が増えたな・・・これ、どうしようか?


しかし、マナが・・・マナが足りない・・・。


なんか、生前に感じていた飢えや渇きの感覚に似ているな。


本来、アンデットって、こんな感じなんだろな・・・。


「あぁ、マナ減ったなぁ・・・」とつぶやくナッシュ。


飢えや渇きに似た感覚があるせいで、余計に思考が定まらない・・・。


ここの周囲からはマナがほとんど感じられない・・・どうやら、吸い尽くしたようだ。


・・・いい加減、休みたい。


・・・気を失うまで働きたくないんだよぉ。


・・・代われる奴がいないんだよ!


・・・はぁ、なんでこうなった?


・・・己の全部賭けたけど、結果、なんか違わないか?


アンデットかどうかなど関係無く、不眠不休で活動している時点で駄目なんだろうな・・・骨休みしたいなぁ・・・スケルトンだけに。


そう思いながらナッシュは、外の空気を吸いに移動する事にした・・・。



もう夕方か・・・空気うめぇな・・・味は感じないが。


今日だけでも色々あったなぁ・・・今日ほど密度が濃い日は無かったからなぁ。


・・・夕焼けきれいだなぁ。


・・・


あぁ、このまま黄昏たそがれてぇ・・・。


そう思いながら、外気に含まれるマナを吸収し、少し意識がはっきりし始めた。



外で一休みしていると、隊長が声をかけてきた。


「ナッシュ、どうした? 少し具合いが悪そうな・・・まぁ、あれだけの事が有ったからな、仕方が無いか・・・」


「あれからも、2つほど大きなトラブルがあった・・・」


顔が引きつる隊長・・・ハゲは進行するだろうな・・・いい奴なだけに可哀そうだ。


「あの教皇二人は副隊長に押し付けた・・・そして俺は隣の部屋で情報を整理する事にしたんだが・・・」


「ん? その情報に問題があったのか?」


「いや、情報に関してはまだまだ処理が終わっていない・・・実は、それ以外の事で・・・大きなトラブルを起こしてしまった・・・安心しろ、何とか解決したのだが・・・相手が神々でな・・・おい、どうした?」


クラっと眩暈めまいをおこした隊長は、思わずひざを突き「また、神が・・・相手なのか? しかも複数の・・・この国滅ばないよな? 大丈夫なんだろな?」と聴いてきた。


「一応、謝罪も受け入れてくれたので大丈夫だと思う・・・多分な」


「多分ってなんだよ! いや、そこはハッキリする所だろ!」


「そんな事より、お前に手紙を託した神がヤバい・・・その神々が戦々恐々したからな・・・」


「ナッシュ、余りこう言いたくないが、本当に厄介な奴だな・・・お前」


「否定はしない・・・俺自身もここまでとは思わなかった」


「これなら、隣の国と戦争した方がマシじゃないのか?」


「イヤイヤ・・・上手くまとまれば・・・何とかなると思う・・・と思いたい」


「俺は、お前と手を切りたいと思ってきたのだが?」


「切ったら切ったで死体の山だぞ? しかも、死んだ人間の10倍以上の数が後遺症や飢えなどで苦しみ続ける・・・どちらにしても最善を尽くすしかないんだよ・・・隊長、諦めろ」


「・・・はぁ、なんでこうなった!!!」


「大丈夫だ、隊長が出来る事には限りがある・・・だから、俺みたく頑張らなくていいんだ」


「それ、全然、なぐさめになってないぞ!」


「現実的に考えてみろ・・・あの神のおこない見たよな?」


「ああ、見たが・・・?」


「あれに抵抗出来ると思うか?」


「無理だ・・・あそこまでの力なら、どうやっても逆らえん・・・と言うより、逆らう事を考える自体、駄目だ!」


「思考ぐらいは自由でいいと思うが?」


「それが通用する相手ならな!」


「まぁ、今回、接触した神々が逆らえん位の『上位の神』に目を付けけられたとの事だ・・・目を付けられた時点で、どうにも出来ん・・・と思わないか?」


「一層の事、国策に絡めて処理する・・・しか方法が無い様だな・・・気が重い話だ」


「安心しろ・・・俺にはやれる事が沢山ある・・・ただ、やれる奴は俺しかいないと思うぞ・・・代われるなら喜んでゆずるが?」


「代われたとしても遠慮する・・・まぁ、もう少し部下をそちらに回して、どれだけ解決するかだな・・・」


少し疲れてきたのか、ナッシュは思わず空を見た。


・・・はぁ、夕焼けきれいだねぇ。


「ナッシュ、俺は、今から副隊長の所に行く・・・あっちはあっちで修羅場だろうが、お前が抱えている問題より解決出来るだろう・・・」


「そうか・・・じゃあ頼むよ、頑張ってな」


「あぁ、じゃあな・・・」


・・・


・・・さて。


先ほどの処理で、大量のマナを失ったが、少し違和感があった。


なんて言うか・・・マナの吸収効率は上がったのに、消費がそれに比例して多くなった様な感じがする。


いつも、意識せずに勝手に溜まっていくのだが・・・並列思考の影響か?


今までとは違うマナの貯蓄と消費の仕方だ・・・。


効率的になっているのだが、俺自身の身体性能が上がっているため、余計に消費する・・・様だな。


この先の事を考えると、マナの活用方法も気を付けないとヤバい様な気がする・・・


さて、どうやってマナの消費を抑えればいいのか・・・


あの時、最初にメッセージを送ってきた神に相談してみようか?


・・・ただなぁ、これ以上迷惑かけるのもなぁ。


さてどうするか・・・悩みどころだ。

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