筋肉祭りと恫喝

「そう言えばナハトは今の状態じょうたいれる修行しゅぎょうをしなくていいのか、大分だいぶ感覚かんかくちがうだろ?

 俺みたいに一週間くらい修行で使ってもいいんだぞ、別にいそたびじゃないしな!!」


「……いや、別にいい。私はあくまでも同行者どうこうしゃだからね、デュランがにする必要ひつようはない。地道じみちれることにするよ。

 それに次の夢幻むげん大戦争だいせんそうまで後二年だ。世界せかい最強さいきょう剣士けんしめる大会たいかいなのだから、当然とうぜんデュランは出場しゅつじょうするのだろう? ならばみちしてる時間はないと思うが」


「う~ん、まあそうだけどよ。ナハトが強くなってくれた方が俺的にはうれしいんだよ、何かいい方法はないかな?」


 デュランはナハトのぶんはもっともだと思ったが、自分だけが修行するのももうわけなかったので少しの間考えてから「あ、そうだ! 俺へナハトが百倍ひゃくばいくらいの重力をかければいいじゃないか!! そうすれば二人同時どうじに修行ができて一石いっせき二鳥にちょうだぞ!!!」とさけんだ。


「なるほどその手があったか!! では十倍からいくぞ!!! デュラン、これくらいでつぶれるなよ!!!!」


「俺の筋肉をよく見てみろ! これが十倍程度ていどの重力に負けると思うか!! 筋肉きんにく裏切うらぎらない!!!」


「……参加さんかしたい」


「デュラン頑張がんばれ~♡♡♡」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082795705566


 ナハトと口論こうろんをしながら上着うわぎいだデュランはそれを荷台にだいのアリスへとわたし、荷車にぐるまったまま重力をかけるようナハトに言った。

 そしてつるぎり参加したことで、暑苦あつくるしい筋肉きんにくまつりがはじまりました。


「――クソッ、だったらこれでどうだ!! おのぞみの百倍ひゃくばいだァッ!!!」


「まだまだ行けるな!! 二百倍にひゃくばいでもいいぞ!!!」


「なんだとォッ!! だったら三百倍さんびゃくばいだァァッッッ!!!!」


「アハハッ、やっと修行らしくなってきたァッ!!! 俺はまだまだ行けるぞォォッッッ!!!!」


 そうしてデュランとナハトはおたがいにあおいながら重力の倍率ばいりつをどんどん上げていき、最終的さいしゅうてき両者りょうしゃ限界げんかい倍率である千倍せんばいの重力を維持いじした上で気合きあいを相手へぶつけて妨害ぼうがいしようとしていますね。

 どちらも目やはなからながしながら限界をあっというえていくこのあぶなすぎる修行はホスピタル王国へ到着とうちゃくするまで続きましたが、結果は引き分けでした。


「「――ガアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!!!!!」」


「……楽しい」


 いてうのならばこの修行を最後さいごまでたのしめたつるぎちかなと思いましたが、二人も一応いちおう楽しんでいたのでやっぱり引き分けで。そもそも勝利しょうり条件じょうけんがないため勝者しょうしゃめられませんからね。

 ……脳味噌のうみそまで筋肉きんにくでできてんのかコイツら、バカすぎて草。







「……で、何があったの。正直しょうじきしゃべったら何もしないからうそかないでね?

 あぁ、デュラン達には聞こえないよう結界けっかいってあるからはないよ――よかったねステラ」


「は、はい、正直に言います! なのでもう恋情れんじょううばわないでください!! おねがいします!!!」


「う~ん、それはステラの態度たいど次第しだいかな? 素直すなおに僕のうことをいてくれれば何もしないよ??

 もしも交渉こうしょう決裂けつれつしたら、ナハトくんが洗脳せんのうけちゃうから――ステラのあたま直接ちょくせつぶっこわすけどね」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082798202482


 ステラは目にひかりのないアリスへたいしてかおきつるほどの恐怖きょうふかんじていたが、自業じごう自得じとくだからしょうがないとひらなおり。今までの愚行ぐこうについて誠心せいしん誠意せいいあやまって許してもらった。

 それからナハトへステラがけている恋情れんじょう見透みすかかしていたアリスから「本気なの?」と質問しつもんされたので、ステラはずかしさでほうあかげながらくびたてった。


「……ふ~ん、そうなんだ。じゃあこれからはナハトくんも僕達の家族だね! 結婚式けっこんしきはどこにする!!」


「結婚式はなしでいいかなと思っています、あの人のつまになれるだけでしあわせですから」


「そんなのもったいないよ! せっかくのステラの舞台ぶたいなんだからさ!! なんなら僕がお金を出すよ!!!」


「あははっ、ありがとうございます……」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082799497210


 ステラは先程さきほどまでとはってわって笑顔えがおで話しかけてくるアリスのことが本当ほんとうこわかったが、顔へ出さないよう必死ひっし頑張がんばった。

 そしてもう二度とアリスをてきまわさないとこころめた後、二人でデュラン達の修行を応援おうえんをしながら見守っていましたが。

 ホスピタル王国の近くまで辿たどいてデュラン達の修行がわった時にはもうくらくなっていたので、荷車にぐるまから天幕てんまくを取り出して全員ぜんいん野営やえい準備じゅんびを始めました。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082799956743


 その後デュランとアリスの二人でイチャイチャしながら作った晩飯ばんめしのミネストローネを全員で美味おいしくいただき、おなか一杯いっぱいになったデュランはアリスの手をいて同じ天幕の中へ消えていった。

 それを目にしたナハトとステラも二人で同じ天幕へ話ながらあるし、ねむ必要ひつようのないつるぎは修行の続きをするのでした。

 ……リアじゅう爆発ばくはつしろ。

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