第18話 スケルトン、新たな病気が発覚する。

何でだろうなぁ・・・ここ、俺の作業場だったはずだが、何故かになっているんだが?


生牡蠣の感染騒ぎは、ようやく落ち着き、仮設療養所とトイレは焼き払って、消し炭にした。


感染原には、やはり焼却殺菌が手っ取り早くて簡単だ・・・しかし、その後に土魔法で板金などの作業場作ろうとしたら新たな感染症か発生したため却下された・・・引き続き、感染者の治療を続けている。


嫌になっちまうぜ・・・今度は咳と下痢嘔吐の症状かよ・・・明らかに、別種の病原だな。


一応、生牡蠣騒動の際に作ったマニュアルが役に立っている・・・こんなに早く利用する事になるのは想定外だったが・・・。


前回の反省点としては、川は遠く、水の供給が井戸のみで、つるべ落としで水汲みになったことだろう、あれは不味かった・・・石鹸と手洗いが無かったせいで、一般の方も一部感染した・・・予想より感染者は少なかったが。


どうやら石鹸と手押しポンプと言う物は、この国に無かった様で、それを作って水を汲み上げ石鹸で手を洗ったら、その凄さに隊長たちや住民が驚いていた。


構造が分かれば簡単なのだが・・・発想が無いとそこまで結びつかないか・・・。


隊長が感動し熱弁する・・・


「後で、これに関する発明品の技術使用料は必ず払う! こんな素晴らしい物は早く流行らせなければならない! それを邪魔する貴族は皆殺す・・・」


・・・ん? なんか最後の方、物騒な事を言っていなかったか? 気のせいか?


「まぁ、技術使用料は無理せんくても良いから、とりあえずボンプだけでもさっさと設置しようぜ!」と俺は言っといた。


今回は、最優先で手押しポンプを全部の井戸に設置させる事になった・・・しかも、ここの領内全域に・・・。


ポンプや管は俺が作り、設置は兵士どもにさせた・・・ポンプと管が出来た後、隊長は兵隊に向かって命令する「領内全域で2週間以内に設置完了出来なければ・・・サボっても! 逃げても必ず見つけ出して!」と隊長が物凄い殺気を出して脅したら、ちゃんとやってくれた・・・偉い!偉い!そして凄い・・・が、やり過ぎだろう、戦争じゃあるまいし。


頑張った兵士たちには、ご褒美は必要だろうと隊長が特別報酬、俺からはヒール券2回分をプレゼントした・・・みな涙流して感動していた様だが、報酬で喜んでいる訳では無い様な気がするのは気のせいか?



衣服に病原菌が付着しない様に、診察室で使用した布や衣服は、石鹸で洗い、周囲は銀で清めた水で布を湿らせ、拭き掃除させている。


事情を説明したら、直ぐに隊長から貴重な銀の塊を頂いた、有り難い・・・抗菌剤に錬金出来るからな・・・被害は少しは減らせそうだ。


病棟は、土魔法で作り直し、その上に漆喰も全面に塗ったので、ある程度は細菌感染は防げるが、病原菌の特定する機材を複数作成しなくてはならない・・・俺がヒールの魔法で作業していたら、原因を特定する作業が十分に出来ないから、いつまで経っても良くならない。


病原菌等を特定する測定器具が無いとな・・・顕微鏡でも作るか・・・しかし、小さ過ぎる病原体は分からんしな・・・まぁ無いよりマシか。


運が良いのか悪いのか分からんが、生牡蠣の感染症の際に、マスクの着用を呼び掛け、ある程度は予防効果が有ったので、引き続き皆が着用をし続けている・・・。


そんな中、さらなる凶報が届く・・・。


副隊長からの報告だ・・・。


麦に、原因不明の病気が蔓延していると言う・・・去年は少し赤いカビが入ったぐらいだが、今年は黒い塊みたいな物が沢山出来てると言うのだ!


そして、その黒い塊が付いた麦をナッシュに見せる・・・


流石に、俺は叫んだ!


「それ、あかんやつじゃねぇか! 被害はどの程度だ? 絶対に食うなよ!! 間違っても食うなよ!!! 多分そいつは麦角菌感染だ!!! 別名『悪魔の爪』と呼ばれて循環器系や神経系に対して様々な毒性を示すぞ!」


副隊長が青ざめる・・・そして語る。


「それが・・・ほぼ半分の麦畑でそれが発生している」


俺は思わず「なにぃ!!! 半分だと!!! ヤバいぞ!ヤバすぎる!! 早く!早く領主を呼べ!!! 今すぐだ!! 領民が収穫して食っちまったら大変な事になるぞ!!!」と叫んだ!


タダ事ではないと感じた隊長が直ぐに応答し、領主を自分の屋敷に強制連行する様に兵士に命令を出した!


隊長が聞く・・・詳しく教えろと。


「手足が燃える様な感覚を与え、血管などの循環器系に対しては、血管収縮を引き起こし、手足の壊死する場合もある・・・更に脳の血流が不足して精神異常、痙攣、意識不明になり、死ぬ事もある・・・止めに、妊娠していた女性は子宮収縮による流産が発生する・・・どうだ、一大事だろ?」


「マジか・・・あの馬鹿どもの件が解決したと思ったら、今度は咳風・・・止めに、昔の古文書にある大災害『悪魔の爪』だと・・・最悪だ!なんてついてないんだ!!」と嘆く隊長。


「何言っているんだよ! まだ俺が過去にその大災害を経験している上に古文書による知識も有るから、対策出来るだろ!! まだ最悪でない! ・・・ちなみに領主ってどんな奴だ?」


「俺の親父だ・・・言っとくが、可もなく不可も無く凡人だ・・・いや、すこし落ちるかな? 期待するな・・・」


おぉ、話はスムーズにいきそうだが・・・物凄く気が重いな・・・。


先の事を思うと、胃が無いのに胃がある辺りがキリキリするのはなぜだろうか?

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