放送と旅立ち

「――初めまして、いやお久しぶりですが・・・・・・・・正しいのか? まあいいか、俺の名前はデュラン・クラインハルト。デュラン・ライオットの生まれ変わりだ・・・・・・・

 今日は伝えたいことが二つほどあってテレビきょくにお邪魔じゃまさせてもらっている、少し俺の話を聞いてほしい」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081142423563


 つるぎとのころいから三日後。

 デュランはウィンクルム連合王国れんごうおうこく上層部じょうそうぶやヘルト達との会議かいぎの結果、デュランの存在を公表こうひょうした上で各国かっこく協力きょうりょくつのるべきだという結論けつろんが出たのでデュランは嫌々いやいやながらも朝のニュース番組ばんぐみ出演しゅつえんしていた。

 そのため世界各地のおちゃの3Dホログラム投影とうえい装置そうちやテレビにはかみの色が黄色きいろなのにも関わらず、宇宙服うちゅうふくのような機械きかいけていない少年が・・・うつったかと思えば。剣神けんじんデュラン・ライオットの生まれ変わりを名乗なのり、世界中の人々は本当なのかと混乱こんらんしていたが。

 話があると少年が言ったので、固唾かたずんで次の言葉を待った。


「一つは前世の俺のつまであるアリス・リーフグリーンともう一度結婚けっこんするってこと! もう一つは世界中の人々を招待しょうたいする盛大せいだい結婚式けっこんしきおこなうってことだ!!

 まあ流石さすがに本当に全人類を1カ所に集めることなんて不可能ふかのうだから各国である程度人数はまとめてもらうことになると思うが、抽選ちゅうせんに外れた人も楽しめるように結婚式当日とうじつは24時間分テレビの放送時間をもうすでに買ってあるから安心してほしい」


 デュランはそう言った後、結婚式の招待状を手に持ってから続きを話した。


「全ての国へ招待状しょうたいじょうを二年かけてくばった後で四年の準備期間じゅんびきかんて俺が11さいになってから結婚式を開催かいさいする。ちなみに10歳のタイミングで結婚式をしないのは俺が夢幻むげん大戦争だいせんそうに参加したいから以外の理由はない。

 それじゃあ言いたいことはこれで全部だ! 六年後にまた会おう!! じゃあな!!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081147475094


 生放送だったのでのデュランも少し緊張きんちょうしていたが、それをおくびにも出さないで撮影さつえいわらせた後。

 本当ほんとう五歳児ごさいじのようにアリスへあまえてめいいっぱいあまやかされてからヘルト達と作戦会議さくせんかいぎ開始かいしした。

 ……デュランこのアホ、前の会議の時に猫耳ねこみみ尻尾しっぽを見られたからってれすぎだろ。しんのすけか、お前は。


「……というわけで俺とアリスの結婚式の招待状をわたすのを口実こうじつ各国かっこく協力きょうりょくつのるのはもう決まってるけどさ。

 俺はそれと並行へいこうして世界各地で強いやつをさそって少数精鋭しょうすうせいえい特殊部隊とくしゅぶたい編成へんせいしようと思ってる。

 何せ相手は神だからな、まず間違まちがいなく俺達は不意ふいたれて後手ごてまわる――その時即座そくざに動ける戦力が必要だ」


「分かりました父上、表向きの設立理由せつりつりゆう緊急時きんきゅうじ災害救助さいがいきゅうじょとして予算よさんをいくらか取っておきますね。

 ――それはそうと本当にいいのですか、結婚式の費用ひようを父上が母上に残した遺産いさん全額ぜんがくはらってしまって。少しは国から出すこともできますし、他の国もお二人の結婚式の費用ならばよろこんで出資しゅっしするとおもいますよ?」


「いいんだよ、かね天下てんかまわものだからな。死蔵しぞうしとくのはもったいねぇだろ?

 それにあれは前世の俺の物だからな、金がいるのならまた一から自分でかせぐさ」


 デュランがそう言うとヘルトからおどろきのあまり目を丸くしていたが、アリスは目をほそめながら「……デュランらしいね」とだけつぶやいてからデュランをきしめた。

 デュランは気恥きはずかしさからほおあくげていたが、何度か咳払せきばらいをしてから作戦会議に戻った。


「招待状を届けるメンバーは俺とアリスにつるぎ、それからステラとナハトの五人で行こうと思う。

 あまり人数を多くしてもしょうがないからな、反対意見はんたいいけんはあるか?」


「父上! 護衛ごえいが少なすぎます!! もう一度考え直してください!!!」


「……ヘルト、ぶっちゃけアリスとステラは俺の弟子だからそこらの護衛よりもよっぽど強いぞ? つるぎなんか前世の俺の倍くらい強いしな。護衛は足りてるだろ、どう考えても」


 デュランがそう言うとヘルトは「父上は世界を一度救った救世主きゅうせいしゅなんですよ!! 自分の命を軽く考えすぎです!!!」と反論はんろんしたが、一度死んでるからノーカンと言って話を打ち切られた。

 デュランはそれからしばらくヘルトに色々と言われたが無視むしして会議を進め、ある程度話がまとまってくると「後のことはヘルトへ全部まかした!!」とさけびながらアリスと会議室かいぎしつを飛び出し。アリスと二人でデートをしに行くのでした。

 ……ひでぇ。





 


「――父上!! 色々な方々に迷惑がかかるのでさっきのようなことはめてください!!!」


「アハハッ、悪い悪い! だけど俺は前世のことを覚えてるだけの五歳児だぞ、そう考えたらあれくらいよくね? と思うんだが」


「……それをいわれると弱いですね、もう今回のことはいいので。次からは気をつけてください」


「分かった!! 次からは気をつける!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081283681546


 ウィンクルム連合王国の様々な観光名所をアリスと二人で堪能たんのうした後、会議室に戻ってくきたデュランは会議をけ出したことをヘルトから怒られたのでまだ子供であると主張しゅちょうし。それ以上怒られるのを回避した。

 ……いい笑顔で返事してるがまたやるなコイツ。五歳児だけど、この狡賢ずるがしこさは大人級だわ。


「ヘルト。俺はスミス王国へ行ってルイスとノアの墓参はかまいりをしてからあいつらのまごを特殊部隊にさそおうと思ってるんだが。どこに住んでいるか分かるか?

 後はリーベとクラインの居場所いばしょも教えてくれ。」


「そうですね、スミス王国のこの住所じゅうしょたずねれば二人と会えると思います。この写真の少女の名前がルイズ、少年の名前がメディスンです。

 リーベさんは巨人族きょじんぞくの国であるギガント王国の山の中にある巨大な秘密基地の中で空中戦艦くうちゅうせんかん? というのを創っています、クラウンさんはフォレスト王国で王様をしているので招待状をわたす時に会えると思います」


「分かった! ありがとうなヘルト!!

 ……取りあえず、この国から一番近いギガント王国へ行ってリーベに協力をお願いするか。あいつは変態へんたいだが、科学者かがくしゃしては一流だからな」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081283804264


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093081283950228


 デュランは渡された二枚の写真に目を通した後、聞いたリーベとクラウンの居場所からリーベの方が近かったので少し嫌そうな顔をしていたが。気を取り直して一番最初の目的地をギガント王国に決めた。



「――失礼します」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093076362871900


 そうしているとステラがとびらを三回ノックして許可をてから会議室に入ってきた。告白こくはくしてくるかとデュランは少し身構みがまえていたが、今日も・・・告白してこなかった。

 丸三日間も告白してこないし、もう父親である己に対する未練みれんち切ったのだろうと納得したデュランは紅茶を受け取ってんでから「もう寝る」と言って会議室を出た。


 そして一晩ひとばんち。

 博物館はくぶつかんから前世の頃使っていた荷車にぐるまを回収してから荷物にもつ荷台にだいんだデュランは、見送りに来てくれたヘルトへ片手を上げて挨拶あいさつした後。ニヤリと笑った。


「それじゃあ行ってくる。色々と根回ねまわしとか、結婚式の準備とかをよろしくたのんだぜ、ヘルト」


「……父上、私は納得なっとくしてませんからね。もし死んだら冥界めいかいんでからもう一度私が殺しますからね・・・・・・・・・――覚悟しておいてください」


こわいねえ……怖いから、俺もう行くわ。またな」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16817330664561454035


 デュランはそう言ってからアリス達が乗っている荷車のつかみ、ヘルトへ向けて片手をヒラヒラとってからウィンクルム連合王国を旅立たびだつのでした。

 ……またデュラン達と旅に出れてよかったな、荷車。

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