第27話 スケルトン、問題の整理を開始する。

とりあえず、気分を落ち着かせる為、ナッシュは隣の部屋に一人移った・・・。


その際、副隊長が「置いて行くな!俺も連れていけ!」と懇願こんがんしたが「これもお仕事なんだよ・・・」と言って無視して移動した。


しかし、あの二人は問題あり過ぎだ・・・下手に仕事を振れないな。


そう思いナッシュは、教皇二人からもらった手紙を改めて見た・・・。


『ん? よく見たら双方の手紙に刻印がされている・・・おかしいな、もらった時には普通の手紙と思ったのだが・・・どうやら偽造ぎぞう隠蔽いんぺいの魔法が掛かっていた様だな・・・さて、これを解除しなくてはならない様なのだが・・・』


そう思っているが・・・前の情報攻撃にやられた事を思い出すとな・・・うかつに解凍出来ない。


さらに『分けへだてなく』だと・・・どうやって?


さて、どうしたらいいのか・・・どちらか先に見て時点で平等でなくなるって言うんだろ・・・はぁ、仕方が無いか・・・無理しても同時展開するか・・・久しぶりに気絶した直後にこれか・・・しんどいな。


・・・やっぱり、無理じゃねぇ?


なんか、もう既に燃え尽きてるんだよ・・・心がな!


もう働きたくない! もう働きたくないんだよぉ!! 今日は働きたくないんだよ!!!


・・・


・・・はぁ、そんな訳にもいかんよな。


仕方が無いんだよなぁ、やらんと人が死ぬから・・・。


先ずは、自己解析からだな、どこまで自分が変異したか確認しない事には始まらん。


どれだけ時間が掛かるか分からん・・・あの二人よりも、こちらが優先だ。


『ふぅ・・・』と息を吐いて、意識を切り替えた。



ナッシュは、徐々に思考は止めていった。


・・・複数の思考に分割、並列処理を行う。


『以前の10倍の並列処理へいれつしょりが可能か・・・処理方法が現時点で約3倍に増加とはな・・・展開てんかい済み情報分別開始・・・未展開みてんかい情報率67%・・・残存マナ約40%・・・情報ファイアウォール展開開始・・・未知情報処理用サンドボックス領域作成りょういきさくせい・・・』


そして、ナッシュは動きが一切止まる・・・が、頭の中では、現状の状態を高速で確認し始め、情報処理を進めていく・・・その内に周りに立体魔法陣を形成されて、準備が完了する。


そして・・・ナッシュは機械的に呪文を唱え始める。


「【オプティマ発動】・・・【    】接続準備完了・・・【    】を接続開始・・・」


ガリガリと精神力とマナが削れていく感覚が襲う・・・。


段々と詠唱が早くなり、曲の様に聞こえてくる・・・。


しかし、しばらくすると、段々とプラズマや波動が飛び交い異様な状態になっていった。


そして、前回やられたDDos攻撃の真逆の様な現象が発生する。


他の所にゲートを強制的に接続し、接続先の情報処理能力を強引に使用し始めた。


「【ラプラス作動中】・・・【    】切断、再接続・・・【    】強制接続・・・」


各ゲートから拒絶するの様な反応を見せるが、強引に再接続する・・・。


そんな事を続けていく内に、逆にDos攻撃を仕掛けてきたゲートも出てきたり、逆に直接『なぜ、こんな事をするのですか?』とメッセージを飛ばしてきたモノも出てくる。


朦朧もうろうとする意識の中、話し合いは必要と判断する・・・が、コントロールが中々出来ない。


情報公開するしかないか? しかし、ゲートの先の相手が敵か味方か分からん・・・逆の立場なら、間違いなく敵対するだろう。


さて、どの情報を公開するか迷うな・・・まず、今までの経緯とあの爺さんが手紙を封印した刻印の情報を提供するか・・・まず、それから始めて様子見るか。


現時点での状態は・・・


並列処理へいれつしょり117%・・・オーバーブースト中・・・処理方法【オプティマ発動による強制実行進行中・・・ラプラス及び各種ゲートに強制接続・・・クラッキングによる情報処理の代行を実施】・・・展開てんかい済み情報分別率32%・・・未展開みてんかい情報率37%・・・残存マナ約20%・・・情報ファイアウォール展開中・・・未知情報処理用サンドボックス領域作成りょういきさくせいし、実行中・・・』


『残存マナ不足・・・15%以下でオプティマ活動休止作業開始・・・』


意識してなかったんだが、俺、とんでもない事してるなぁ・・・そして、余り良い状態でないな・・・所だ・・・後からでは怨えんこんが残る・・・と言うより残らない訳がない。


相手にメッセージが上手く届くか、やらない事には分からんからな・・・と思いながら、少ないキャパでメッセージを送ってみた。


結果的には、各ゲートの先にいるモノたちに、ダンジョンから出た後の事から、少し前の手紙騒ぎまでの経緯を簡略化して説明する事が出来た。


その時に手紙にされていた封印した刻印の情報も公開した・・・。


すると、各ゲートの先にいるモノたちから『ご愁傷様です』とか『あの方に目を着けられたのですか?ガクガク、ブルブル!』『悪気が有って行った行為でないしなぁ・・・仕方が無いな』メッセージが入った。


Dos攻撃していた奴も、『それ、マジか?普通に消滅するレベルだろ!』とメッセージが届き攻撃を止め同情してきた。


・・・おい、爺さん。 あんた、なにもんだ? 今まで一体何やってきたんだよ!


どうやら、各ゲートの先にいるモノたちは許してくれた様だ・・・良かった、本当に良かった。


もうそろそろ、ゲートが閉まる。


最後に、各ゲートに繋がっていたモノたちに聴いてみた『取得したスキルなんだが、【オプティマ】って一体何だ?よく暴走した様な状態になるんだよ、教えてくれ』と。


各ゲートの先にいるモノたちが驚愕きょうがく困惑こんわくしているのが伝わってくる。


とあるケートの先にいるモノが答えた・・・


『それを答えるには、我々の【神としての格】が足りない・・・人であった者が振り回されるのは当然である』と。


・・・かみ?


・・・神?


ちょっと待て! もしかして、俺、神々にとんでもない事していたのか!!!


あっ!ゲート切れた・・・。

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