第25話 スケルトン、手紙を読む。

ナッシュと隊長と副隊長と領主と教団の教皇きょうこうらしき者が2名・・・今ここで、今後の対策の打ち合わせをやるのだが・・・状況が滅茶苦茶だ。


領主は、俺を見た瞬間、足にすがりつき涙と鼻水を流し「お願いします!助けて下さい・・・」と懇願こんがんする。


正直、鬱陶うっとうしい・・・と思ったら、隊長が領主をぶん殴って離した! グッジョブ!!!


ナッシュは教団の教皇と名乗る女性2名を見た・・・お互い対反する存在、神と邪神の一角と言われているらしい・・・見方が変われば逆になる事があるが・・・白服の奴が神側で黒が邪神か・・・まぁ分かりやすいが・・・とびっきりの美人なのが、なおの事油断できない気持ちにする・・・何なんだこいつら、部外者だろ? 何でここにいるんだ?


「おい隊長? こいつら何なんだ? いいのかここに居て?」


隊長は諦めた顔で「かまわない・・・」と言った。


ナッシュは教団の教皇と名乗る女性2名を睨み付ける様に見た・・・と言ってもスケルトンだからな・・・表情が無いから相手に不機嫌さを十分に伝える事は出来んだろう。


ナッシュは二人の教皇に問いかけた。


「おまえら、何が目的だ? 邪魔するなら帰ってもらう・・・」と言って殺気と力を解放した。


しかし驚いた事に、二人とも驚きや動揺している素振りが一切ない・・・何なんだこいつら?


そう思っていると、横にいる副隊長がすまなそうにナッシュに言ってきた。


「すいませんが、殺気だけでも抑えてほしいのですが・・・後ろにいる領主が気絶しましたので・・・」


俺は慌てて後ろを振り向いた。


そこには、泡拭いて気絶している領主が・・・倒れている・・・股間にシミを作って・・・。


『あっ、やっべー、気の弱い領主居るの忘れてた・・・しかし、副隊長の精神力も中々だな・・・あっ、そう言えば、元副騎士団長だったんだから、この程度の事は日常茶飯事だったか・・・』


そう思っていると、教皇と名乗る女達が1通ずつ、隊長が1通の手紙を渡してきた。


・・・これを読めと?


・・・


教皇と名乗る女達から渡された二通は、教団の情報か?


手紙の内容だが、所属の教団名、領内に居る信者数、領内の拠点場所、簡易的な活動指針が1枚の紙にまとまっていた・・・お互いを見比べても、記載した項目は一緒だ。 


情報が少ないな・・・本当に最小限・・・みたいだな・・・更に、こいつらの名前も分からん・・・訳解らんな? どうなっているんだ?


・・・


・・・もう一通は? 何で円盤状に・・・ん? なんか厳重に封印の刻印されているな?


ん! なっ、なにぃ! おい、これ・・・人間が出来る刻印なのか? 知っている限り、どう見ても遺物クラスの刻印だぞ!?


「隊長・・・これ・・・どうやって、これを手に入れた? どう見ても普通でないぞ! ここでは重要書類は、この様にやるのか?」とナッシュはいた。


隊長は困った顔をして「朝、気付いたら寝室にある机の上にあった・・・俺も王宮で仕事をやっていたが、ここまで侵入を許した事は無い・・・さらに、これほど厳重な刻印見た事が無い・・・ナッシュ、これ、人間が出来る事なのか? お前、どんな事に巻き込まれているんだ?」


「侵入はともかく、刻印については俺の記憶・・・知識には、こんな事出来る奴などいない・・・知っている限りの話だが、遺物には、この様な刻印を見た事がある・・・宛名あてなは・・・丁重ていちょうに、俺の二つ名か・・・恐らく最近会った『神』と名乗る者からだろうな・・・」


隊長の顔が引きつり「俺のできる範疇はんちゅうはとうに超えている様に思えるな・・・報告・連絡・相談ぐらいは最低限してくれよ・・・でないと、対処が出来ないからな」と言った。


「あぁ、分かった・・・しかし、解くのは簡単の様だが・・・前回の本のの様にならないよな?」と教皇2人に向かって言った・・・なんか知っていれば反応するだろう。


2人の教皇は首を縦に振る・・・。


『本当かよ? 大丈夫なんだろな?』と思いながら、覚悟を決めて刻印を解除した!


・・・あれ?


・・・普通の手紙だ。


・・・あの爺さんが?


・・・読み終わった後、証拠隠滅の爆発とかないよな?


まぁ、仕方が無い、素直に読んでいくか・・・ 


『前に神と名乗った者だ! 約束通り二つの対反する配下の者を貸してやる、上手く使え・・・ただし、双方へだてなくだ・・・深入りするなよ、今のお前がそれをやると・・・まぁ、どちらにしても面白い事になるだろうな・・・』


どちらにしても、ろくな事にならないと言う事か・・・深入りする気力はもうすでにねぇよ!


『こ奴らの修行も兼ねてだ・・・約束通り期限は2年間だ! その後は知らん・・・』


なんか2年後には厄介ごと増えそうで怖いな・・・気のせいか?


