出席番号2番 栄田
僕は2番の栄田です。
僕は普通、平々凡々、無個性。部活に所属はしてないし、テストも平均点前後。背が高いわけでもないし、顔が整っているわけでもない。クラスに1人はいたな…、ってやつですよ。
その代わり大きなトラブルに巻き込まれることもなく、何もない平和な学校生活を送っている。
そんな僕は、新島君が羨ましい。
3兄弟の真ん中に生まれた僕は、出来の良い兄ちゃんと可愛げのある弟に挟まれて過ごしてます。服は兄ちゃんのおさがりで、デザートを買ってもらう時は弟のついで。学校でも美化委員をやってるけど、誰も手を挙げなかったから仕方なく引き受けたんんですよ。流されるまま、自分の意見は表に出さないまま、この16年間生きてきた。その場の雰囲気を壊すのが怖くて、じっと黙っていて、夜になって考えるんです。あの時発言していたら良かったのかな、って。心に溜まった渦が、じんわりと大きくなっていくのを感じる。
新島君ってすごいんです。自分のやりたいように生きてる。先生やクラスの皆は、「協調性が無い」「自分勝手」「傍若無人」だって言うけど、自分のしたいことを直接行動に移すことができる新島君はかっこいいんだ。この前だって、先生が授業に遅れてきたのに、「なんで呼びに来なかったんだ」って怒った時があったんです。そしたら、新島君は「お前が時計見ろよ」って言ったんだよ。皆思ってたことを、堂々と先生の前で言ったんだ。僕にはすごく眩しく見えた。僕にはできない。周りの皆も”空気を読んで”言えなかった。そんな中で自分がおかしいと思ったことを素直に口にしたんだ。あんな風になりたいな。
それに新島君は、バイトしてるんです。そのお金で原付の免許を取ったり、好きな服を買ったり。自分の生きたいように生きている。イエスマンの僕からしたら、本当に真似したくなる生き様なんだ。
僕も新島君みたいに言いたいこと言えるようになるだろうか。いや、きっと無理だな。だって、怖いもん。もし、皆と違ったら?間違ってしまったら?ああ、僕はあの瞬間の皆の視線に耐えられない。
だから、だから、僕は新島君が羨ましい。
日本文化において、同調は美徳とされています。手をつないだ列から外れた者は異端者とみなされ、少数派であることが悪とされています。しかし、現代は個性だ、主体性だ、と言い、自分の内にあるものを相手に伝えるようにすることが求められます。理想とする社会を実現するためには、まず潜在意識を考慮することが必要なのではないでしょうか。
夜になると1人反省会をしてしまう方多いのではありませんか。私もその1人です。1日の言動を振り返って、もっとこうしていれば、こう言っていれば、そういった「たられば」ばかり考えてしまいます。しかし、どんな1日でも必ず1個は自分を褒めるようにするんです。朝起きれた、ごはんを食べた、掃除をした。そんな些細なことでいいんです。内省することも必要ですが、頑張った自分を認めてあげることも忘れないでいてください。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます