計画通り

「リーベありがとうな! スペースファルコンでアリスとドライブデートしたけど色々と最高だったぜ!!

 ――そんでさ、ちょっと相談なんだけど。このアクセルブースターと同じものをナハト用に作れないか? ナハトも俺と同じ病気だからよ、頼めねぇかな」


「……別に作るのはかまわないが、そのアクセルブースターは完全かんぜんにデュランのデータへ合わせて作ったものだからな。

 ナハトにそのデータを流用りゅうようするのは不可能ふかのう以上いじょう、全く同じものを作るとなると十年ほど時間がかかる。だがそれだと時間がかかりすぎてるだろう。

 なので普段ふだんの魔力の流れをあやつりやすくして天下無双の負担軽減ふたんけいげんするだけの簡易的なものにしようと思うがそれでもいいか? それならば一週間ほどナハトのデータを直接ちょくせつれば可能かのうだが」


「おう! それでいいぞ!!

 そんじゃリーベ、俺とアリスはギガント王国のドラゴン牧場ぼくじょうで今の状態じょうたいれる修行しゅぎょうをしながらごしているから後はよろしく! みんなもまたな!! 一週間後にまた会おうぜ!!!」


「――またね! みんな!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082089313732


 デュランがそう一方的いっぽうてきに言ってからアリスをお姫様ひめさまっこしながら秘密基地ひみつきちを出て行ったので、リーベは思わず頭を押さえながらため息をいた後。

「別に、全員がまるのを許可きょかした覚えは無いのだがね」と愚痴ぐちりつつもステラ達を客室きゃくしつ案内あんないしてから、ナハトをれて部屋を出て行った。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082088064605


 ステラは二人を死んだ魚のような目で見送みおくった後、魔法まほう手元てもとにナイフをつくり出し――それで自分のくびろうとしたが。なんでか死ぬ気にはなれず、ナイフを手元から消した。


「……私何で生きてるんですかね、もう何もかもなくしたのに」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093079392183616


 ステラはアリスの殺意さつい宿やどした目を思い出しながら涙を流した後、もしもあの時。アリスの言うとおり父親であるデュランへの誘惑ゆうわく告白こくはくをもうしないと約束やくそくしておけば、恋心こいごころうばわれることもなかったのだろうかと少しの間考えてみたが。

 すぐに無駄むだ想定そうていだなと、はなわらった。

 例え一時的なものだと分かっていても、例え死ぬとしても、絶対ぜったいにそんなことをしないと思ったし。だからこそアリスは恋情れんじょううばったのだと理解りかいしていたから。


「あ~あ、負けたのか私。みっともなく百年以上も片思かたおもいをしたのに――ほんっ、とうに、みっとも、ない」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082089331180

 

 ステラはなんでか出てしまうなみだぬぐうとベッドへ入って目をじ、そのまま寝てしまった。

 しばらくして色々なデータを取りわって部屋へ戻ってきたナハトは涙の後があるステラの顔を目にし、おどろきながらも何かを決意けついするとその日はベッドへ入って寝た。

 そして次の日。起きたステラへ「その洗脳せんのう、私がいてやろうか」と話しかけるのだった。







「……洗脳? 何のことですか??」


「とぼけても無駄むだだ、その能力のうりょくは元々私がデュランに殺させたアグリという魔王まおうのものだ。

 アイツはクズだからデュランに殺させたが、それはステラが生まれる前だ。

 なのにステラへ洗脳が使われた形跡けいせきがあるということはやったのはアリスだろう? 何があったのかは知らないが。私ならその洗脳をいてやれ――」


「――めてください!!」


 ナハトは洗脳を解く許可きょかをステラにもらおうとしたが、泣きそうな顔でめるようステラが言ってきたため「……なぜ?」と短くそう質問しつもんした。

 するとステラは「間違まちがっていたからです、何もかも」と言った後、懺悔ざんげでもするかのように語り出した。


「――私は子供のころからずっと父親であるデュランのことが大好きで、お父様と結婚するのを目標にずっと頑張ってきました。

 お母様からしたら横恋慕よこれんぼだし、お父様が困っているのは分かっていたけどお父様へ毎日告白するのをめられなかった。

 だけどその行動自体が間違いだったとはお父様への恋情れんじょううしなった今でも私は思えていな・・・・・いんですよ・・・・・、だから私は最初さいしょから間違えていたのだと思います」


「最初から? 何が言いたい」


「まだ分かりませんか? 私がお父様・・・・・に恋をしたこと・・・・・・・・――それ自体じたいが間違いだったと、私は言っているんです」


「……なるほどな、そういうことか」


 ナハトが何かを理解りかいしたかのようにニヤリと笑ったのを目の当たりにし、なんでかステラは自分の心臓しんぞう高鳴たかなっていくのを感じて目を見開いた。

 またかえすつもりかと自己嫌悪じこけんおしながらも、ナハトが何に気がついたのか知りたかったステラは「何を理解したのですか」と短く質問した。


 そしてステラは――


「何、簡単な話だよステラ。君はデュランにこいをしたことを間違いだったと結論けつろんづけたようだがな、君がデュランへこいをしたのはけっして間違いなんかじゃない。

 何故なら私はデュランに恋している君のことをあいしているから――だから、今までの自分を否定ひていするようなことを言わないでくれ。頼む」


 ――ナハト落ちた落とされた


「えっ、それ、え」


「あぁ、そうだ。私はステラのことが大好きだ、愛している、結婚けっこんしてほしいと思っている。

 だが、今のデュランへの恋情のないステラにえらばれても嬉しくもなんともない。

 だからお願いだ、君の洗脳せんのうを私にかせてくれ。そしてその上で――私を選んでほしい」


「は、はひ」


「ありがとう――じゃあ洗脳を解くよ?」


「あ、ま、まって――」


 ステラはあまりに色々な衝撃しょうげきを受けたため、口から出てしまったへんな声をナハトが了承りょうしょうだと勘違かんちがいしたと気がつき。なんとかナハトが洗脳を解くのをめようとしたが、間に合わなかった。

 そうして洗脳を解かれたステラの中にデュランへの恋情が戻ってくる――


「あ、あぅぅ……」


 ――なんてことは当然とうぜんなく。ナハトへの恋情が際限さいげんなくき上がり、色々と限界げんかい突破とっぱしたステラはまわして気絶きぜつした。


 そうしてステラを見事みごとに落としたナハトは悪い顔をしながら倒れてくる体を受け止めた後。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082143698148


 「――計画けいかくどおり」とつぶやいてからステラをベッドまではこび、そのままなにわぬかおで部屋を出た。

 それから表情を元に戻すと今日もデータ取りのため、リーベの研究室けんきゅうしつへ向かうのでした。

 ……お前が黒幕くろまくかよッ!!? 黒幕は前作で卒業そつぎょうしとけや!!!! マジでビビったわ!!!!!

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