夢幻の彼方へ

「久しぶりだねデュラン。会って早々そうそうで悪いんだが、この腕時計うでどけいを少しだけつけてみてくれないかな? 危険きけんものじゃないから安心してくれたまえ!!」


「――説明せつめいなしでつけるわけないだろ!? 全然ぜんぜん安心できないからな!!! えずそれが何か説明しろ!!!!」


「……う~む、そうだな。では少し面倒めんどうだが簡潔かんけつに説明すると、これの名前は『アクセルブースター』という。

 デュランの魔法まほうである天下無双てんかむそうを使っていられる限界時間げんかいじかん五分ごふんから十分じゅっぷんばすことができる腕時計型うでどけいがたデバイスだ。

 百年前にアリスから依頼いらいされて作った――さあ、説明したからつけろ!!」


簡潔かんけつすぎるだろ!! 一から十まで全部説明しろ!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081901232587


 デュランはアクセルブースターという腕時計型のデバイスを無理矢理むりやり取り付けようとするリーベの手を押さえつけながらそうあらそっていたが、アリスから「僕がお願いした物だから危険きけんはないと思うよデュラン、ためしにけてみてよ」と言われてしまった。

 アリスにそう言われた以上はもう抵抗ていこうできないとさとり、覚悟かくごめて左腕ひだりうでけたが特に何もなく。むしろ光属性の魔力を取り込むのがらくになったためおどろいた。


「な、なんだこれ!? 魔力の流れがなめらかすぎて気持きもわる!!? なんなんだこの機械きかいは!!!!」


「ハハハッ、どうかな私の最高傑作さいこうけっさくは!! そのデバイスの中にはデュランのありとあらゆるデータが入っている!!! つまり!!!! デュランを徹底的てっていてきにサポートするための装置そうちというわけだ!!!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081777222509


 リーベはそうさけびながらドヤ顔をしていたが、なんかムカついたのでデュランは全力ぜんりょくたおした。


「やかましいわこの変態へんたいがッ! 俺が生まれ変わったことを知っていやがったな!! これは前世の俺のデータだけじゃ作れねぇだろ!!! どうやって見てやがった!!!!」


「このテレビは世界中のありとあらゆる場所をうつせるすぐれものでね、これでデュランが赤ん坊の頃から観察かんさつしてた。そう言えば女物おんなもののワン――」


「――リィイべェエエエエエエエエエエエッッッッ!!!!!!!」


 デュランがアリスに絶対ぜったい知られたくない秘密ひみつをリーベが暴露ばくろしようとしたので思いっきり天晴てんせいで斬りつけたのだが――その攻撃こうげきリーベの体をすり抜けた・・・・・・・・・・・


つるぎとなりててきつ――天下無双てんかむそうッ!!」


「――な、何故?」


 デュランは前に能力のうりょく魔王まおうたたかったことがあったので天下無双を短縮詠唱たんしゅくえいしょうで使った後、同じ能力だろうと当りをつけて別の位相いそう移動いどうしていたリーベをつかまえると。

 そのまま外に連れ出してからたっぷりとオハナシを・・・・・したら・・・キチンと理解してくれたのでリーベを解放かいほうしたが、その時にはもう短縮詠唱の天下無双を使ってから三十秒が・・・・経過けいかしていたので。デュランは目を見開いた。


デュラン様・・・・・、天下無双の短縮詠唱をしてからもう四十秒です・・・・・・・

 アクセルブースターの補助ほじょがあっても限界げんかいえてしまう可能性があります、天下無双の解除かいじょ推奨すいしょうします』


「えっ――ハァッ!?? なんだお前!!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082004682633


 リーベの言っていた通りとんでもない発明はつめいだと思っていたデュランは、アクセルブースターから投影とうえいされた少女から天下無双を解除するよう言われ。おどろきながらも言われたとおりに解除した。

 そのままなぞの人物の登場にどうしようか悩んでいたデュランだったが、アリスが「アイちゃん、お久しぶり~~元気にしてた?」と話しかけたので。いそいで確認かくにんを取ってみると「汎用はんようサポートAIのアイちゃんだよ、仲良くしてあげてね!!」とげられた。


「……分かった」


 デュランがアリスからのお願いを聞かないわけないので、全てを飲み込んでそうみじか返事へんじをした後。アイにアクセルブースターは何ができるのか質問しつもんしてみた。


『では、説明します。このアクセルブースターはデュラン様のサポートと天下無双の負担軽減ふたんけいげんのためリーベ博士はかせ開発かいはつしたものです。

 普段ふだんの魔力の流れをあやつりやすくしたり、天下無双の限界時間げんかいじかんを短縮詠唱なら十秒じゅうびょうから一分いっぷんに。完全詠唱なら五分ごふんから十分じゅっぷんまで伸ばすことができますし、その反動はんどう十分じゅうぶんいちほどにできます。

