第26話 スケルトン、教皇の相性に困惑する。

どうやら、気を失っていた時間は、それ程長くなかった様だ・・・隊長と副隊長がいる。


正直、見知らぬ奴がいるのに気を失うのは大失態だいしったいだ・・・無防備むぼうびになっている状態なら好き放題ほうだい出来るからな・・・。


とりあえず、敵でないのが、ほぼ明確めいかくなのは救いだ・・・。


ナッシュは隊長に問いかけた


「最後に叫んでから、どの位の時間が経過した?」


「15分程度だ・・・それよりも大丈夫か? 相当苦しんでいた様だが・・・」


「分からん、最後のDDos攻撃で、どれだけヤラれたか・・・悪い方に変異してないと思うが・・・状況分析だけでも相当時間が掛かるだろう・・・なにせ、最後に覚えているのは、処理が間に合わず、入手した情報が展開するのを必死で止めてたが、最終的にだ・・・普通に考えて、その時に強制的に俺自身、変異や記憶改ざんされている可能性は高い・・・と思った方が良いな」


「あの様な・・・人知じんち超えた現象は初めて見たぞ! ・・・あんなモノ防ぎようがないぞ! しかし、悪意は無いんだろ?」


「恐らくな・・・いや、嫌がらせ程度の悪意はあるな、だが・・・この先も同様な事が起こるらしい・・・と思った方が良いな」


「そうか・・・ちなみに、どの様な対策がいる?」 


「そこの二人の力が必要になるんじゃねぇのかな・・・詳しい事は知らんけどな」


そう言いってから、教皇二人にナッシュは問いかけた。


「はぁ~、で、あんたらは、あの爺さんの使いなんだよなぁ・・・。あまり言いたくないが、手順間違ってないか? 手紙を先に渡してからの接触で良かったんじゃねえ?」


と、ナッシュがそう言うと、二人からナッシュが前に放った殺気以上の圧が発生、お互い隣りにいる教皇に殺気を向ける。


焦るナッシュ・・・


『・・・おい、もしかして・・・じゃねぇな!こいつら相当相性悪いぞ! クソ!あの爺さん・・・随分ずいぶんと良い根性してるな! こいつらガチで混ぜたら駄目な奴だろ! リアルに殺気と圧力でバチバチ音鳴ってるぞ! 直ぐにでも殴り合い?いや、殺し合いしそうな感じだ! 頼むから暴れるなよ・・・って、お互いに魔法で攻撃し始めたじゃねーか!! 俺の対処する気力はもうほとんどないぞ・・・魔法の勉強にはなるが。 無言で無表情なのが、尚の事、怖く感じるのはなぜだろうか? 本当に止めてくれよ!』


そう思っていると、横にいる副隊長がすまなそうに教皇二人に言った。


「すいませんが、殺気だけでも抑えてほしいのですが・・・後ろにいる領主がこのままではショック死してしまいますので」


俺は慌てて後ろを振り向いた。


そこには、泡拭いて痙攣している領主が・・・お~い生きてるか? う○こ漏らしてないよな? ・・・と言うよりも、まだたんか、あんた。


てっきり、もう連れ出されていたと思ったぞ。


って言うか・・・


「副隊長・・・あんな状況なのに中々根性わってるな・・・すげぇな・・・過去になんかあったのか?」


副隊長は遠い目をして「別に・・・」と呟いた。


どうやら、触れてはいけない事らしいな・・・


「そうか・・・」と返しておいた。


隊長が「すまん、親父は俺が連れて行く・・・」と言うと、副隊長が『待った』をかけた。


副隊長は教皇二人を指差しながらかたる「あれを押し付けるのはひどいと思いませんか? 」と引きつった顔で。


隊長が言う・・・


「あれを止められるのは『君だけ』だ! 恐らくナッシュの話も聞かんだろう・・・『』に関しては個々の問題と思っている・・・ゆえに、適任は副隊長のみだ・・・おまけでナッシュを置いていく、上手く話をまとめてくれ」と言って去ろうとした。


おい!俺はオマケかよ! 恋愛感情って・・・まさか、先駆けされない様に直接来たって事か?


副隊長・・・クールで美形で知的で優しいしな・・・モテるのは分かる。


しかし、副隊長・・・指輪しているよな? 嫁持ちなんだろ? ここの地域は指輪する意味は違うのか?


ナッシュは副隊長に問いかける。


「失礼だが、副隊長って結婚して、子供いるのか? 状況を理解するのに必要な知識だ・・・スマンが答えてくれ」


副隊長は、しぶしぶ答える・・・。


「6人の妻と13人の子供がいますが・・・それがなにか?」


マジか! モテると思っていたが、そこまで凄いハーレム男だったとは! 


隊長が「副隊長の過去はいわくく付きだ・・・ここで簡単に話せる事じゃ・・・っと重いな、よっこらせっと・・・うっ、臭いな・・・じゃあ、後は頼んだ」と言って去っていく。


「隊長!去るんじゃない!!俺も連れてけ!!!」とナッシュは叫ぶが、隊長は無視して出ていった。


そして、俺は・・・ゆっくり振り返って、二人の教皇を見た。


美人なのに・・・残念な状況になっている。


殺気に満ちた目で相手をにらむ・・・顔に青筋あおすじを立てながら・・・お互い物凄い魔法の攻防戦を繰り広げている・・・が、現時点では被害は無い。


お互い、相手の魔法をなどして防いでいる・・・よくも、こんなに鮮やかに出来るものだ・・・凄いが、いい加減止めてくれ、その内、魔法でこの部屋が大破しそうだ。


ナッシュは副隊長に「あいつらが副隊長とどうい言う関係か分からんが・・・とりあえず、止めてくれ・・・今後の話が進まん」と言った。


諦めた顔をして副隊長は、渋々2人を止めに入る・・・。


・・・


・・・あぁ、静かだ。


・・・ようやく静かになった。


・・・しかし、この先の事を考えると気が重いのだが。


プレッシャーはまだまだ続く・・・とりあえず、さっさとまとめて帰ろう・・・疲れた。



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