秘密基地

 ギガント王国の王都おうとアトラスレグノム。

 巨人族きょじんぞく創造そうぞうした巨神きょしんオーディンが最初さいしょに生み出した巨人アトラスから取られた名前が特徴的とくちょうてきなこの都市としは、巨人族がんでいるだけあってありとあらゆるもののスケールが大きい。

 ジャイアントフォレストほどではないが果物くだものの木なども大きいし、家畜かちくとしてわれているドラゴンのれも間近まぢかで見られるので巨人族以外の種族しゅぞくから大人気だいにんき観光地かんこうちである。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081329814245


 ウィンクルム連合王国れんごうおうこくを出発してから二日後。

 デュラン達は巨人族の王フリーダムに結婚式けっこんしき招待状しょうたいじょうわたして巨人族へ協力きょうりょくをお願いするため、王のいるしろを目指してアトラスレグノムの町中を歩いていたが。

 都市が広いため時間がかかり、城へいたのは昼過ひるすぎになってからだった。


「なるほどな、それで俺達巨人族に協力を要請ようせいしたいっつうわけか……一つだけ条件じょうけんんでくれるのなら協力してもいいぞ」


「条件ってのはどんなのだ、フリーダム」


「――ちょっとデュラン!! 初対面の相手にその言葉使いはダメだよ!!!」


「ガハハッ、別に構わねぇよ! 俺も剣神けんじんのファンだからな!! 後で色紙にサインしてくれ!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081331160534


 フリーダムへの言葉使いがあまりにもひどすぎたのでデュランはアリスから注意されたが、フリーダムは気にしてないと言ってからサインをお願いしてきたので。デュランは「いいぞ」と返事へんじをしてからサインを書いた。

 それから条件へついてきいてみるとフリーダムの息子であるバーンと闘って勝てばいいと言われたので、アリスに夢の世界へ連れて行ってもらってから戦闘を開始することにした。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093080366531736


「初めまして剣神様、俺の名前はバーン。まだまだ若輩者じゃくはいものだが、この国だと父親である王の次に強い剣士だ。

 そっちの方が若いがむねりるつもりでいどませてもらう! よろしく頼む!!」


「……多分、今の弱体化じゃくたいかした俺よりもバーンの方が強いだろ。謙遜けんそんぎると嫌みになるぞ? まあ、別に気にしないが。

 それに殺し合いは強い方がつほど単純たんじゅんなものじゃないからな、そっちがそういうのならこっちも遠慮えんりょなく行かせてもらう――全力で殺し合おうぜ!!」


「はい! よろしくお願いします!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081331365793


 バーンはそう言ってから凶暴きょうぼうな笑みをうかべながら高速でデュラン目がけて突撃とつげきし、手にした巨大な刀を振り下ろした。

 バーンからしたらデュランの体の大きさは虫のように小さいにも関わらず、その体を両断りょうだんする軌跡きせきえがいてせまる刃。デュランは横へ一歩分だけ移動することでさけけた。


「――嵐流刃らんりゅうじんッ!!」


「ムッ、吹き飛ばされたか」


 そのままカウンター気味ぎみ天晴てんせいから巨大な魔力の刃をばし、バーンにぶつけて吹き飛ばしてからデュランは天下無双てんかむそう詠唱えいしょうを開始した。


「――勝利しょうりだけをねがうならつるぎきばと変わりなし、つらぬがたじんみちまもくものひとという」


「なるほど天下無双の詠唱時間をかせぐために吹き飛ばしたのか、だったらこちらも魔法を使わせてもらうことにしよう!! いくぞ!!!」


 デュランは詠唱の時間をかせぐため百体のうつを創り出して特攻とっこうさせたが、バーンは即座そくざ全滅ぜんめつさせてからデュランの狙いを見破みやぶった後。

 バーンもほのおまとう魔法を使うため、詠唱を開始した。


無辜むこたみがため、つるぎとなりててきつ 」


ほのおとなりててきつ――気炎きえん万丈ばんじょうッ!!」


「――ッ!!?」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081374303838


 短縮詠唱たんしゅくえいしょうでデュランよりも早く魔法を使ったバーンがまとったほのおの温度は地面がマグマになるほど高熱こうねつであり、生半可なまはんか攻撃こうげきかして無力化むりょくかし。そのねつによって限界以上げんかいいじょうまで強化きょうかされた身体能力しんたいのうりょくでの攻撃力こうげきりょく必殺級ひっさつきゅう

