第8話 実は…………………………………
線路下の地下道を通り抜け、反対側の駅前に出る。
地元駅よりも遥かに栄えている駅前ロータリーをぐるっと回って銀行に入った。
入口で番号札を取り、順番で呼び出された窓口で当選くじを無言で差し出したらカウンターの女性が後ろに何か合図をしてから、
「お客様、そちらのパーテーション裏の席でお待ちいだだけますか?」
これでもかというくらいの笑顔で指示されて彼と二人で移動すると、商談用の区画だろうかソコソコ豪華なソファーの席だった。
座ったと思う間もなく、
「お待たせしました。恐れ入りますがご案内しますので移動願えますか?」
イケメンのアラサー男性、偉い人だろうか?
何か嬉しいことでも有ったのかと突っ込みたくなる位の極上な笑顔でお願いされた。
勿論、異存など有るはずもなく、案内された部屋は先程の支店とは雲泥の差だった。
こちらが『本物の応接室』ならアチラは『倉庫』だわね。
今思い出しても失礼しちゃってるわねえ。
最上級のおもてなしなど求めないけど、当たり前の扱いはしてほしいものだよね!
「お茶をご用意します。コーヒーか紅茶もありますがいかがですか?」
「私はホットコーヒーで。」
「あっ、僕も同じで。」
応接室入口に控えていた先程受付カウンターに居た女性に合図してから、
「早速ですが、宝くじ当選おめでとうございます。当選の確認をさせていただきますので、お預かりしますね。」
カウンターで当選くじを見せたのは一瞬なのに、高額当選ってわかるのはさすがと言うべきなのな?
すぐには返事せずに、彼と目を合わせたら頷いてくれたので私から全部話すことにした。
「その前に確認したいことがいくつかありまして、お聞きしてもよろしいですか?」
「私にお答え出来ることでしたら。」
「実は…………………………………………」
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