第2話 特殊能力
去年のクリスマスイブ。
私と、幼馴染で腐れ縁で相棒の友也はディナーデートの後、予約したホテルの一室に居た。
友也とは産まれた時から、常に一緒だった。
同じ産科の病室でほぼ同時に生まれ、同じ産湯を浸かり、それ以来物心つく前から同じ時をずう〜っと一緒に過ごしてきた。
お互いの両親も幼馴染み同士で、二組で生まれる日を合わせたんじゃないかと私達は思ったりしている。
幼稚園から小学校中学校高校まで、生徒数が少ないこともあってずう〜っと同じクラスだったし。
常に一緒に行動し、お泊りや一緒にお風呂は当たり前。
幼馴染み特有の倦怠期なんか全く感じないほどに仲良く過ごす日々で、全部お互いの両親公認だった。
私の『初めて』は、全て友也とだった。
彼を異性として意識してからの、初デートからファーストキスからエッチイ事まで、全てを。
そして最後に残った、初体験。
お互いの身体のどこが感じるのかまで分かりきった状態での体験の打ち合わせを、二人でやりきった。
二人で相談した、『最高の初体験』を目指して。
クリスマスイブに経験することは、早い段階で決まった。
あとは、どんなシチュエーションを目指すか。
デートして、ディナーして、ホテルにチェックインして。
万一の避妊失敗に備えて、一月以上前からピルを服用までしたりして、当日を安全日に操作したりして。
そして、満足のいく結果を残して、私達は無事に結ばれた。
最高の、目論見通りの、初体験だった。
そして、この体験が私達の『特殊能力』発現のきっかけとなったのでした。
※※※※※※※※※※
チェックアウトして、クリスマスイブ明けの街へと足を踏み出した私達。
「あ〜、最高のクリスマスイブだったね!またお泊りして、いっぱいしようね?」
「………………………………ああ、そうだな。」
「なによ?何か不満なの!」
「いや、結構予算的に厳しいなと思ってさ。」
そう、高校生にはホテルデートは厳しいのです。
交際そのものは両親公認だから、お互いの部屋で『お泊りデート』しても差し支えないんだけどヤッパリ恥ずかしいしね。
「そうね、あ〜、宝くじでも当たらないかなっ!」
「買わないと当たらないぞ?」
「それもそうだね、じゃぁさ…………」
その瞬間、私の頭の中に、時々買っている数字選択式宝くじのいつもの番号が繰り返し浮かんだ。
当選番号の載った新聞を握りしめて震える私の姿を俯瞰して見るような感覚とともに。
まさかね?と思いながらも、
「試しに買ってみましょうよ!二人とも同じ数字でさ。」
たまたま目の前に売り場がある場所だった事もあり、その日抽選の数字を6個選ぶくじを私が二口、彼が一口同じ数字で買うことがすんなりと決まった。
二人並んで、私の告げた数字の組み合わせで、マークシート用紙に備え付けの鉛筆でカリカリとマークして、窓口で売っていた幸運の黄色い福袋に入れてもらって纏めて支払ってから手を繋いで家路についた。
家に帰り着いて、結局私の部屋にお泊りした彼と改めて結ばれながら、さっき買った宝くじはなんの意味があったのかと疑問に思いながらも激しく求めあった。
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