第8話 スケルトン、誤解する。

現在、絶叫泥まみれになっております・・・またかよ。


相変わらずファンキーな状況下になったが、まさかアースドラゴンの強襲に遭うとは・・・あのクソトカゲ、目が合った瞬間、いきなりファイヤーブレスをぶっ放しやがった!


俺が何したって言うんだよ! 条件反射の如くぶっ放しやがって!


しかも、ぶっ飛んでドブ池にハマったのを見て、満足気に帰って行きやがった・・・。


「クソトカゲめ! 次会ったら、ぶっ飛ばしてやる!!」



しかし・・・ダンジョン出てから何回目のクリーンの魔法だ?


聖魔法を頻繁に使うから、慣れてきた・・・慣れてきたが、その原因を考えると、あまり嬉しくない。


まぁ、使わないと覚えない、困らないと腕を磨かない・・・と、昔、上官が言っていたな。


その通りなんだけどさぁ・・・覚えなくても事足りるならそれで良くない?


ダンジョン出てからロクな事がない・・・ダンジョンマスターの呪いか?


・・・イヤイヤ、それは無い。


あのくたばり方を考えると、カーズを掛けるどころか、文句すら十分に言えなかった状況だ、しかも色々な状態異常の抵抗力が非常に高くなっているのに、呪いなんてそう簡単にかかるもんでない。


まぁ、偶然だろう・・・そう思いたい。


また薬草やポーションを失ってしまった・・・懐が傷んてないけどさぁ、頑張って作ったんだぜ。


はぁ・・・瀬無せない。


流石に、これだけ不幸が続けば、気を持ち直すのは無理だろ・・・やる気スイッチ入らないわ~。


もう、ポーション作りは止めよう・・・心が更に病む。



とりあえず、不眠不休で歩き続け、ついに国境に到着した・・・が、国境のゲートでは、あのアースドラゴンが暴れている!


流石、アドニカ兵! 強いねぇ・・・。


見事な陣形をとりアースドラゴンの猛攻を防いでいる・・・あっ、吹っ飛ばされた。


そうだよねぇ・・・やっぱ無理だろ、腐ってもドラゴンだしな。


これはチャンス!!


奴を討伐したら、更にスムーズに越境えっきょう出来そうだ・・・ついでに金儲けも出来そう。


よし、助けに行くか・・・。


アースドラゴンの後方側の道に降り、シールドの魔法を展開、バットを構えてから大声を上げた。


「クハハハハハ!!!トカゲ風情が!!!この俺が相手になってやる!!!かかってこいや!!!」


アドニカ兵達はナッシュの姿を見て・・・固まった。


そりゃそうなるわ・・・スケルトンがいきなり参戦してくるんだもの・・・俺でもそうなるわ。


アースドラゴンはコチラを確認した瞬間、こちらに猛攻を仕掛けてきた。


そして、兵士たちがコソコソと話し出す・・・何話してんのかね?


って、おい! どんだけファイヤーブレスぶっ放すんだよ! ああああァァァ!尻尾邪魔くせー!


そして、「目標、黄金ローブを着たリッチ!攻撃せよ!!!」と隊長らしき兵士が叫び、周りの兵士が攻撃し始めた・・・マジか!


おい!クソトカゲを攻撃するのではなかったのかよ!


魔道銃で攻撃してくるが、武器の性能が良いせいか、対魔抵抗が高いナッシュの体にも若干被弾する。


そして、中々攻撃を止めないアースドラゴンと兵士たち。


なんで、そんなに連携とれているんだよ!


・・・なんか酷くねぇ、前にも闇商人と盗賊共が俺に攻撃してきた事もあったが、お前らもか?


「おい!お前らいい加減にしろよ・・・ホーリーグラビトン!!!!」


周りが漆黒の暗闇に包まれたと思った瞬間、アースドラゴンと兵士たちは、とてつもなく眩い光に包まれた!!


そして、重力波がアースドラゴンと兵士たちに襲い掛かる。


「目が!!!目が!!!うあぁ!!あっ!あぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・」と光と重力波に悶絶するアースドラゴンと兵士たち。


アースドラゴンには、兵士たちの数倍の重力波を加えている・・・アースドラゴンや兵士からバキバキ骨が折れる音が聞こえる。


そして、アースドラゴンにナッシュは語りかける・・・「お前は楽に殺さん・・・前にもやられた分、キッチリ利子付けて返してやる!倍返しだ!覚悟しろ!!!」


それを聞いて怯えるアースドラゴン・・・こいつ意外と根性無いな。


しかし、スゲーなぁアドニカ兵・・・ボキボキ骨が折れようが、口から血を吐き出しながらでも向かってくるわ。



とりあえず、全員ボコボコにしたので、縛り上げてからエリアヒールをかけて、落ち着かせてから話をする事にしよう。



隊長らしき兵士を問いただす。


「何故攻撃してきた? こちらから攻撃を仕掛けていないだろう・・・説明しろ!」


「・・・普通、アンデット見たら攻撃するだろ!」


「はぁ? お前ら、あのアースドラゴンに襲われていたから手助けに入ったのだぞ! 優先順位が違うだろ!」


「あれは定期訓練だ! 月に一回やる事になっているんだよ!」


・・・へ?


待て・・・訓練?


あんな激しいのが・・・訓練だと!


腕がモゲた奴や、はらわた出ている奴もいたぞ・・・。


やっぱりアドニカ兵はイカれてるわ・・・。


「あんな激しい訓練やったら死人出るだろ!」


「軟弱な兵士など要らん! しかも、ここは国境だ! 最前線なのだ! 軟弱な根性の奴なら勤まらん!」


「・・・その割には、あのアースドラゴン、根性無いな」


隊長が鬼の形相でアースドラゴンを見る・・・そして「その腐った根性、後でたっぷり鍛え上げてやる!」と怒鳴りつけると、アースドラゴンは涙流しなが糞尿漏らした。


・・・どうやら、俺よりも隊長の方が怖いらしい。


「まず訓練の事は置いといてだ・・・何でアンデットだと攻撃するんだよ・・・酷いと思わないのか?」


「思わん! 普通そうだろ!」


まぁ、否定はしない、確かにその通りだ・・・悔しいが、逆の立場でも同じ事するろだろう。


悔しいので、嫌な質問をする・・・。


「もし、初代国王がアンデットになって復活した場合でも、同じ事をやるのか?」 


「当たり前だ! むしろやらない方が失礼だ! アドニカ兵を舐めているのか!」


・・・流石、戦闘民族だわ。 アドニカ兵・・・ある意味怖いわ、マジで!



とりあえず、事情を説明したら渋々ながら納得したので、拘束を解除した。


「あれ程の事が有ったのに、兵士たちはずいぶん落ち着いてるな」


「ジタバタしても仕方が無い・・・殺す気になれば何時でも殺せただろ、我々は常に最善を尽くす!無駄な事は極力しない」


「じゃあ、入国は?」


「許可する訳無いだろ! 一応、上には伝えておく・・・審査結果を待て!」


まぁ、話は通じる分、前よりマシか・・・。


ここは、黙って結果を待とう。

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