 そんな攻防一体こうぼういったいの魔法――気炎きえん万丈ばんじょうを使ったバーンの圧力あつりょくひやあせを流しながらデュランはワクワクしていた。

 そして放たれた斬撃ざんげきあめ回避かいひしきるのは不可能ふかのうであるとさとり、回避できなかった最後さいご一撃いちげき天晴てんせいさやを目の前にかかげることで結界けっかいってふせった。


「ただ一筋ひとすじ閃光せんこうを、おそれぬのならるがいい――天下無双てんかむそうッ!!」


「――速いッ!??」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093080366495083


 デュランは結界がこわれる前に超速ちょうそくで結界からけだすと、巨大な山を創り出してからサッカーボールのようにバーン目がけてった。

 しかしそれでも傷一つきずひとつつかないバーンの姿にらちかないと正面しょうめんからむ決意をしたデュランは超高熱ちょうこうねつから身を守るため、超重力ちょうじゅうりょくよろいまとってからバーン目がけて突っ込み――またたにバーンの体中からだじゅういた。


刹那せつな一条いちじょう――十連じゅうれん


「――グアァッッッ!!!! なんの、これしきィッ!!!!」


 デュランは超高速ちょうこうそく十連じゅうれんりを最小限さいしょうげんのダメージでふせったバーンの姿に目を輝かせた。


「……やっぱりお前は強いなバーン!! こっからはこっちもしみなしで行くぜ!!! 鳳凰剣ほうおうけんッッッ!!!!」


「――えっ、ちょっ、ま」


刹那せつな一条いちじょう――百連ひゃくれんッ!!!!」


 超高速ちょうこうそく十連じゅうれんりを最小限さいしょうげんのダメージで防ぎ切ったバーンだったが、その姿を目にしてテンションが天元突破てんげんとっぱしたデュランが鳳凰剣を使い。

 更に速くなったデュランの『刹那せつな一条いちじょう――百連ひゃくれん』を防ぎ切ることはできず、バーンはデュランに敗北はいぼくした。

 ……容赦ようしゃなくて草。







「ガハハッ、バーン! 派手はでにやられたな!! 相手が剣神様だからしかたねぇがな!!!」


「そうですね! 昔見た映像通えいぞうどおりの強さでした!!」


「いやいや!? あんなとんでもない魔法を使っといてバーンさんは何をいってるのかな!!? デュランが鳳凰剣を使わなかったら天下無双の時間切れでデュランの負けだったよ!!!!」


「……さけんでるから多分聞こえてないぞ、アリス」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081376807560


 アリスはまるであっさりとデュランが勝ったかのような態度たいどの二人に思わずツッコミをいれたが、二人はもう出来上できあがっているので聞いてなかった。

 もう色々と面倒めんどうくさくなったデュラン達はぱらい共を放っておくことにし、バカでかいとびらから部屋を出た。

 それから町中でリーベについて聞き回ってみるとヘルトからの情報通り、やはり山の中で巨大な空中戦艦くうちゅうせんかんを創っているようだったので。デュラン達はリーベの秘密ひみつ基地きちおとずれることにした。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081377314156


 そうして足を踏み入れたリーベの秘密基地はアトラスレグノムの町並みの広さを持っていたため、デュランは少しあきれていたが。

 アリスが目をかがやかせながら空中戦艦の写真しゃしんっているのを目にして考えをあらため、こういうのがアリスは好きなのだと知ったので。デュランは今度戦艦の模型もけいをプレゼントすることを強く決意するのでした。

 ……リアじゅう爆発ばくはつしろ。

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