第5話 スケルトン、撤退する。
結論から言おう・・・門番からモンスター扱いされた上に、まともに会話する間も無く集中砲火を食らい、泣く泣く撤退した・・・スケルトンなので涙は出ないが。
長い道のり・・・ようやくゴールが見えてきた。
町の関所に到着したので、馬車から降り、門番に「お疲れ様です~! 盗賊と闇商人をしょっ引いてきたから、確認して欲しいんだわ! よろし・・・」と言いかけた矢先、あいつ、いきなりファイヤーボール、ブチかましてきた!
そして、そのファイヤーボールが顔面で爆発!
酷くねぇ? 驚いただけでダメージは無い・・・無いが、俺が何かしたか? いきなり攻撃は無いだろう!
くそぉ! いきなりファイヤーボール打ってきたお前だけは絶対に許さん! 後でアイツ絶対に泣かす!
そんな事を思っていた矢先、もう一人の門番が「敵襲!敵襲!!モンスターが攻めてきたぞ!!」と騒ぐと、スズメバチの巣を駆除しようとした際に出てくる働きバチの如く、門からゾロゾロトと物凄い勢いで出てくる兵士たち・・・。
殺気立った兵士たちが武器を構える。
その状況に焦るナッシュ・・・。
平静を装いながら、誤解を招いている兵士たちに「ちょっと待て、頼むからちょっと話を聞い・・・」と言いかけた時に、また顔面に何かが当たった瞬間、大爆発した!
爆発で、宙に舞うスケルトン・・・そして、近くにあるドブに勢い良く頭から落ちて上半身がヘドロに埋まる。
もう一度言うけど、酷くねぇ・・・俺、まだ何にもしてないし、何の恨みが有るんだよ!
てか、上半身がヘドロに埋まって身動き出来ないんだけど・・・って埋まる!埋まる!!ヤバい!!沈む!!!沈むってば!!!
下半身が忙しなく動くスケルトン・・・傍から見たら実に滑稽だ。
隊長らしき者が「今すぐ神官を呼べ!!今の内に!早くしろ!!」他の兵士に命令を下す。
そして、段々と沈んでいくスケルトン・・・ついに腰まで埋まり足だけで
そして、スケルトンが藻掻いている間に、神官が到着する。
神官は問う・・・アンデットはどこかと。
兵士たちは一斉に指を差す・・・膝まで沈んでいるスケルトンを。
「・・・? 骨? あっ動いた! スケルトンですね・・・? あれ? スケルトン? 今は昼間ですよね? ・・・なんか装置を使って動かしてません? 普通、アンデットって昼間から出ませんよ?」
隊長が怒鳴りながら答える「アンデットだよ! 実際に動いているのを、みんなが見ているだよ!」と。
「はぁ・・・? でも、瘴気が全く感じられないのですが?」
「てめぇ・・・ガタガタ口答えしてるんじゃねぇよ! ちゃっちゃとやれよ生臭坊主!」
「ほぉー・・・、面白い! この私に喧嘩を売るとは中々の度胸ですね・・・この門番風情が! いいだろう・・・その喧嘩買ってやるよ! 覚悟しろよ!この糞野郎!!」と神職らしからぬ買い言葉を言い放ち、隊長と喧嘩する・・・。
そして、圧倒的な戦闘力で隊長を半殺しにする。
隊長の頭を踏んづけガッツポーズを決める神官・・・。
そして・・・足首まで沈んでしまうスケルトン。
なんだかんだで、沈み沈んだナッシュの体は、ついに足の指だけになった。
「ヘドロの中って効きにくいんですよね・・・まあ、足の指が出ているので一応効果有りますか・・・う~ん、仕事ですし、仕方が無いですねー・・・ターンアンデット!」と神官が呪文を唱えた。
足の指にキラキラした物が降りかかる・・・。
そして、さっさと帰ろうとする神官。
兵士の一人が「ちょっと待って下さい! たったこれだけですか? キラキラした物がちょこっと掛かっただけではないですか!」と言うと、神官は嫌な顔をして「瘴気出とらんし、そいつ実害出したか? どうせ、そこ、底なし沼だろ? 上手くいかなくても沈んで解決だろ!」と言いて帰ろうとした。
呼び止める兵士たち・・・。
なら、金よこせと言う神官・・・。
それは払えないという兵士・・・。
神官の拳が兵士の顔面をとらえ、激しく宙に舞う・・・そして帰る神官。
さらに沈んで、確認出来なくなってしまったスケルトン・・・。
残りの兵士たちも、盗賊と闇商人をしょっ引いて門の中に戻り始める。
底なし沼から湯気が出始める・・・。
一人の兵士が異変を感じて底なし沼に近付いた瞬間、底なし沼のヘドロが爆散した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!俺が何やったというんだ!バカヤロウ! ふざけんな!クソヤロウ! 話を聞けよ!この野郎!」と叫びながら、爆発した勢いで平地に戻ってきたスケルトン。
もちろんヘドロ塗れだ・・・身体からは怒りで湯気が上がっている。
その気迫に焦る兵士・・・。
音を聞きつけ慌てて集まる兵士たち・・・そして、全員が全力で攻撃しまくり、地面は揺れ、魔法や爆薬等の音が鳴り響く!
くそぉ!なぜ俺がこんな目に・・・と思いながらシールドの魔法を自分にかける。
これでは意思疎通が不可能だと判断したスケルトンのナッシュは撤退を開始した。
「てめえら!後で覚えとけよ!!!」と捨て台詞を言いながら・・・。
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