第6話 スケルトン、再度行き先を決める。
クッソォォォォ! あいつら一方的に攻撃しやがって!! 俺が何したって言うんだよ!
こちらの話は一切聞かず、いきなり攻撃! 吹っ飛ばされてドブに全身埋まるわ、怒り心頭で出てきたら集中砲火! あいつらに攻撃しなかった自分を褒めたい・・・。
まぁ、攻撃したら攻撃したで完全に有害モンスター扱いにされ最終的に詰むしな・・・まだ最悪な状況になっていない・・・と思いたい。
追跡していた兵士共も上手く撒いたが、薬草やポーション類は馬車の中・・・喜んだ矢先にトラブルでluckが急降下するのは切ない。
仕方が無い・・・ポーション類は、あぶく銭を失ったと思って諦めよう。
しかし、故郷に帰れない事になるとは・・・。
思わず俺は空に向かって大きく叫んだ。
「俺、あの町守るのに頑張ったんだぜ! この仕打ちは無いだろ! 馬鹿野郎!!」
虫も泣き止み、沈黙が訪れる・・・そして虚しさが増大する。
・・・深く考えるのは止めよう、悔しいが、当面はあそこに戻れそうもない。
一層の事、隣の国に越境するか?
そう言えば、昔、『アドニカ』と言う方がいたな・・・後で独立しアドニカ共和国を建国したんだっけ・・・。
アドニカ伯爵は、他の貴族と違い善意のある方だった・・・が、まぁ・・・なんて言うか・・・周りが余りにも悪すぎて、ついに彼は狂気の先に行ってしまった方と言うか・・・死ぬまで苦労した方で色々伝説を残している。
彼は極めて健全な領地運営をしていたが、彼の善行を忌み嫌い
『やはり、ワシは間違っていた・・・あいつらは
そして戦はさらに激しさを増す・・・まさに血で血を洗うが
アドニカ伯爵の有名な名言の一つには『悪人が楽に死ぬなどあってはならぬ!それでは善人が
俺の故郷の国、カドニラ帝国は、過去に王族や他の貴族が裏であくどい事を散々行っていた。
当時、王族と貴族は
そんな中、それに異を唱えた者がアドニカ伯爵である。
アドニカ伯爵の有名な名言の一つに『民は基礎なり、貴族は城なり、そして王は国を示す
さらに当時は珍しく、事実に基づいた判決、適切な税率、倹約による無駄の無い領地運営を心掛け、出兵の際にも略奪禁止令を出し、国内外にも名を
民衆もバカではない、アドニカ伯爵がそんな事を続けていると、少しでも良い所と民衆はアドニカ領にに流れ始める。
当然、色々な問題が問題が発生する・・・が、それを上手く解決する。
領民の増加による治安の悪化は・・・無かった。
何故なら、元から治安維持には、かなり力を入れており、国内最強の騎士団を中心に治安維持部隊を編成し治安維持に努めている。
そして、軽い窃盗などの犯罪でも半殺し、現行犯は「逃げられるぐらいなら殺せ」と伯爵から命令が出ており、詐欺や殺人などの重犯罪に関しては公開撲殺刑の上、死体は磔である・・・他領でもここまでやる所は無く、恐ろしくて、盗賊や悪党は決して近寄らない。
食料の問題は・・・もちろん無い。
海に面した辺境で、アドニカ領民のご先祖は、猛獣やモンスターが
先人たちの度重なる犠牲の
更には『旨い物はアドニカにあり』と言われるぐらいだ・・・食通や商人がアドニカ領にお金を落として行く為、財政は非常に健全だ。
住む所も問題無い・・・むしろ、人が足りない。
結果、善良な民しか来ないので、民が来た分だけ領土の勢力は増大する。
だが、逆に他領は領民流出による財政の悪化や勢力の減少が
アドニカ領が段々と勢力が増して、王族や貴族は焦りを感じ始めた。
とある貴族は、『領民を扇動し、我が領に害を与えた』といちゃもんを付け軍を立ち上げ略奪行為をアドニカ領で行った。
これを皮切りに他に貴族も同様な手口で略奪し始めた。
この行為にアドニカ伯爵は激怒した。
「努力を怠り贅沢三昧、挙句の果てには略奪と言う犯罪行為・・・許さん・・・許さんぞ!!人間の皮を被った獣どもめ!!! 兵を上げよ!!! 殴殺だ!!! 一人も残すな!!!」
そして、次第に犯罪行為で敵対した貴族や騎士などを容赦なく皆殺しし始めた為、国王が彼を恐れて暗殺しようとした。
しかし、失敗も失敗、大失敗・・・正直強すぎて返り討ち、さらに関わっていた王族や貴族が露見し、更に彼の逆鱗に触れる事になる。
そして・・・
「聞け!皆の者! 奴らは邪な事を行い我らを侮辱した! 自分たちの都合が悪ければ、善悪関わらずそれを否定した! 我々は家畜ではない! 我々は奴隷でもない! 正しく努力した者に何故チャンスを与えないのか? さあ立ち上がれ!領民たちよ! 正しきものに救済を! 悪しき者には制裁を!」と民衆広場に集め演説した。
この事で大陸中の人々の心に激震が走る・・・後に、この出来事が『アドニカ戦記』と呼ばれる様になる。
結果から言うと、暗殺に関わった人間の討伐の際、邪魔をした人間も一人残らず撲殺した。
斬首ではなく撲殺である・・・国王ですら例外でなく、釘付きバットで丸1日かけて撲殺。
その後、アドニカ伯爵は数多くの国民から国王になってくれと
そして、自分の領民を守る為、アドニカ領をアドニカ共和国と名乗り建国する事にしたのだ。
そして、人々から『理想の王』と呼ばれる様になる。
しかし、年には勝てぬもの・・・国王になり15年が過ぎた当たり、軽い痴呆症が出始めたのだ。
だが、流石はアドニカ国王、この様な事も踏まえ皇太子を実務などで長年鍛えていた・・・そして、国王の座を速やかに譲り余生を送る事にしたのだ。
普通は、余生と言うと、休養地でのんびり過ごすのが一般的だ。
しかし、初代アドニカ国王は違う・・・今までやられた恨みは決して忘れない様にとメモ書きしていた。
痴呆が進んでもメモ書きを基に報復の旅をする事は出来る・・・諦めるのはまだ早い。
メモ書きには108人の罪人の明細が書かれており、すでに国外に逃亡した者も多い。
「逃げ徳は許さない! この命尽きるまで私は諦めない! 絶対にだ!」と従士に語り旅の準備を命じた。
おおよそ10年間の復讐の旅路・・・この出来事を民は『アドニカ快事録』と語り、悪人を討伐し、多くの人を救った英雄伝として、今でも多くの人たちに感動を与えている。
そして、初代アドニカ国王の最期は、満身創痍でメモ書きに書いてある最後の一人を撲殺した直後に絶命する・・・。
彼の最後の言葉は「良き人生であった・・・感謝する」だったと共に戦った従士は語る。
そして、そのメモ書きは、のちに『アドニカ復讐帳』と呼ばれ国宝として保管される様になる。
・・・そうだな、アドニカ共和国に行こう。
ただなぁ・・・スケルトンなんだよなぁ、モンスター扱いされないか?
撲殺はヤダなぁ・・・あそこの騎士団、剣でなく棍棒やメイスで殴り掛かってくるからなぁ。
アドニカ兵って根っからの戦闘民族だから、あそこの門番とは訳が違うしなぁ・・・ヤバくなっても、逃げられないかもしれない。
まぁ、事情を話して「正しきものに救済を! 悪しき者には制裁を!」と叫んで理解してもら・・・えるのか?
もしくは、「観光です、
いやいや、この黄金装備で追剥に遭いましたは無いな・・・うん。
とりあえず、ポーション作って売りに行こう・・・駄目なら土下座でもするか。
なる様にしかならないしな・・・行ってから考えよう。
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