横恋慕と命名

 注※今回のお話ではステラがアリスの手で実質的に死亡します、なので読む前に覚悟してから読んでください。

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 泣き疲れたヴィンデが眠ってしまった後、デュランはヴィンデを客間のベッドへ寝かせてきてから再度話し合いを再開した。


「……さてと、じゃあアリスにステラ・・・。さっきのヴィンデの話を聞いた上で考えをまとめたんだが。

 そのカオスってやつが現状どこで何をするのか分からない以上、世界中の国々へこの情報を秘密裏ひみつりに伝えるべきだと俺は考えてる。

 アリス達はどう思う? 二人の意見を聞かせてくれ!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093079294651068


 ……さっきは空気を読んで突っ込まなかったけど、未だにピンク色のメイド服と猫耳はそのままなの草。ステラはさっきまでだまってて空気だったし(笑)


「僕はデュランの意見に賛成さんせいだよ! 相手は神様だから最悪の最悪くらいを想定した方がいいと思うしね!!

 ……ただそのままバカ正直に情報を伝えようとしてもねじ曲げられるだけだと思うから話す相手は国の上層部の人達と国を守る騎士団長きしだんちょう剣帝けんていの人達に限定するべきだと思う。

 僕達へ情報を話す許可をお母様に与えたと言うことはそういう行動に出るのはカオスさん? も分っているはずだから」


「私はウィンクルム連合王国れんごうおうこくの上層部やヘルト達に一番最初に相談してどうするか方針を決めるのがいいと思います、今回の話は国単位で対処しなければいけない事柄ことがらですから」


「……そうだな。正直祭り上げられる気しかしないから気は進まないんだが、ウィンクルム連合王国の上層部には俺がデュラン・ライオットの生まれ変わりであることを伝えた上でコンタクトを取ろう。

 剣帝であるレウスと現国王のヘルトの言葉もあれば信じてもらえるはずだからな。

 ……本当に気は全然進まねぇがな、ハァッ」


 本当に嫌そうな顔をしながら部屋を出て行ったデュランの姿を苦笑しながら見送った後、アリスはそう言えば今日のステラはいつもみたいにデュランへの告白をしていなかったことを思いだし。

 いつもはいやがらせかのようにこちらの迷惑めいわくを考えずにどこでも告白してるけど、何故今日はデュランへ告白しなかったの? と興味本位きょうみほんいでアリスが聞いてみると「さすがにあの状況で告白するほどはじらずじゃないです、私は」という驚きの答えが返ってきたため。思わずアリスはステラを殴り倒してしまった。


 アリスは内心しまったと思ったが、自身の夫のストーカーである目の前のステラウジ虫を潰すいい機会だと考え直した後。

 春風しゅんぷう――百年前にデュランからプレゼントされた棒状ぼうじょうの武器――を倒れたステラの首に叩きつけた。

 ……こ、こわい。


「……じゃあさ、僕の夫への誘惑ゆうわく告白こくはくをしないでよ。

 いつもウジ虫ステラをデュランに内緒ないしょで殺そうかなやむくらい、僕はそれがいやなんだ。

 けど僕達が争ったらデュランが悲しむから、必死ひっし我慢がまんしてるんだ。

 だからさ、あんまり好き勝手するんだったら――本当に殺しちゃうよ??」


「――ッ!!?」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093079392183616


 ステラはアリスの無表情と目の前に巨大なかまを持った死神しにがみの姿で可視化かしかされた強烈きょうれつ殺気さっきを感じ取り、おどしではないとさとってあせを流しながらもニヤリと笑みを浮べた。

 その表情が気に入らなかったアリスはもう一度ステラの首へ春風を叩きつけた後、ステラの両手両足をへし折った。


「ッ~~~~~~~!!!!!!?」


「声が出ないことが不思議そうだね? デュランがこないようにお前の声をうばっているに決まってるでしょ、バーカ。

 目は口ほどに物を言うからね、お前のわずらわしい声なんか――最初から聞く気はないんだよ。

 お前が今しなくちゃいけないのはみじめったらしく頭を僕に下げて反省することだけなんだ。分ったらまばたきを三回連続でしてくれ」


 そこまで言われてもステラは瞬きをすることはなく顔をそむけたので、アリスは春風でステラの手足の指を一本ずつつぶしていったが。ステラが態度たいどを改めることは無かった。

 その様子を目にしてこれは何をしても無駄むだだと理解したアリスはステラの頭をつかみ、かつて自分が魔物まものの進化した個体である魔王からやられそうになった洗脳せんのうをステラへと使うことを決めた。


