Await Rescue
激しい銃声が、一帯にこだまする。
音の
引きずられている人物の頭にはズタ袋がかぶせられており、監禁されていた人質のように思われた。
屋外では、さらにもうひとりの特殊部隊員らしき男性が待ち構えていた。しかし、彼の顔には笑みが浮かんでおり、右手にはストップウォッチがあった。
「3分34秒か。まあまあだな、おふたりさん」
仙台市警察 西仙台術科センター
南東北州仙台市/日本国
/平成47年9月22日1300時
「あとタイムを30秒は縮めろ」
外にいた隊員はさらりと言った。
建物から出てきた隊員のうち、やせ型のひとりはガスマスクを外すなり不満そうな顔で、引きずられていた人物の手を縛っているロープを外した。
もうひとりのがっしりとした体型の隊員は、ガスマスクを外し、ケホケホと軽い咳をしながら愚痴る。
「人質役が班長じゃやりにくいですよ」
人質は、頭のズタ袋を外して汗を払うと、カラカラと笑った。
彼らは、仙台市警の特殊部隊「
「その割には手荒な扱いだったぞ?」
「自分は最大限留意したつもりですが」
望月はぶ然とした態度を崩さない。
「ダンスパーティのエスコートのつもりでやるんだよ、エレガントにな。そもそも……」
普段の言動とは似つかわしくない語彙で説教をはじめる風間を見て、重野は再び笑った。そのとき、重野の電話が鳴った。
「はい、ブラボーチーム重野」
「どれ、俺と班長のコンビでお手本を見せてやる。小野寺、望月、どっちが人質やる?」
風間の言葉に、顔を見合わせる望月と小野寺。すると、険しい表情で重野が電話を切った。
「諸君、訓練中止。事件発生だ。出動待機命令が出た。アルファチームが先行している。我々も本部に戻る」
「何の事件なんです?」
風間が訊ねる。
「領事館を狙ったテロ事件だ。相手は武装集団とのことだ」
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