『双方には言葉で会話をする事を禁じている・・・この手書きを読んでから後日以降は、お前に関して・・・他人を使ってもダメだ・・・』


こいつら、支援に来たんじゃねぇのかよ? 意思疎通ぐらい、もう少し自由に出来ないのかよ・・・面倒臭い。


『あと、今から2年間はこの領外からの支援は、全て断れ・・・領民含めてな・・・それが代償だ・・・逆らった分だけわざわいが増えると思え!』


クソ爺!!! くだらないルール作りやがって! もうちょい他のやり方あっただろう・・・ ん?支援? 支援でなけれは良いのか? 何か裏ありそうで怖いな・・・。


『領内ですべて解決できるはずだ・・・多少の犠牲は出るがな・・・まずは、報酬の先払いだ・・・』


ツケは怖いな・・・性格悪そうだし・・・素直に喜べないのは何故だろうか?


『一つ目の厄災は、【悪魔の爪】だ・・・詳しい情報は【   】だ』


くっ、あぁぁぁぁ!!!頭が痛い!!! くそぉ!そんな事だと思ったぜ! 途轍とてつもない情報量を圧縮した刻印か!? とんでもないモノ含めやがって!!! 見た瞬間に情報を流し込み、頭の中で展開する刻印とは・・・相変かわらず性格が悪いぜ。


脆弱性を利用したフラット攻撃か!!! Dos攻撃止めろよ、ジジイ!!!


はぁ、はぁ、はぁ・・・くそぉ! あと最低でも2つは有るんだろ・・・キツイな。


とりあえず一呼吸だ・・・落ち着いて読んでいけば全部読み切れるはずだ、あの爺さんの性格上・・・。



ふぅ・・・よし!落ち着いた・・・続きを読むぞ。


『二つ目の厄災は、褐斑病だ・・・どこかの国では【神の厄火やくび】と呼ばれたらしいな・・・今回はビーツ系に被害をもたらすモノだ・・・一回目の情報圧縮はどうだった? なかなか面白いだろ?』


あのクソ爺・・・マジでムカつくわ!


『ビーツと言えは栄養価が高く、砂糖にも出来る・・・しかし、これらが病魔により壊滅的な打撃を受ける・・・5割減と言うところかな・・・』


ビーツは、栄養素なども豊富に含まれる・・・確かこの地域ではビーツは欠かせない・・・と言う事は、このまま行けば、領民は栄養失調症か!!  


『食料が減り、砂糖と言う財源も無くなる・・・しかも、この領内での財源の3割が砂糖だ・・・あとは言いたい事は解るよな?』


ここの財源ってどうなっている? 俺自身の気持ち的には、すてに『ここ終わったわ』感が結構出てるのだが・・・。


『でだ、対策として【  】と【  】と【  】が有るが、どっちがいい? それとも【  】や【  】と言う物で代用するのもいいと思うが・・・【  】や【  】も良いな・・・まぁ、お前らが決める事だ・・・好きにしろ』


今度は別のやり方でDoS攻撃か!!! 頭の中で情報がクラスター爆弾の様に降ってくる!!! ふざけた真似しやがって!!! うがぁぁぁぁ!!! くっ・・・うぉぉぉ!!!


一つ一つは先ほどの情報量でなかったが、連続の情報飽和攻撃はキツイ!!!頭を鈍器で殴られ続ける様な痛みが襲い掛かる!!!


「うががっがああぁ・・・ぐっうっあぁぁぁぁぁ!!!」とナッシュは両手に手紙を持ちながら叫ぶ!


・・・はぁ、はぁ、はぁ。


・・・何とか耐えたぞ。


・・・くそぉ!油断出来ん爺だ! 人の事、やがって!!!


ふぅ・・・とりあえず、落ち着いた。


覚悟を決めて、続きを読むか・・・読むしか選択肢が無いのが辛い・・・逃げ出すわけにもいかんしな。


『二つ目の厄災についての、情報お味はどうだ? この程度でを上げては困るぞ・・・この先、この程度、攻撃と思わない位の力は必要になるからな・・・とは言え、経験不足の者にはキツかったかのう? いかなる方法でもよい・・・出来ればよいのだ。』


あんな不意打ち対応できる訳ないだろ!!! しかも、この先も起きるだと!!! 対処たいしょ出来るか!!!


『三つ目は【イナゴの大群が田畑を襲う】・・・これは二年目終盤に来る・・・アドニカ国土だけでなく大陸全体で大量発生し大陸の各地で飢餓きがが発生する・・・その後の末路は分かるだろう・・・略奪りゃくだつが各地で発生する・・・生きる為にな』


あぁ、これは『オプティマ』のせいで知ってるよ・・・でも、どうにもならんだろ。


出来る事と言えば、備蓄しか無いだろ・・・でも、目先の食糧すら無いんだゾ!


『絶望から救う策が欲しいと思っていただろ? 打開策のかなめとなる情報・・・救荒植物の情報についての情報を与える【   】』


それを見た瞬間、部屋中に刻印が至る所に発生した・・・


その刻印はゲートに代わり、一つ一つ別な所と繋がっている 非常に嫌な予感しかない・・・まさか!


こんな複数ケートを一気に開くなど!!! マジか!!! DDos攻撃だと!!!


余りの情報量に苦しみ悶絶した・・・雄たけびに近い悲鳴を上げながら。


「うががっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


そして、情報処理の許容量を超越ちょうえつした俺は意識を失ってしまうのであった。


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