第6話 検証結果

検証の結果…………………………………


何も起きなかった。

未来予知の様な事は無かった。

事が終わった後に、知りたいと思った事を思い浮かべたんだけどな。


因みに、だいぶ先の事を知りたかったからそのせいかも?

友也と結婚したら、何人の子供に恵まれるかを思い浮かべたんだよね。


まさか、彼とは結婚出来ないなんて事は無いよね!


二人でシャワーを浴びて部屋へ戻り、再び密談。


「何が違ったんだろうな?」


「そうね、何か違ったかもね。それとも、条件が有るのかな?」


「………………………………俺は、昨日一昨日よりも物足りなかったかな?」


「あっ、私も!未来予知なんて余分な事を思いながらだったかも!」


「………………………………もう一度検証するにはチョット疲れたから、明日また試してみようか?」


「賛成!でも、一緒に寝るからね?」



※※※※※※※※※※



翌朝早起きして、それでも彼の両親の出勤時間よりも遅くて。


今朝は流石に起き抜けに『交わるような事』は無くて、普通に朝食をとって彼と手を取り合って銀行へと出掛けた。

幸いにも、宝くじ当選金を受け取れる銀行が最寄り駅にあったので、開業と同時に受付したら即座に別室に通されて監禁されてしまった。

有無を言わせない勢いで、まるで犯罪者を閉じ込めるようだったけど。

私達が若いからって、下に見られてるのかしら。

丁重にもてなせとは言わないから、お茶も出せとは言わないから、普通に扱ってくれるだけでいいのにな。


最初の印象が最悪だったから、私の当選くじは見せずに友也の分だけ見せたのは正解だったかも?


「ねえ、友也?地元じゃなくて遠くの銀行へ行ったほうが良かったかな?」


「………………………………もう遅いからな。純の分の換金は、チョット遠いけど他の支店へ行こうか。今すぐにでも逃げたくなってきたな。」


部屋の中の雰囲気が最悪で、とても高額当選金の当選者をもてなすような雰囲気じゃないんだよね。

私はこの銀行の口座を持っているけど、絶対に他の銀行に入金してやると決意した頃にやっと行員が現れた。


「お待たせしました。私が手続きをさせていただきます。よろしくお願いします。」


名乗られて名刺を渡されたけど、上の空で聞いてどうでも良かった。

この銀行の口座を持っているか確認されたので、私が持っていると通帳を見せると名前を見て少し慌てている様子。


「………………………………通帳記入、させて頂いて宜しいでしょうか?」


「………………………………あぁ、えぇ、まぁ?」


よく分からなかったけど、断る理由が見つからなくて、手元に持った私の通帳を半ば奪い取るように持っていかれてしまった。


また、二人っきりで、気分の悪い部屋に放置されてしまった。


「………………………………何なの?」

「………………………………何だろ?」


二人で首を傾げて待つ事暫し。


やっと、私の通帳を手に、戻ってきた最悪な印象の行員。


「お待たせしました。残高をご確認頂けますか?」


………………………………何なのよっ!

………………………………意味わかんない?


ここで、やっと、気が付いた。

この場面、『あの未来予知』だ。


恐る恐る、通帳をめくって、残高を確認。

あ〜、あの未来予知、当たってる!

慌てるなんて、レベルじゃ無いっ!

挙動不審になった私を抑えるように、私の両肩に手を置いた友也に通帳を渡す。

理由が分からないという様子の彼に、やっとの思いで声を絞り出す。


「ざっ、残高っ!」


数字を見た彼も、絶句して固まった。


残高…………………………………………

二億数千万円!


……………………………………なんで?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る