一条刹那

『――地球この星は我々星の箱船スターアークの新たな母星に選ばれました。原住民げんじゅうみんの皆様方にはやすらかな死をお送りしますのでご安心ください。

 ……あぁ、それと一応言っておきますが。人類には万に一つも勝ち目はないので闘うのはオススメしません。

 個人的には大切な人と最期の一時ひとときを過ごすべきだと思いますよ? それではよい終末しゅうまつを!!』


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093079322597848


 一条いちじょう刹那せつな

 後にはい世界ゲーム盤へとまねくことになる彼を・・その平行世界で見つけたのはただの偶然ぐうぜんだった。

 我が輩の創り出した世界ゲーム盤で暮らす人類キャラクターのアイディアをるためにのぞいていた様々な世界、その一つの世界の住人でしかなかった彼はとてつもなく強い――英雄えいゆうだった。


 人類の可能性を信仰している・・・・・・我が輩をして不可能とだんじるしかないスターアークを破壊はかいするという偉業いぎょう

 主要しゅような国家の軍隊ぐんたいや戦闘兵器を単独たんどく蹂躙じゅうりんしたスターアークを相手に、魔法も進んだ科学の力もない世界のただの人間でしかなかった彼はしとけたのだ! たった五人の仲間・・・・・・・・と共に・・・!!

 結果的に世界を救った救世主ヒーローとなった彼だが、高尚こうしょうな理由で闘ったわけではない。

 全ては光咲みさきという名の妻と子供の未来をなんとか守ってやりたい、彼が死ぬ寸前すんぜんまで闘ったのはそんな平凡へいぼんな理由だった。

 そんな彼が左手を失いながらも最後のてきを倒し、スターアークの中枢ちゅうすうを破壊し終わって倒れした時――我が輩はもう我慢がまんできなかった。


 ──我が輩の世界ゲーム盤へと招くのはあくまでもその人物のコピーに限る──


 人類のかがやきを薄汚うすぎたない我が輩の手で汚さないため立てたちかい、絶対にやぶってはいけない不文律ふぶんりつ

 だが、我が輩は彼の終わりを受け入れられなかった。

 一条刹那のほこり高く、美しい人生という名の物語の終わりへどろる行為と分かっていても彼――一条刹那に生きていて欲しかった。

 だからこそ怪我けが治療ちりょうした後、彼をすぐに元の世界へ送り届けようとした。

 けど家族の無事とスターアークの終焉しゅうえんを我が輩から聞いた彼は、それだけ知れれば十分だとただ笑うのだ。

 そして死んでいたはずの人間だからと家族との再会を断った彼の姿を目にし、我が輩はこの世界ゲーム盤の全てを彼に渡す決意をした。


 ゆえに今日も我が輩はこの世界を支配し続けるのだ、悪神あくしんとして――彼に倒される日を夢見て。







「つまり――俺がかつてこの世界を救った剣神けんじん一条刹那の生まれ変わり・・・・・・で、この世界そのものをゲームばんとしか考えてない頭のおかしい神のカオスが全ての黒幕くろまくだと言いたいんだなヴィンデは」


「えぇ、そして私の本当の名前は起源神きげんしんワールド。

 刹那からたくさんの物をもらっておきながら世界を救えというあなたの最期の言葉を裏切り、カオスへ一条刹那の命乞いのちごいをした恥知はじしらずよ。

 るなりくなり好きにしなさい、あなたにはそうするだけの理由がある」


 デュランはそう言った前世の母親であるヴィンデの顔を少しの間困った顔で見つめていたが、やがて考えをまとめると「別にそんなことはしない、俺は特に何もされてない・・・・・・・からな」そう軽く言い返した。


「なっ、私の話を聞いてなかったの!! 私はあなたを裏切ったのよ!!」


「……いや、裏切ったってもな。一条刹那――二つ前の俺がカオスに負けたのが悪いだけだろ、気にすんなっ!」


「そ、そんな簡単な話じゃない! あなたもふくめてたくさんの人を不幸ふこうにしてしまったのよ!! わたしが許されていいはずがない!!!」


「――だったら俺が許すよ、母さん・・・


 目から涙を流しながら自身の罪を語り、許されていいはずがないとさけヴィンデ母親の頭をでながらデュランは彼女の全てを許した。

 そしてずっとくるしみ続けていたヴィンデの重りをとってやるために笑いながら「カオスは俺が必ず倒すから大丈夫だ、だから安心しろ」そう言った。


「お母様、デュランもこう言ってるし。もう自分を許してあげてもいいんじゃないんですか?

 お母様はもう十分すぎるくらいに頑張がんばりましたよ、だから後は僕達に任せてください」


「そういうこと、だいたいさっきも言ったけど負けた俺が悪いだけだからな。

 母さんは初めから罪を犯してなんかないんだぜ、気にしすぎだ」


「――ッ」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093077536234914


 そうして全てを許されたヴィンデは言葉にならない叫び声を上げながら止めどなく涙を流し続けた。

 ――こうして死んだ相棒のため走り続けてきた少女は、この日デュランに全てを許されて救われた。

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 前作変革の剣神の数字の羅列られつはポケベル語というものでネタバレ防止で使っていました。ポケベル語の表を見ながら日本語にすると読むことができます。

 実際にこの方法を実行するのは相当面倒くさいのでこの下に前作の数字の翻訳ほんやくをのせておきます。

 カクヨムへの次話投稿は8月1日18時01分に予定しています。

 いつもご愛読ありがとうございます! 次話以降ももしよかったら読んでいって下さい。


「何のようだカオス まさかまた彼に何かしようとしてるの? 許さないわよ!!」


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「我が輩は物見遊山ものみゆさんでこちらにきただけでござるよw 好きな男をとられたあわれな女をかんさつするだけでも面白いですがなww」


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「誰のせいだと!! 何かをしにきたわけではないならべつにいいわ」


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「おやおや我が輩とはなしたくないと そうでござるな我が輩は刹那を殺した憎い敵でござるからなw」


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「貴様の思い通りにはさせない 彼は私が守るんだ」


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「出来るといいでござるなw」


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21240432030169934504


起源神ワールド


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地獄へお帰り 歓迎するよ カオスより

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2024年8月1日 18:01

再臨の剣神ー最強の剣士は求道者ー 黒猫大和 @kokubyouyamana

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