「ステラ、今から洗脳をしてあなたの頭の中からデュランへの恋情れんじょうの大半を削除さくじょさせてもらうね。

 一応言っておくけどそれ以外は何もしないから安心していいよ? まあ――ステラウジ虫にとっては死ぬよりもつらいんでしょうけど、いい気味きみだわ」


「――ッ!!!!!!!!!!?」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093080121501495


 アリスがそういうとステラは物狂ものぐるいで暴れ出したが、体と魂をいつの間にかくさりしばられていたため。一ミリすら体を動かせずにアリスの洗脳が発動はつどうした。


「バイバイ、デュランに恋して・・・・・・・・いたステラ・・・・・

 次のあなたとはきっと仲良く出来ると思うわ――私とデュランの子供ですもの」


 アリスは死んだように目を閉じたまま動かないステラの頭をやさしくでてから全ての怪我けがを治した後、何食わぬ顔で部屋を出て行った。

 実質的じっしつてきに自分の実の娘を殺したような物なのにも関わらず、部屋を出るアリスの顔は笑顔で足取りも軽かった。

 ……アリスもデュランのバカに脳みそを焼かれてるからなぁ、しかたない結末だよね。うん、これ以上はノーコメントで。







 部屋を出た後、デュランは廊下ろうかの鏡を目にしたことでまだピンク色のメイド服と猫耳ねこみみ尻尾しっぽがそのままだったことに気がついたが。

 今さら部屋へ戻るのも面倒くさかったので服だけいつもの物に変えて猫耳に関してはあきらめ、尻尾は服の中に隠してからレウスの部屋へと向かった。


「――というわけでなるべく早くウィンクルム連合王国れんごうおうこくの上層部やヘルトと会談かいだんしたい。悪いけどレウス、たのんだ。

 後、国の上層部には俺がデュラン・ライオットの生まれ変わりであることを明かして話の信憑性しんぴょうせいを上げといてくれ、突拍子とっぴょうしもな話だからな」


「分かった!! すぐに行ってくる!!!

 けど……それはそれとしてデュラン、その猫耳はどうしたんだい??」


「……アリスからのおしおきでやされただけだよ、いいから早く行けよ」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093079468280984


 聞かれたくなかったことを聞かれたデュランはそう言うとアリスにこののろいをいてもらうため、部屋のある方向へと歩き出した。

 そして何故か機嫌きげんがいいアリスと廊下の途中で出会い、呪いを解いてもらってからデュランの修行相手として用意されたという泥人形スワンプマンが待っている外へと向かった。


「……へぇ、聞いてはいたけど顔とかも全く一緒なんだな。少し変な感じだ」


「そうですか、ワタシにはそういった感情はないのでよく分かりませんが顔を変えたほうがいいですか? すぐに出来ますよ??」


「別にそこまでしなくていい、それよりお前の名前を聞かせてくれないか? そうじゃないとなんて呼べばいいか分からないからな」


「……名前、ですか」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818023211720731745


 デュランが名前を教えてくれというとスワンプマンが首をかしげたため、どうしたのか聞いてみると名前がないというおどろきの答えが返ってきた。

 デュランは思わず頭を抱えながら親玉のカオスからはなんて呼ばれていたか聞いても剣神けんじんとしか言われたことがないと返され、もう色々と面倒めんどうくさくなったのでスワンプマンに「お前の名前はつるぎで決定な、異論いろんは認めない」と言って話を打ち切った。

 幸い名前を気に入ったようだったのでスワンプマンの名前はつるぎとなり、後々レウス達がつるぎを家族扱いしたので彼の名前はつるぎ・クラインハルトとなった。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093077360712807


 その後は修行相手であるつるぎの強さが気になり、クラインハルトていの庭で木刀を使った模擬戦もぎせんつるぎとしたがデュランは何一つとして反応できずに敗北はいぼくした。

 つるぎが予想以上よりも強くて大喜おおよろびのデュランは本気でつるぎと闘うため、死んでもすぐに生き返る夢の世界へアリスに連れて行ってもらってから戦闘を開始するのでした。


「そんじゃあ、つるぎ先生・・!! 全力で殺し合おうぜッ!!」


「……分りました」


 ……殺し合いは全力でするものじゃねぇだろ、常識的に考えて。やっぱり戦闘狂バカの考えは理解できねぇなッ!

 ※よいこはマネしないでね。

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 少し前まで参加していた自主企画【気に入ったキャラクターのAIイラストを作りたいと思います。】の主催者しゅさいしゃであるゆきさんからイラストをいただいたので下にっておきます。とても素敵すてきイラストですので是非ぜひ見ていってください。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093082081835431


 幸さん、本当にありがとうございました!

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