第10話 スケルトン、教団の抗議を受ける。

入国の許可が下りず早1ヶ月・・・中々便利屋が板についてきた、本来の目的とは違うがな。


今、周りの評価だが、怪しい奴から変な奴にクラスアップした様だ・・・まぁ、残念な結果だが、少しはマシになったので、素直に喜ぼうと思う。


特にヒール等の聖魔法を叩き売りしたのがこうそうした様で、皆の有害認定が外れた様だ。


ただ、それにともない売上が落ちて被害が出ているのは教会・・・当然苦情を言ってくる奴もいる。


複数の教団からの抗議・・・中にはドサクサに紛れて勧誘してきた奴もいた、中々の根性だ・・・腐ってやがる。


ある意味、宗教ほど厄介なものは無い・・・神の名の下になんとでも言える。


もちろん変な奴ばかりではない・・・ばかりではないが、思考停止して神にすがり付くのは、どうかと思うが。


周りの人を巻き込むのは看破かんぱ出来んと思うぞ・・・自分だけにしなさいと言いたいところだ。


しかし、群れにならないと安心出来ないのかね?


どっかの誰かが言っていた・・・悪い事、


ふざけるな! ! それがんだよ!


その内、『死ねば良いのに・・・』と言われるぞ。



今日も苦情が盛り沢山だ・・・暇なのか、こいつら?


1件目・・・


「貴様!どこの神の名の下に活動しているのだ!?神に無断で聖魔法を使うとは何事だ!」 


「うるせぇ! 俺は無神論者だ! 神たろうが悪魔だろうが知った事か!」



2軒目・・・


「我が神がお前の様な存在を許すと思っているのか!!」


「知らねぇよ! 今でも存在しているからそうなんだろ?」



3件目・・・


「貴方は邪神を・・・信じますか?」


「基本的に、俺は見ていないものは信じない! どうでも良い質問は仕事の邪魔だ、向こう行け!」



4件目・・・


「神罰です! 貴方が苦労しているのは神罰です!」


「なら、そのクソッタレの神を呼べよ・・・ぶっ飛ばしてやる!」



5件目・・・


「貴方は神に選ばれたのです! さぁ、皆さんを救済する旅に行きましょう!」


「俺が不幸の真っ最中なのに、何で他人を救済しなくてはならないんだよ!? 皆を救済する前に自分の救済をしなくてはならないだろ! 馬鹿か、お前?」



6軒目・・・


「貴方が聖魔法を頻繁に使うから、教会の運営が窮地きゅうちに立たされています! 止めて下さい!」


「それじゃ、聖魔法以外の解決策はどれだけ検討し実行した? ・・・はぁ、たったそれだけしかしていないだと? 努力が足りん上に相談もせずに苦情とは・・・帰れ!」



7件目・・・


「力有る者は、力無き者を救済する義務がある! 何故、その義務を放棄するのか? 神はなげいているだろう・・・」


「その義務が無い上に権利も無いからだ! 悪いけど、俺は故郷を追われた身だぞ! 実際に嘆いているのは俺の方だ!」



8軒目・・・


「あぁ、可哀想に、なんという姿に・・・」


「同情するなら、知恵を出せ! 出来ない? なら、関わるな!」



9件目・・・


「報われぬ者に救済を・・・寄付をお願いします。」


「報われぬ俺から金をむしり取るのか? 酷くないか、お前・・・」



10件目・・・


「毎日、神にお祈りしてますが、奇跡が中々起こりません・・・」


「そりゃそうだろ! やる事やらない奴に奇跡が起こるわけ無いだろう・・・俺が神なら、そんな奴には奇跡どころか罰を与えるぞ」



11件目・・・


「その姿は神の呪いですか? それとも加護ですか?」


「さぁ? よくわからん・・・お前には関係ない事だ、気にするな・・・」



12件目・・・


「サタニストです・・・ぜひサバトにご参加を!」


「嫌です・・・」



・・・


・・・はぁ、本当に仕事の邪魔だ。


俺は無神論者だ・・・そして、現実主義者だ。


見ていない者をどうやって信じる事ができようか・・・。


現時点での俺は、神より、ご先祖の意思を尊重そんちょうする。


なぜなら、今、俺が存在しているのは、その方々のお陰だからだ・・・。


いつかは、偉人いじんの如く人々を救いたいものだ・・・カッコイイからな、よこしまな考えかもしれないが。


まぁ、神については実際に見てから考えても良いだろう・・・。


死後など知らん・・・既にアンデットになっている様だしな。


あと、教団の道徳的な対応については邪魔する気もない・・・あれは良いものだ、だと思う。


道徳を忘れた者は、からなぁ・・・。

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