闇夜の誘い

「なるほど、たしかにこれは不気味ぶきみな世界だ。もののいないかげの世界――裏世界うらせかいとでもぶか。

 デュラン、裏世界は現実世界とくらべてやみ属性ぞくせい濃度のうどが高い。気をつけろよ」


「……われんでもかってるってぇの。ナハトの方こそ久々ひさびさ実戦じっせんなまってないか? 無理むりしなくてもいいんだぞ??」


「そんなやわきたかたはしていない! 心配しんぱい無用むようだ!!」


「分かってる、冗談じょうだんだっての。おこるなおこるな、はらるだけだぞ?」


「ハァッ、まったく」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082826309547


 デュランはナハトが久々な実戦で緊張きんちょう気味ぎみだったので緊張をほぐしてやろうと思って少しからかったのだが、逆効果ぎゃくこうかだったようなので軽口かるくちたたきながら探索たんさくに戻った。

 それからしばらくの間は前と同じで収穫しゅうかくがなかったが、アイの探知たんちっかかっても反応はんのうえない存在そんざいがいることに気がついて全員で急行きゅうこうした。

 するとそこにいたのは人族じんぞくで――ナハトと同じ・・・・・・黒髪黒目で宇・・・・・・宙服のような・・・・・・機械も身につ・・・・・・けていなかった・・・・・・・


「お前は何者なにものだ! なんでナハトと同じ色をしている!! こたえろ!!!」


貴様きさま剣神けんじんの生まれ変わりか。俺様の名前は地崩じほうだ。

 お前の天晴てんせいと同じく、付喪神つくもがみになっただけのただのかたなだ」


「……な~るほどね。ナハト、コイツの存在を知ってたか?」


「いや、私も今始めて知った。通りで見つからないわけだ。

 まさか付喪神つくもがみになっていたとは……闇竜あんりゅうファフニールのつめ材料ざいりょうにしたのが原因げんいんかもな」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082826003389


 デュランは相手の正体しょうたいがナハトの相棒あいぼうだと知ると最大限さいだいげん警戒けいかいをしたが、地崩じほうあらそう気はないようで「ジュースでもむか、何もない世界を探索たんさくしてつかれているのだろう? 遠慮えんりょせずにめ。 

 俺様は貴様のことが大嫌だいきらいだが、戦争せんそうする気はない。信用しんようするかは貴様次第しだいだがな――剣神」と言ってきた。


「あっそ、じゃあもらうわ」


「デュラン!!?」


「――ほう」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082929907645


 デュランは地崩じほうの『俺様は貴様のことが大嫌だいきらいだが、戦争せんそうする気はない』という言葉を信用しんようしたわけではないが『今の俺は弱いし、毒物どくぶつだったところでたいして戦力せんりょく低下ていかしないだろ! それでてきかどうか分かるのならもうけもん!!』と考え、すぐにジュースを飲んだ。

 ……勿論もちろん、このあとアリスがボコボコにしました(笑)


「――それで地崩じほうさんがこの世界をつくったの? なんの目的もくてきで??」


「ああ、俺様がこの世界をつくった。目的はそこでたおれているアホがあるじからたくされた恒久こうきゅう的な世界平和というゆめ見守みまもるためにこの世界を創り出した。

 外側そとがわから見ないと分からないこともあるからな。社会のはみ出しものなどを気まぐれでこの世界へまねき、出入りするためのパスポートをわたしたりもした。

 おそらく貴様らはそいつらが結成けっせいした闇夜あんやいざないとかいう組織そしき調しらべにきたのだろう? 必要な数のパスポートはわたすから俺様の邪魔じゃまをするなよ」


「分かった、またね地崩じほうさん――デュラン! いつまでも倒れてないの!! 調査ちょうさ再開さいかいするよ!!!」


まええねェ」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082826622905


 デュラン達は地崩じほうから必要な数のパスポートをもらってからその場をはなれて調査を再開したが、一定いってい距離きょりまで近づくと何らかの方法ほうほうで気がつかれて相手に逃げられてしまう。

 そこで作戦さくさん変更へんこうすることにし、スペースファルコンを裏世界うらせかいへ呼び出した。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081958516234


 そして上空じょうくう一万メートルからしばらく地上を索敵さくてきつづけていると、闇夜あんやいざないの構成員こうせいいんと思われる相手を見つけたのでぐさま急降下きゅうこうかし。スペースファルコンでつぶしてつかまえた。

 同様どうようの方法で三十人ほど構成員を捕まえて尋問じんもんしたが全員ぜんいんくちかたく、情報じょうほう一切いっさいらさなかった。

 なので――


「アリス、次はコイツを洗脳せんのうしてくれ。コイツも口が硬い」


「うん、分かった!! じゃあ今までの自分にバイバイしようね~~」


「――めろォォオオオオオオッッッ!!!!!!!!!」


「……ステラ、なんかあきらかにこっちの方が悪者わるものじゃないか? 罪悪感ざいあくかんがすごいのだが」


「そうですね、でも犯罪者はんざいしゃ人権じんけんはないので別にいいのでは? 人様ひとさま迷惑めいわくをかけることしかできない害虫がいちゅうのようなものですし」


 ――一人一人洗脳して闇夜あんやいざないの情報をうばったが、相当そうとうに大きい組織なようだったのでこれ以上は手にあまると判断はんだんし。デュラン達はここらで手を引くことにした。

 さいわいなことに捕まえ方は確立かくりつできたので全員ぜんいんをスペースファルコンに乗せて現実世界まではこんでからホスピタル王国の騎士団きしだんへ受け渡し、天狐てんこ狼鬼ろうきに別れの挨拶をしてからホスピタル王国を旅立つことにした。

 約束やくそくどお少数精鋭しょうすうせいえい特殊とくしゅ部隊ぶたい医者いしゃけん剣士けんしとして入ることになった空狐くうこは、十年後の決戦けっせんまでデュランが弟子でしとしてそだてることが決定けっていしたので旅へ仲間なかまとして同行どうこうすることになった。


「じゃあね母さん! 土産話みやげばなしをたくさん持って帰るから、それまで元気げんきにしててね!!」


わらわはまだ三十五歳じゃ。年寄としよあつかいするでない」


「三十ぎたらみんなおばあちゃんでしょ? 母さんは若作わかづくりだけどね」


空狐くうこ! デュラン殿どの失礼しつれいなことはするなよ!! お前はわれ獣人族じゅうじんぞく代表だいひょうなのだからな!!!」


「言われなくても分かってるよ、父さんはうるさいな~」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082953553497


 デュラン達はそんな親子の会話をあたたかく見守り、話し終わってからデュランの親友しんゆうの国であるスミス王国を目指めざしてホスピタル王国を旅立つのだった。

 ……世界中の三十代女性に喧嘩けんかってて草。

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