相棒とメイド

「ご主人様、もう一度会えてとてもうれしいです

 貴方の刀の天晴てんせいです、今度は絶対にはなれません。如何様いかようにでもお使い下さい」


「――おもいわッ!!」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093073891584047


 しばらくしてヘルト達が部屋へ戻ってきた時、部屋を出て行く前はただの刀としてヘルトが帯刀たいとうしていた天晴てんせい付喪神つくみがみとしての姿で一緒に戻ってきた。

 デュランは相変わらず持ち主である自身のためならばどんなことでもしそうな様子の天晴に思わずそうツッコミを入れてしまったが、前世でヘルトを支えてくれと頼んだときも泣いていたし今さらかとため息を吐いた。

 前世より成長した天晴が涙を流していると犯罪臭はんざいしゅうがすごいなと思いながらも、相棒の泣き顔を見続ける趣味しゅみはなかったのでハンカチを天晴へ渡した


「……相変わらず色々な意味で重い刀だな、もう俺は一回死んでるんだから自分がしたいことをしてもいいんだぞ?」


「ご主人様の刀であることが何よりも私がしたいことですから、そんなことは言わないで下さい」


「……ハァッ、分かった」


 そうして会話を終わらせると天晴は一振りの刀となってデュランの手の中へとおさまった。

 その後ヘルトから脇差わきざしを受け取って二本の刀をこしへ差してから旅に出る年齢である十歳へとなってから転生したことを公表してくれと、ヘルトに伝えるとこころよ了承りょうしょうしてくれた。

 そのままアリス達と共にクラインハルト家へ戻ろうかと思ったがせっかくなら百年経ったウィンクルム連合王国れんごうおうこくがどれだけ変わったのか見てみたいと考え直し、アリスへこの目立つ髪と目の色を魔法で変えられないかいてみるとできると言われたのでお願いしてみた。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093076302879508


 おとずれたウィンクルム連合王国のメインストリートは百年前とは様変わりしており、デュランは改めて百年という時間の長さを実感じっかんした。

 そしてそんな長い時間を最愛の家族であるアリス達が不幸になることなく過ごせた奇跡きせきをとてもうれしく思い、デュランは満面の笑みを浮かべた。

 しかしそれがダメだったのか、興奮こうふん気味ぎみのアリスに背後から抱き着かれたデュランはまるで人形のように持ち上げられ。ものすごく可愛がられた。


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093074817404324


「可愛いよデュランっ~~~♡♡ 、世界一可愛いよぉ~~~♡♡」


「目立ってるよアリスッ!! メッチャ目立ってるから大人しくしてくれ!!!」


「――イヤァッ!!!」


「……もうこのままでいいか、役得やくとくだし」


 デュランを後ろから抱きしめながら可愛いとさけぶアリスのせいですごく目立っていたので抵抗しようとしたが、背中へ押しつけられているおっぱいの感触かんしょくにはやはり勝つことはできなかった。

 デュランはまだアレが・・・立つ年齢ねんれいじゃなくて本当によかったと思いながらもほおあかめ上がるのは止めることができず、思わず顔を両手で隠したがそれに気がついたアリスがこちらへと視線を向けた。

 ……へびにらまれたかえるの気持ちがよく分かったので、今度からカエルを殺す時はおびえさせないよう気をつけようとデュランは思った。


「……デュラン? どうしたの??」


「いや、ちょっと、その、えっと……」


「もしかして――デュラン♡♡、顔を見せて♡♡♡」


「――戦略的撤退せんりゃくてきてったいッ!!!」


 デュランは何かに気がついたアリスからそう言われると魔力の光でアリスの目をつぶしてそのまま逃げようとしたが、子供である今のデュランではと大人として成長したアリスから逃げ切れるはずもなくあっさりつかまった。


「……クソッタレめ、るならさっさとれ」


「うんっ、分かった!!」


「相変わらずアリスは素直だなぁ(泣)」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093074819307542


 捕まったデュランはもう好きにしてくれという心境でそう言ったが、素敵すてきな笑顔でそう言うアリスの姿が見れるのはとても嬉しかった。けれどそれが自身へ向けられるのは色々と複雑ふくざつだった。

 しかし大喜おおよろこびしながら抱きしめてくるアリスの幸せそうな笑顔を目にし、幸せそうならいいかと思いながらアリスのおっぱいで窒息ちっそくさせられて気絶した。






「ご主人様~~~♡♡、ご飯にする、お風呂にする、それとも僕とベッドへ行く♡♡♡」


「……全部で」


「ご主人様ったら欲張り~~♡♡、今夜は寝かせないからね♡♡♡」


https://kakuyomu.jp/users/kokubyouyamana/news/16818093073893809364


 その後反省したアリスがメイド服を着ながら接待せったいプレイすることになり、デュランは「どっちもご褒美ほうびなんだがなぁ」と思いながらも指摘してきせずたくさんあまやかされた。

 その光景を見てしまって喀血かっけつしながら気絶した何者かがいたが、デュランとアリスは気がつきもせず接待プレイを満足いくまで満喫まんきつするのでした。

 ……コーヒーを飲みたくなってきた。

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