第22話 スケルトン、何かに遭遇する。

何も見えない漆黒の中・・・


誰かが語り掛ける・・・


「はて? ワシは分体も化身も作った覚えが無いが・・・余りにもワシと似た様な事をやっている奴がいる事自体驚きだ・・・」


「まさか、私と同じ様な事をやる者がいる事自体驚きだが・・・」


「面白い・・・他者を救う為の知識を得る為、自分の全てをなげうつとは・・・実に興味深い」


段々と周りが見えてきた・・・


そこは、薄暗い小さな小部屋・・・


白い髭を生やした老人が一人・・・


片目しか無いその目は、死にかけた様な目をしている・・・


ボロボロの灰色のローブを着て、こちらを見ている・・・


そして、今にも壊れそうな椅子に腰を掛けている・・・


だが、見た目とは裏腹に、とてつもない力を感じる・・・自分の存在が簡単に消し飛ぶと思うぐらいに・・・


「対価を払え・・・そしたら、お前の欲しい知識を与えてやる・・・」


おれは声を出そうとした・・・が、声が出ない


「ここでは、声を出そうとする行為は無駄、無意味だ・・・伝えたい事を思うだけでよい」


その間にも、自分の力が吸い取られていくのが分かる・・・時間が無い


老人は語る・・・


「お前がダンジョンに入った後、魔術を使える様になり、アンデットになっただろう・・・あれはワシのたわむれだ・・・」


「最初は退屈しのぎだったのだが、面白くてな・・・ついつい力を与え過ぎてしまった・・・と当初思っていた・・・いつかその力を封印しようと思っていたのだ・・・が、運命とは面白い・・・実に面白い!」


「対価を頂くとしよう・・・なぁに・・・お前の様な面白い奴を消す気は無い・・・」


「この先2年ほど、災いを耐えれるほど知識ときっかけを与える・・・安心しろ・・・『』、私の知識欲が満たされない!!!」


「知識は力だ! 希望だ! そして娯楽なのだ! 基本、!!!」


「だが、お前の要求に対し対価は膨大だ・・・死ぬなよ・・・絶望するなよ・・・お前一人では無力だ・・・必ず周りを頼れ!!! 対価は足りんが貸しにしてやる・・・」


老人がそう言うと、膨大な量のマナが更に減り続け、今まで経験のない苦痛が襲い始めた・・・存在自体がゴリゴリ削れ無くなる様な感覚に襲われる。



「今の私は機嫌が良い・・・他の知識もあたえてやる・・・しかも無償だ!!!」


「お前が持っていた本は、本でない・・・本に見えるが書物庫だ・・・全ての知識がそこにある・・・悪いが返してもらうぞ・・・あれはワシの物だ!」


「気が向いたら貸してやろう・・・ただ、代償は必ず頂くぞ・・・ワシを満足出来た分、代償は軽くなる・・・覚えておけ・・・」



「おまえは、神も悪魔も信じないと言っていたが・・・実際に会っている」


「私が神だ! ワシを含め、上位の神とワシと同格の神を合した数は両手で数えるぐらいしかいない・・・」


「だからと言って・・・そこは勘違いするな」



 「そして10歳ごろ、飢えたお前は、サバトを襲い、二本足のヤギや牛の頭をしたモンスターを、お前は討伐して食っただろう・・・あれが悪魔だ、モンスターでない・・・」


「あれは、実に面白かった!! 悪魔どもが滑稽すぎて、しばらく笑いが止まらなかったぞ!」


「ただ、サタニストも食っちまうのはどうかと思うぞ・・・人間を食うのは控えた方が良い・・・と言うより、もう食える身体ではないか・・・他の者にも言っとくと良い・・・基本的に、そのモノが持っているぞ・・・」


「基本、その感染源で感染し発症する症状の対策は、発病しない様に治療するか、変異して感受性を無くすか、耐性を身につける事の三点になる」


「お前も薄々気が付いていると思うが、これに対してはエネルギー指向に対しても該当する・・・違うと? そうだな・・・面白い話をしよう・・・」


「見えている色は同じでも、全員違って見える・・・なに?言っている事が分からないだと?」


「やれやれ、そこから教えなければならないのか・・・それぞれ感受性が違うからだろ!」


「光や音だってそうだ! 音の・・・さらに、それを言葉として認識する場合、だろ! か、なのかでも・・・そうだ、そんな感じだ」


「そろそろ限界か・・・まぁいい・・・今後、今まで通り面白い物を我は求める・・・無理にとは言わんがな・・・」



「本当に楽しみにしているぞ『ナッシュ』・・・さあ、我が与えた知識で希望と喜びに満ちた混濁を広げるのだ!!!」


彼がそう言うと、ナッシュの意識が徐々に現実世界に戻ってきた。

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