 後はスペースファルコン、スペースドラゴン、(仮称かしょう空中戦艦くうちゅうせんかんの三つのメカを管制かんせいする機能きのうもあります。

 それから何らかの緊急事態きんきゅうじたいで詠唱が使えない場合ばあいでもアクセルブースター側面そくめんのボタンを押せば三十秒間だけ詠唱なしで天下無双を使うことができます。エネルギー量の関係上、一日一回だけですが。

 ――何か質問はありますか?』


「まてまて! 一気にしゃべるな!! 三つのメカ以外は大体だいたい理解りかいしたけど、普通ふつうの人はそのマシンガントークについてこれねぇからな!!! もう少し小分こわけにしたほうがいいぞ!!!!」


『AIの私にも気をつかってくれるデュラン様、好き♡♡♡』


「うん? ――リーベ、テメェ!! アイが俺に対して愛情あいじょうつようプログラムしやがったな!!! こんなん人格破壊じんかくはかいだろ!!!! 今すぐ元に戻せ!!!!!」


 デュランはアイの話があまりにも長かったので注意ちゅういしたのだが、なんでかアイが初対面しょたいめんの自分のことを好きだと言ったのでプログラムがいじられていると判断はんだんしてそうさけんだが。リーベは首をりながら「そんなことはしていない」とそのうたがいを退しりぞけた。

 そして多少は好意こういを持つようにプログラムをんだが、あくまでもデュランのことをリーベと一緒に観察かんさつする内に恋心こいごころ芽生めばえたらしいと伝えた後。「いい意味で想定外そうていがいだ、興味深きょうみぶかい」と喋りながら研究けんきゅうに戻ってしまった


「……まあ、そういうことなら別にいいか。これからよろしくな! アイ!!」


『よろしくお願いします、デュラン様♡♡♡』


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082004703385


 デュランはそうしてアイのことを受け入れると、アクセルブースターをでてからアリスの方を向いた。

 ……そしてアイは絶頂ぜっちょうした。


「それじゃあアリス、三つのメカがどんなもんか。外で見ようぜ!!!」


「そうだねデュラン!! 僕もはじめて見るからとても楽しみだよ!!!」


「……子供か」


微笑ほほえましいじゃないですか、ナハト様・・・・


「……メカ??」


 デュランはアリス達と共に秘密基地の外まで出ると早速三つのメカを全部呼び出した。

 そしててんからりた二つのメカに――全員が度肝どぎもかれた。







「キュァァァァッッッッ!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081958516234


 天をいてあらわれた片割かたわれであるスペースファルコンは空中で少しの間ホバリングしてから着地ちゃくちすると、デュラン達の前でうやうやしく頭を下げた。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081959884597


 もう片割れであるスペースドラゴンは特に挨拶あいさつなどをすることなく、その場へ座り込んだ。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081960616600


 最後にリーベの秘密基地の中から出て来た超巨大戦艦ちょうきょだいせんかんは空中で今の状態じょうたいのまま待機たいき選択せんたくした。


『スペースファルコン! バイクモード!!』


 デュラン達がポカンと口を開けておどろいているとアイがそう声を上げた。

 するとスペースファルコンが巨大きょだいな体を圧縮あっしゅくしながら変形へんけいし、変形が終わると車体しゃたい側面そくめんをデュランに向けてきた。


「……乗れってことか、分かった」


「デュランデュラン! 僕も僕も!!」


「あぁ、一緒に乗ろう」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081958721403


 すぐにその意図いとったデュランはハンドルをにぎった。

 しかしバイクと車の免許めんきょは少し前にウィンクルム連合王国れんごうおうこくで取ったが、目の前の未知みちものあやつれるか不安ふあんだったのでアイへいてみると。運転うんてん原付げんつきよりも簡単かんたんだったので、拍子抜ひょうしぬけしながら最高速度さいこうそくどまで一気いっき加速かそくした。


「アハハハッ、すごいすごい!! 景色けしきがすごいはやさでながれてく!!!」


「アリス! 空も飛べるみたいだぜ!! いくか!!!」


「そうだね行こう! 夢幻むげん彼方かなたに!! そしてそのさらに先へ!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082012402044


 デュランとアリスがそう会話した後、バイクはそのいきおいのままそらうえへ飛び出し。夜になるまで二人は大空の中、ドライブデートを楽しんだのでした。

 ……色々いろいろくて草。

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